婚約破棄が信じられません。でも、騎士団長様に助けられました

ルイス

文字の大きさ
2 / 3

2話 悲劇の侯爵令嬢

しおりを挟む
「なんだか不思議な感じね……ゼノン様とではなく、あなたとこうして買い物をしていることが……」

「はい。私もそう思います、シャール様」


 ゼノン様の身勝手な婚約破棄……私が素直に身を引いたことでゼノン様の機嫌を損ねずに済んだ。これは、彼からの嫌がらせなどがあるかもしれなかったことを考慮すれば良かったのかもしれない。どのみち、ゼノン様は私との婚約破棄を取り下げることはなかっただろうから。

 私は現在、護衛も引き連れてメイドのアルファと買い物をしている。貴族街のとあるお店に来ていた。


「シャール様、このアクセサリーは如何でしょうか?」

「あら、悪くないわね。買おうかしら」

「はい、シャール様にとてもお似合いだと思いますよ」

「ありがとう、アルファ」


 アルファとは幼馴染の関係であり、主従関係はそこまで持ってはいない。彼女は最低限の礼をつくしてはくれるけれど、普通に話したい衝動にも駆られている。まあ、彼女はメイドだから難しいのだろうけれど。


「この後、どうしたしましょうか?」

「そうね……もう少し、貴族街を回ってみようかしら」

「畏まりました、お供いたします」

「ありがとう、アルファ」


 アルファはそう言いながら私に頭を下げてくれた。彼女もメイドとしての仕事でしんどいだろうに、私の買い物に付き合ってくれている。本当に感謝しかできない状況だわ。私も、もっとしっかりしなくちゃ駄目かもね……。


 私達は店を離れて路上に出た。その時、一体の馬と当たりそうになってしまった。

「これは申し訳なかった」

「あ、いえ……私の方こそ、すみませんでした」


 立派な鎧を着た男性が兜をとって馬から降りて来た。この方は確か……。


「あっ……もしかして、ランバル・デネトイ公爵令息様ではありませんか?」

「おや、私のことをご存知でしたか。それは光栄です。お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」


 以前に挨拶をしたことがあると思うけれど、流石に覚えていないわよね。ちなみにランバル様は我が王国の騎士団長を務めている。まだ21なので色々と大変だとは思うけれど、本当に立派なお方だ。

「シャール・ミライーストと申します。以後、お見知りおきを」

「シャール令嬢……あるほど、侯爵家のミライースト家のご令嬢でしたか。これは失礼いたしました」

「いえ、とんでもないことですわ」

「ははは、ありがとうございます。こうして会えたのは何かの縁かもしれませんね。私はもう行かなければなりませんが……また、お会いできる日を楽しみにしております」

「はい。私も楽しみにしていますね」


 そう言いながら、ランバル様は馬に乗って去って行った。ランバル様か……私はしばらく彼を見続けていた。なんなのかしらこの気持ちは……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件

水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」 結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。 出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。 愛を期待されないのなら、失望させることもない。 契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。 ただ「役に立ちたい」という一心だった。 ――その瞬間。 冷酷騎士の情緒が崩壊した。 「君は、自分の価値を分かっていない」 開始一分で愛さない宣言は撤回。 無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。 以後、 寝室は強制統合 常時抱っこ移動 一秒ごとに更新される溺愛 妻を傷つける者には容赦なし宣言 甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。 さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――? 自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。 溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ

告白相手を間違えた令嬢に待っていたのは、暴君皇帝からの寵愛でした。

槙村まき
恋愛
 イヴェール伯爵令嬢ラシェルは、婚約前の最後の思い出として、ずっと憧れていた騎士団長に告白をすることにした。  ところが、間違えて暴君と恐れられている皇帝に告白をしてしまった。  怯えるラシェルに、皇帝は口角を上げると、告白を受け入れてくれて――。  告白相手を間違えたことから始まる恋愛ストーリー。 全24話です。 2月5日木曜日の昼頃に完結します。 ※小説家になろうに掲載している作品を改題の上、連載しています。

【短編】花婿殿に姻族でサプライズしようと隠れていたら「愛することはない」って聞いたんだが。可愛い妹はあげません!

月野槐樹
ファンタジー
妹の結婚式前にサプライズをしようと姻族みんなで隠れていたら、 花婿殿が、「君を愛することはない!」と宣言してしまった。 姻族全員大騒ぎとなった

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた

菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに対して、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…? ※他サイトでも掲載しております。

「お前を愛することはない」と言った夫がざまぁされて、イケメンの弟君に変わっていました!?

kieiku
恋愛
「お前を愛することはない。私が愛するのはただひとり、あの女神のようなルシャータだけだ。たとえお前がどんな汚らわしい手段を取ろうと、この私の心も体も、」 「そこまでです、兄上」 「なっ!?」 初夜の場だったはずですが、なんだか演劇のようなことが始まってしまいました。私、いつ演劇場に来たのでしょうか。

地味令嬢と嘲笑された私ですが、第二王子に見初められて王妃候補になったので、元婚約者はどうぞお幸せに

有賀冬馬
恋愛
「君とは釣り合わない」――そう言って、騎士団長の婚約者はわたしを捨てた。 選んだのは、美しくて派手な侯爵令嬢。社交界でも人気者の彼女に、わたしは敵うはずがない……はずだった。 けれどその直後、わたしが道で偶然助られた男性は、なんと第二王子!? 「君は特別だよ。誰よりもね」 優しく微笑む王子に、わたしの人生は一変する。

悪役令嬢ですが、今日も元婚約者とヒロインにざまぁされました(なお、全員私を溺愛しています)

ほーみ
恋愛
「レティシア・エルフォード! お前との婚約は破棄する!」  王太子アレクシス・ヴォルフェンがそう宣言した瞬間、広間はざわめいた。私は静かに紅茶を口にしながら、その言葉を聞き流す。どうやら、今日もまた「ざまぁ」される日らしい。  ここは王宮の舞踏会場。華やかな装飾と甘い香りが漂う中、私はまたしても断罪劇の主役に据えられていた。目の前では、王太子が優雅に微笑みながら、私に婚約破棄を突きつけている。その隣には、栗色の髪をふわりと揺らした少女――リリア・エヴァンスが涙ぐんでいた。

「お前を愛することはない」と言われたお飾りの妻ですが、何か?

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することはない!」「そんな事を言うために女性の寝室に押し入ったのですか? もう寝るつもりで化粧を落として髪をほどいて寝着に着替えてるのに! 最っ低!」 仕事大好き女が「お飾りの妻最高!」と恋愛感情無しで結婚したらこうなるよね、というお話。

処理中です...