6 / 8
転生枕 3
しおりを挟む
「――汝れこそは花と魂の神。
騒がしき祭りの喜びをもたらす汝、
華やかなる夏の光をもたらす汝、
性の喜びをつかさどりしアウィアテオトルの姿をとりて来たれ。
花の王よ、汝に捧げられた聖酒の一滴を我は希う」
精霊王の一人である花の王に祈りを捧げると、キノコから抽出した真っ黒な液体は芥子の花のような赤へと鮮やかに色を変えた。
なんとも美しい色合いだが、その正体は八十をこえた老人でさえも子作りを可能にするという強烈な回春剤にして惚れ薬である。
健全な若者であれば、その蒸気に触れただけで発情して我を忘れてしまうだろう。
「よし、出来た。 あとはこれに添加薬を加えて錠剤にすれば……だいたい十回分かな。 売るときに効力を調べるから二回分は目減りしそうだけど」
出来上がった液体に凝固剤を入れ、型に流してから乾燥させる。
そうすれば、繁殖力の乏しいエルフが子孫繁栄のために作り出したという秘薬の完成だ。
出来上がった錠剤を素焼きの器で出来た瓶に入れると、イングリッドは自分のベッドに書置きを残して家のドアを開く。
だが、そこには……
「ねぇ、どこに行くの?」
「……どこでもいいでしょ」
まるでこうなるのがわかっていたとでも言わんばかりに、玄関の前にはクラウディオ立ちはだかっていた。
「僕も行く」
「ダメよ。 あんたには危険だから」
街までの道中は、盗賊が出ることもある危険な道だ。
大人だって一人では通らない。
「でも行く!」
「ダメだって言ってるでしょ」
さて、この聞き分けの無い子供をどう黙らせようか?
精霊の力を借りて眠らせることも考えはしたが、それは今のイングリッドの体にも大きな負担をかけてしまう。
秘薬の作成で疲弊した今の状態を考えると、出来るだけ避けたい方法であった。
しかも、イングリッドが考え事をしている間に、クラウディオはとんでもないことを言い出したのである。
「じゃあ、イングリッドが何処かに行こうとしているって、大声で叫ぶよ」
このクソ餓鬼め!!
イングリッドは思わず心の中で呪いの言葉を呟いた。
街に行くのを明日にするという事も考えたが、もしかしたらこの無駄に知恵の回るお子様は親に自分の計画をバラして阻止しようとするかもしれない。
ならば……勝手について来ればいい。
何かあった時は、そのまま死んでちょうだい、クラウディオ。
対応が一日遅れるだけでもどうなるかわからないこの状況下において、貴方のわがままにつきあって他の大勢の人を危険に晒すわけにはゆかないのよ。
そう、あの日が訪れる前に周囲のゴブリンたちを各個撃破で始末しなければ、村に未来は無い。
「好きにしなさい。 でも、危なくなっても助けてなんかあげないから」
「うん!」
イングリッドの冷たい言葉にも関わらず、クラウディオは嬉しそうに笑って隣を歩き始めた。
いったい何がそんなに楽しいのだろうか?
まったくもって不可解な生き物である。
「ねぇ、この方向って……街だよね?」
村の入り口を出てしばらく。 隣村を過ぎた頃になって、クラウディオはようやくイングリッドの目指す場所に気がついた。
「そうよ。 私は街に行くの」
「やっぱり危ないよ。 街には悪い人が一杯いるってパパとママも言っていたし。 ねぇ、帰ろうよ!!」
あぁ、やっぱりこうなったか。
イングリッドは何から何まで邪魔をするこの幼馴染を心の底からわずらわしく思いはじめた。
「じゃあ、貴方一人で帰りなさい。 私にはどうしてもやらなきゃならないことがあるの」
「どうしてもって……なんでそんな危ないことしなきゃいけないのさ!
このあいだから変だよ、イングリッド!!」
その瞬間、イングリッドは動いた。
「……あっ!?」
クラウディオの膝の裏に蹴りをいれ、体制を崩したところで地面に押し倒す。
突然のことに、クラウディオにはなす術もない。
「貴方、邪魔なのよ」
さらに倒れたクラウディオの体に馬乗りになると、イングリッドそのあたりに落ちていた拳大の石を拾い上げて高々と振り上げる。
この声には、かすかではあるが子供らしからぬ殺気が滲んでいた。
「な、なにを……か、顔が怖いよ、イングリッド」
「だから、もう死になさい」
太陽の光を背に、感情の抜け落ちた顔でイングリッドが呟く。
その時クラウディオは死の恐怖を前に悲鳴すら上げず、自分がなぜ彼女に殺されなければならないのだろうと、この理不尽な現実についてひたすら考えていた。
幼さとは、愚かさとは、時にひどく重い罪であるという事を知らないままに。
そして死の礫が振り下ろされた。
――クラウディオの頭の横に。
「……ぷっ。 馬鹿ね、本当に殺すはずないじゃない」
仰向けになっているクラウディオの上から降りると、イングリッドはさもおかしいとばかりに笑い出した。
「ひ、ひどいよイングリッド!!」
顔を真っ赤にしながら立ち上がるクラウディオだが、イングリッドは冷ややかな顔に戻って彼に告げる。
「でも、本当に貴方を殺してでも街に行かなきゃならない用事があるの。
だから、このまま帰りなさい。 私は一人でも大丈夫だから」
ここまでやれば、自分が足手まといであることも、彼女が本気である事も理解しただろう。
少々どころではなく大人気なかったが、今はとにかく時間が惜しかった。
だが……。
「だっ、ダメだよ! やっぱり僕も一緒に行く! もう何も聞かないから!!」
その予想外の言葉に、イングリッドは絶句する。
信じられない! なんと頑固、いや頑迷な性格だろうか?
「聞き分けが無いのね。 本当に怪我をするまでわからないのかしら?」
イングリッドは溜息をつき、もう一度石を拾い上げて脅してみるが、クラウディオは涙目になりながらも決してそこから引き下がろうとはしなかった。
「だっ、だって……」
「だって?」
困惑するイングリッドに向かす、クラウディオはさらに顔を赤くして告げる。
「好きな子は、命がけで守らなきゃいけないってパパが言っていたから!!」
その思いもよらない言葉に、イングリッドは頭の中が真っ白になった。
この子……馬鹿?
かつてエルフだった頃はともかく、今のイングリッドはそこまで容姿に優れているほうではない。
せいぜい、中の上と言ったところだろうか?
「あなた……私が好きなの?」
すると、クラウディオは無言のままに頷く。
――呆れた。
たかがそんなもののために自らを危険に晒すというのかこの愚かな生き物は。
浅はかで、思い込みが激しくて、自分の感情のためにならば死をも厭わない。
些細なことにも真剣になってしまい、くだらない方向へと全力を傾ける。
それはイングリッドがこの世で一番嫌いな存在であったが……不思議と嫌悪感は覚えなかった。
「ほんと、変な子ね」
子供らしからぬ空気を纏わせ、苦笑を浮かべながらイングリッドは『彼を無理やりおいてゆく』という選択枝を諦める。
そもそも、自分は何をこんなに神経質になっていたのだろうか?
たかが、人間の村が滅びる程度のことで、エルフである自分がこうもうろたえるなんておかしすぎる。
もう少し気楽に行こう。
いいじゃない。 別に子供一人つれて歩いたところで、その辺の盗賊や野獣なんてどうにでもなるわ。
そう、これはほんのちょっと依頼の難易度が上がった程度の問題に過ぎないのだ……一流の冒険者としての知識を持つ自分であれば、この程度の逆境は問題ない。
そう自分自身に言い聞かせながら彼女は歩き出した。
「何しているの? ぐずぐずしているとおいてゆくわよ!!」
「う、うん! まって! 置いてゆかないで!!」
その後ろを、幼い少年が必死の形相で駆けて行く。
今はまだ、恐れを知らぬがゆえに。
そして、幸いなことに二人は途中で盗賊や危険な獣にあうこともなく街に到着し、イングリッドは手持ちの秘薬を持って冒険者ギルドに駆け込んだ。
さらに運よく鑑定能力のある冒険者がいたため、すぐに本物であると保証されたのである。
だが、イングリッドはそのまま換金しようとはしなかった。
六歳の子供に大金を持たせることを、冒険者ギルド側が懸念しないはずが無いからである。
なのでイングリッドはそのままギルドの受付にこの秘薬を持ち込んで、一部を鑑定料金に、そして残りの金で冒険者に依頼をかけられないかと交渉したのだが……
「どういうこと!? なんで冒険者を派遣できないのよ!!」
「どうもこうも……お嬢ちゃんの住んでいる村は、領主様の騎士が守ることになっているんだ。
だから冒険者は近づくなって言われているの。 わかる?
お嬢ちゃんのお仕事引き受けると、おじちゃんたと怒られちゃうんだわ」
「そんな話、聞いたことも無いわ! それに、騎士団の人間なんて村じゃ見たこともないわよ!!」
「あのな、お嬢ちゃん。 国のえらーい人が決めたことだから、ウチじゃどうにも出来ないの。
悪いけど、このお金を持って騎士団のおじさんたちにお願いしてね!」
冒険者ギルドの受付は、これ以上邪魔をするとつまみ出すぞといわんばかりに溜息をついてイングリッドとの会話を打ち切ろうとした。
だが、このまま引き下がるわけには行かない。
このクソ職員め、エルフを舐めたらどうなるか見せてあげるわ!
固い決意とともに、イングリッドは全力で猫をかぶりながらテーブルの上に体を乗り出す。
「……じゃあ、他の仕事を頼みたいんだけど、誰かいい人を紹介してくれないかしら?」
ニッコリと微笑んだイングリッドに、次の客の相手をしようとしていた職員は思わず全身の毛を逆立てながら仰け反った。
どうやら、猫と間違って虎を被ってしまったらしい。
そして彼女たちは思いもよらぬ事件に首を突っ込んでしまう事となってしまったのだ。
騒がしき祭りの喜びをもたらす汝、
華やかなる夏の光をもたらす汝、
性の喜びをつかさどりしアウィアテオトルの姿をとりて来たれ。
花の王よ、汝に捧げられた聖酒の一滴を我は希う」
精霊王の一人である花の王に祈りを捧げると、キノコから抽出した真っ黒な液体は芥子の花のような赤へと鮮やかに色を変えた。
なんとも美しい色合いだが、その正体は八十をこえた老人でさえも子作りを可能にするという強烈な回春剤にして惚れ薬である。
健全な若者であれば、その蒸気に触れただけで発情して我を忘れてしまうだろう。
「よし、出来た。 あとはこれに添加薬を加えて錠剤にすれば……だいたい十回分かな。 売るときに効力を調べるから二回分は目減りしそうだけど」
出来上がった液体に凝固剤を入れ、型に流してから乾燥させる。
そうすれば、繁殖力の乏しいエルフが子孫繁栄のために作り出したという秘薬の完成だ。
出来上がった錠剤を素焼きの器で出来た瓶に入れると、イングリッドは自分のベッドに書置きを残して家のドアを開く。
だが、そこには……
「ねぇ、どこに行くの?」
「……どこでもいいでしょ」
まるでこうなるのがわかっていたとでも言わんばかりに、玄関の前にはクラウディオ立ちはだかっていた。
「僕も行く」
「ダメよ。 あんたには危険だから」
街までの道中は、盗賊が出ることもある危険な道だ。
大人だって一人では通らない。
「でも行く!」
「ダメだって言ってるでしょ」
さて、この聞き分けの無い子供をどう黙らせようか?
精霊の力を借りて眠らせることも考えはしたが、それは今のイングリッドの体にも大きな負担をかけてしまう。
秘薬の作成で疲弊した今の状態を考えると、出来るだけ避けたい方法であった。
しかも、イングリッドが考え事をしている間に、クラウディオはとんでもないことを言い出したのである。
「じゃあ、イングリッドが何処かに行こうとしているって、大声で叫ぶよ」
このクソ餓鬼め!!
イングリッドは思わず心の中で呪いの言葉を呟いた。
街に行くのを明日にするという事も考えたが、もしかしたらこの無駄に知恵の回るお子様は親に自分の計画をバラして阻止しようとするかもしれない。
ならば……勝手について来ればいい。
何かあった時は、そのまま死んでちょうだい、クラウディオ。
対応が一日遅れるだけでもどうなるかわからないこの状況下において、貴方のわがままにつきあって他の大勢の人を危険に晒すわけにはゆかないのよ。
そう、あの日が訪れる前に周囲のゴブリンたちを各個撃破で始末しなければ、村に未来は無い。
「好きにしなさい。 でも、危なくなっても助けてなんかあげないから」
「うん!」
イングリッドの冷たい言葉にも関わらず、クラウディオは嬉しそうに笑って隣を歩き始めた。
いったい何がそんなに楽しいのだろうか?
まったくもって不可解な生き物である。
「ねぇ、この方向って……街だよね?」
村の入り口を出てしばらく。 隣村を過ぎた頃になって、クラウディオはようやくイングリッドの目指す場所に気がついた。
「そうよ。 私は街に行くの」
「やっぱり危ないよ。 街には悪い人が一杯いるってパパとママも言っていたし。 ねぇ、帰ろうよ!!」
あぁ、やっぱりこうなったか。
イングリッドは何から何まで邪魔をするこの幼馴染を心の底からわずらわしく思いはじめた。
「じゃあ、貴方一人で帰りなさい。 私にはどうしてもやらなきゃならないことがあるの」
「どうしてもって……なんでそんな危ないことしなきゃいけないのさ!
このあいだから変だよ、イングリッド!!」
その瞬間、イングリッドは動いた。
「……あっ!?」
クラウディオの膝の裏に蹴りをいれ、体制を崩したところで地面に押し倒す。
突然のことに、クラウディオにはなす術もない。
「貴方、邪魔なのよ」
さらに倒れたクラウディオの体に馬乗りになると、イングリッドそのあたりに落ちていた拳大の石を拾い上げて高々と振り上げる。
この声には、かすかではあるが子供らしからぬ殺気が滲んでいた。
「な、なにを……か、顔が怖いよ、イングリッド」
「だから、もう死になさい」
太陽の光を背に、感情の抜け落ちた顔でイングリッドが呟く。
その時クラウディオは死の恐怖を前に悲鳴すら上げず、自分がなぜ彼女に殺されなければならないのだろうと、この理不尽な現実についてひたすら考えていた。
幼さとは、愚かさとは、時にひどく重い罪であるという事を知らないままに。
そして死の礫が振り下ろされた。
――クラウディオの頭の横に。
「……ぷっ。 馬鹿ね、本当に殺すはずないじゃない」
仰向けになっているクラウディオの上から降りると、イングリッドはさもおかしいとばかりに笑い出した。
「ひ、ひどいよイングリッド!!」
顔を真っ赤にしながら立ち上がるクラウディオだが、イングリッドは冷ややかな顔に戻って彼に告げる。
「でも、本当に貴方を殺してでも街に行かなきゃならない用事があるの。
だから、このまま帰りなさい。 私は一人でも大丈夫だから」
ここまでやれば、自分が足手まといであることも、彼女が本気である事も理解しただろう。
少々どころではなく大人気なかったが、今はとにかく時間が惜しかった。
だが……。
「だっ、ダメだよ! やっぱり僕も一緒に行く! もう何も聞かないから!!」
その予想外の言葉に、イングリッドは絶句する。
信じられない! なんと頑固、いや頑迷な性格だろうか?
「聞き分けが無いのね。 本当に怪我をするまでわからないのかしら?」
イングリッドは溜息をつき、もう一度石を拾い上げて脅してみるが、クラウディオは涙目になりながらも決してそこから引き下がろうとはしなかった。
「だっ、だって……」
「だって?」
困惑するイングリッドに向かす、クラウディオはさらに顔を赤くして告げる。
「好きな子は、命がけで守らなきゃいけないってパパが言っていたから!!」
その思いもよらない言葉に、イングリッドは頭の中が真っ白になった。
この子……馬鹿?
かつてエルフだった頃はともかく、今のイングリッドはそこまで容姿に優れているほうではない。
せいぜい、中の上と言ったところだろうか?
「あなた……私が好きなの?」
すると、クラウディオは無言のままに頷く。
――呆れた。
たかがそんなもののために自らを危険に晒すというのかこの愚かな生き物は。
浅はかで、思い込みが激しくて、自分の感情のためにならば死をも厭わない。
些細なことにも真剣になってしまい、くだらない方向へと全力を傾ける。
それはイングリッドがこの世で一番嫌いな存在であったが……不思議と嫌悪感は覚えなかった。
「ほんと、変な子ね」
子供らしからぬ空気を纏わせ、苦笑を浮かべながらイングリッドは『彼を無理やりおいてゆく』という選択枝を諦める。
そもそも、自分は何をこんなに神経質になっていたのだろうか?
たかが、人間の村が滅びる程度のことで、エルフである自分がこうもうろたえるなんておかしすぎる。
もう少し気楽に行こう。
いいじゃない。 別に子供一人つれて歩いたところで、その辺の盗賊や野獣なんてどうにでもなるわ。
そう、これはほんのちょっと依頼の難易度が上がった程度の問題に過ぎないのだ……一流の冒険者としての知識を持つ自分であれば、この程度の逆境は問題ない。
そう自分自身に言い聞かせながら彼女は歩き出した。
「何しているの? ぐずぐずしているとおいてゆくわよ!!」
「う、うん! まって! 置いてゆかないで!!」
その後ろを、幼い少年が必死の形相で駆けて行く。
今はまだ、恐れを知らぬがゆえに。
そして、幸いなことに二人は途中で盗賊や危険な獣にあうこともなく街に到着し、イングリッドは手持ちの秘薬を持って冒険者ギルドに駆け込んだ。
さらに運よく鑑定能力のある冒険者がいたため、すぐに本物であると保証されたのである。
だが、イングリッドはそのまま換金しようとはしなかった。
六歳の子供に大金を持たせることを、冒険者ギルド側が懸念しないはずが無いからである。
なのでイングリッドはそのままギルドの受付にこの秘薬を持ち込んで、一部を鑑定料金に、そして残りの金で冒険者に依頼をかけられないかと交渉したのだが……
「どういうこと!? なんで冒険者を派遣できないのよ!!」
「どうもこうも……お嬢ちゃんの住んでいる村は、領主様の騎士が守ることになっているんだ。
だから冒険者は近づくなって言われているの。 わかる?
お嬢ちゃんのお仕事引き受けると、おじちゃんたと怒られちゃうんだわ」
「そんな話、聞いたことも無いわ! それに、騎士団の人間なんて村じゃ見たこともないわよ!!」
「あのな、お嬢ちゃん。 国のえらーい人が決めたことだから、ウチじゃどうにも出来ないの。
悪いけど、このお金を持って騎士団のおじさんたちにお願いしてね!」
冒険者ギルドの受付は、これ以上邪魔をするとつまみ出すぞといわんばかりに溜息をついてイングリッドとの会話を打ち切ろうとした。
だが、このまま引き下がるわけには行かない。
このクソ職員め、エルフを舐めたらどうなるか見せてあげるわ!
固い決意とともに、イングリッドは全力で猫をかぶりながらテーブルの上に体を乗り出す。
「……じゃあ、他の仕事を頼みたいんだけど、誰かいい人を紹介してくれないかしら?」
ニッコリと微笑んだイングリッドに、次の客の相手をしようとしていた職員は思わず全身の毛を逆立てながら仰け反った。
どうやら、猫と間違って虎を被ってしまったらしい。
そして彼女たちは思いもよらぬ事件に首を突っ込んでしまう事となってしまったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
転生後はゆっくりと
衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。
日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。
そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。
でも、リリは悲観しない。
前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。
目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。
全25話(予定)
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で
重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。
魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。
案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。
追放された最強令嬢は、新たな人生を自由に生きる
灯乃
ファンタジー
旧題:魔眼の守護者 ~用なし令嬢は踊らない~
幼い頃から、スウィングラー辺境伯家の後継者として厳しい教育を受けてきたアレクシア。だがある日、両親の離縁と再婚により、後継者の地位を腹違いの兄に奪われる。彼女は、たったひとりの従者とともに、追い出されるように家を出た。
「……っ、自由だーーーーーーっっ!!」
「そうですね、アレクシアさま。とりあえずあなたは、世間の一般常識を身につけるところからはじめましょうか」
最高の淑女教育と最強の兵士教育を施されたアレクシアと、そんな彼女の従者兼護衛として育てられたウィルフレッド。ふたりにとって、『学校』というのは思いもよらない刺激に満ちた場所のようで……?
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる