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3章 魔法少女と水の都
72話 魔法少女と出発の日
しおりを挟むということで出発の日。
毎回毎回、テンポが速いんじゃないかってツッコまれそうだけど、これは小説でもなんでもない。作品じゃないんだよ。
そう言うのが欲しかったから他所に行って。私は私の人生、魔法少女生を過ごしてるだけだから。
とまぁ、いつも通り脳内で変な妄想をしていると、馬車がやってくる。
「ほ、本当に行くんですよね?あの、私、迷惑になりませんか?」
「ここまで来て、行かないなんて言う方が迷惑だよ。」
私は心配そうにしているロアの頭を、ぽんぽんしながら言った。
今はネルの家の前。
馬車を取りに行って、私達はここで待ってるのいうわけ。
実際にその日になってみると、なんか緊張するものだね。
テストとかでも早く終わってほしいから、「早く来て」とか思うけど、いざ来ると「やめろー」ってなる。
こうなるの、もしかして私だけ?
「お待たせ致しました、ソラさん。」
馬車の窓を開けて、手を振りながらニコッと微笑む。男の子ならイチコロな笑顔を見て、私も笑い返す。
この世界の女の子たちは、なんでこんな笑顔が可愛いんだろうね。
私とのレベルを比較するとちょっと悲しくなったため、すぐさまやめることにした。
「ソラさん、ロア、ティランに行きますよ。早く行かないと時間が無くなってしまいます。」
「分かってるよ。今乗るから。」
ロアの手を引き、庭道の途中で止まった馬車の中に入る。
馬車に使われてる木は、光沢があってめっちゃ綺麗。そして馬車の後ろには少しだけ荷物が置いてあった。
馬車のに入ると、中でちょこんと座るネルがいた。
ネルは少し控えめだけど、綺麗なドレスを身に纏ってた。
多分、街に着いた時のために来てるんだと思う。
「おはよ、ネル。」
「おはようございます、ソラさん、ロア。」
「お、おはようございます。」
ロアは初めての馬車だからか、キョロキョロと中を見回している。
「適当に座ってください。クッションに座ると、痛くなくていいですよ。」
ネルは両手に2つのクッションを持って、私とロアに渡した。
おぉ……ふっかふか。
ふかふか過ぎてふっかふかだぁ。凄い、めっちゃいい綿使ってるよね。高級だよ、高級。
「流石貴族、クッションまで格が違う。」
「ふわふわです……」
私達は動く馬車に揺られながら、もふもふとクッションを触っている。
あっ、これ凄いいい。嵌ったかもしれない。
「そ、ソラさん?ロア?危ないですよ、座らないんですか?」
席、空いてますけど……と力無く指差した。
忘れてたけど、ここ馬車だったね。座らないと、揺れでこかねない。
手に持ってたクッションをネルの隣の席に置いて、私はそこに座る。
ロアの方は、ネルの左前辺りにクッションを置いてた。
「大体どのくらいで、ティランに着くの?」
「大体3日ほどですね。」
私は一瞬固まり、思考がぐちゃぐちゃに飛び乱れた。
え?3日‼︎ブラジル行ったってそんなかからないよ、ティランって遠過ぎない?
この世界基準は分からないけど、まさかこれが普通なの?
いろんなとこ行きたいけど、こんな時間かかるなんて……自分専用の移動道具的な何かが欲しいくなってきた。
「ゆったり揺られてたら、一瞬ですよ。今はソラさんやロアがいるのでみんなで話していれば、きっとすぐです。」
今までネルは、1人でこの時間を過ごしてたんだよね、それに比べたら全然マシなのかな。
馬車の代わりね、魔法少女といったら……やっぱり黒猫じゃない?
でもどうやって乗るんだって話だよね……
大きくしてまたがる?
猫のイメージが崩れ去りそう。
猫バ○みたいに出来たり?
そもそも生物として確立出来なさそう。
悩むところだね。
そのままゆらゆらと馬車に揺られながら、ゆったりと話していたら、ほんとにいつの間にか夜になっていた。
言い方が合ってるかどうか知らないけど、御者さんが「今日はもう休憩しましょう」と言っていたので、ご飯を食べることにする。
「料理くらいなら、私が作るよ。」
「いいんですか?」
「別にいいよ。減るものじゃないしね。」
そう言って調理道具を次々と出していくと、やはりというべきか御者さんは驚いていて、そんなものを無視したロアは「手伝います」と取り出した野菜を切る。
「あっ、私も手伝いますよ!」
「大丈夫、気持ちだけ受け取っとくよ。」
「はーい」と両足を小さくパタパタとさせて、料理風景を眺める。
流石に護衛の料理を手伝わせるわけにはいかない。
今は護衛の依頼としてやってるし、お金も貰うんだから、そこのところハッキリさせないといけない。
今私が作っているのは、もちろんカレー。
こういう山とかで食べるものといえば、まずカレーが一番に出てくる。
明日の昼ごはんにカレーうどんでも作りたいから、少し多めに作っておこう。
私の収納に、収納できないものなんて無いからね。
いつも手伝ってるからか、ロアはテキパキと野菜を処理していき、その光景を見たネルは「凄いです…」と呟いてる。
切り終わった具材を軽く炒め、ウォーターで水を入れる。
そこにこれ、てれれれってれ~、スパイス~。
十何種類ものスパイスをパッパッと、たくさん入れてかき混ぜる。
その間に、ロアに飯盒炊爨をしてもらうことにした。
いい香りが漂ってきて、私は空腹のせいもあって 涎が出てきた。
「美味しそうな匂いです。カフェにもあった、かれー、というものですか?」
かれーって、なんか可愛い。
「そうだよ。まぁ手間がかかるから、盛り付けは普通だけど。」
そう言っている間にも米が出来上がり、私は御者さんとネルを呼ぶ。
カレーと米を囲うように座り、御者さんは「私もいていいのでしょうか」と言っていたけど、1日中あんなところに座って疲れてるだろうからって、一緒に食べた。
ちなみに御者さんは、30歳手前くらいの女の人。
ネルが乗るから、女の人の方がいいだろうというフィリオの配慮だそうだ。
仕事大変なのに、気がきくね。
仕事が大変なのは私のせいだったということを忘れ、私はよそったカレーをもぐもぐ頬張る。
日本のルーのカレーも、普通に美味しかったけど、自分で1から作ったカレーは、もっと美味しいね。
それから私たちは就寝することになって、それぞれが専用の寝袋?みたいなのに入ってた。
私の感想は、「貴族でも、そんなふうに寝るんだ」だった。
ネルのためにも、もっと速くてもっと快適な旅を届けたい。
いつか家でも作ろうかな?私なら、なんだかんだいって出来てしまいそうで怖いけど。
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馬車に乗っても書くことが無いので、いっそ馬車に乗る時間がほとんどなければいいんじゃないかと考えたので、いつか高速な乗り物を手にします。
世界観とかは気にしません。
応援ありがとうございます!
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