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やらかしたオメガのお話し…
04
しおりを挟む何かあれば泰虎さんを通して義輝様に伝える事になるらしい…。
呼び方は燈からレクチャーを受けた。燈自身は呼び捨てろと言いつけられたので、言う通りにする…。
泰虎さんや義輝様は普段は別のところに居るらしい。が、泰虎さんはここの管理を任されているようで…頻繁に様子を見に来ているようだ…。
「雪斗」
静かな声で僕の名前を呼んだ泰虎さんは通路の分岐で立ち止まっていた。僕もつられて立ち止まる。
「何ですか?」
「何かしらの指示があるまで燈とペアで行動してもらう事になる」
「はい。」
「知っていると思うがー…、『鬼』はアルファしか居ない。本来であればお前をココヘ放り込むのは肉食獣の中に餌を放り込むような物だ…。」
という言葉を聞いて身体が硬直した…。
「この建物で自由に動き回っているのは『鬼』だけだ。オメガや『人間』のアルファも居るがー…お前とは違う理由でココヘ来ている。」
「違う理由…ですか?」
「あぁ…お前からすれば、お前よりもかなり扱いは酷いと思うがな…」
そう言って気怠そうに息をついた。
「ちなみにココで従業員として働いている『鬼』は義輝に従っては居るがー…『庇護鬼』ではない。正直、お前一人が彷徨いていると貞操的な意味で危険となるだろう…。」
という言葉に息を飲んだ…。
「燈は特殊な性癖を持っているから…お前を任せても襲われる心配はないので…部屋から出る時は必ず燈と共に行動しろ。日常生活に必要な基本的な設備などは寝泊まりする部屋に全て揃っているが…お前自身が必要な物があるだろう…。その時は燈に言えば俺の方に連絡が入る手筈になっている。」
そう言って燈を見ると、ニヒルな笑みを浮かべて頷いた。
「『鬼』の集団に襲われて回されたくなかったらー…必ず俺を呼べよ。とは言っても…自室は違えど同じ部屋に住むことになるんだけどな…簡単に言えば、シェアハウスみたいなものだな。」
そう言って僕の顎を掴みクイッと顔を持ち上げられたキスをされるんじゃないかと思うくらいに近づいてきた…
整った顔立ちに身体が固くなる…。
「安心しろよ。襲ったりしねーから。というか…コレくらいで照れるとか…純心かよ…。」
「あまり、からかってやるな。」
泰虎さんの言葉に『クツクツ』と笑うと、パッと僕の顎から手を離した。
「まぁ、俺とヤりたいなら、ヤっても良いけど…痛がっても止めねーから」
そう言って僕の指に自らの指を絡めてきた…。そういう雰囲気になりそうなくらいに妖しい雰囲気を醸し出している…。
直後、『バシッ』っと音がしたと思ったら目の前の『鬼』の頭が揺れた…音も少々、痛そうな音だった。
目の前の『鬼』から「痛っ」と声がしたのと殆ど同じタイミングで僕の指から手が離れていった。
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