(3章完結)今なら素直に気持ちを伝えられるのに

在原正太朗

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エピソード・3 injury

3-5 初めての全員集合

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「…………」
「どうしたんだい?」
「いや、なんか新鮮だなと思って」

 授業終わりに集まることも多いのだから制服姿の部長は見慣れているはずなのだが、普段はカフェで過ごすことが多いせいか、街中に居る部長と言うのが新鮮に感じられた。
 その部長はと言えば、自分たちを見つけた瞬間に大きく手を振り駆け寄ってくる。スカートだというのに大胆な行動をとる部長に、自分だけではなく蕪木まで驚きを隠せない様子だったが、それほど部長の中では嬉しかったのだろう。

「お待たせ、大ちゃん」
「ううん、待ってないよ」

 大袈裟に首を横に振って見せる部長に、破顔する蕪木。
 こうも簡単に蕪木の表情を引き出せるのは親友の特権だろうか。

「バイトが休みで良かったよ。いきなり誘われるからびっくりしちゃった」
「そうね。でも、遊びの約束ができたなら、早い方が良いじゃない」
「うんうん。だから椿は嬉しいよ!」

 そう言って部長は蕪木に抱き着く。普段では目にすることのできない驚きと恥じらいを合わせた表情を浮かべる蕪木の顔を見て、自分の鼓動が高鳴ったのはきっと気のせいだろう。
 ひとしきり蕪木を抱き締めた部長は、ようやくその視界に万次郎の姿を捉える。
 よっぽど蕪木との組み合わせが珍しいのだろう、部長は不思議そうな顔をして首をかしげた。

「あれ? ジョンジョン居るんだ」
「む。なんだい。大領中さんまで僕をのけ者にするのかい」
「そうじゃないよー。ただ、わたちゃんが心を許したんだね。と思って」
「断るとしつこそうだったからよ」
「あはは。ねちっこいからね、僕」

 腕を組み毒を吐く蕪木に、笑って受け流す万次郎。ただ、目が笑っていなかったので、相当根に持っていたのだろう。

「まあまあ、遊ぶときはたくさん人がいた方が楽しいからね」
「そうね。少なくとも本多よりは冗談も上手いものね」
「梅と比較されるのは心外だけどね」
「お前らはおれに話の鉾先を向けないといられないのか?」

 特に悪口のな。

「それだけ愛されているんだよ、梅は」
「素直に喜べねえな」

 納得いかない自分は腕を組んで言うのだけれど、部長も万次郎も笑うばかりで取り合ってくれない。蕪木に関しては視線すら向けないときた。

「まあいいや。それで、今日はどこに行くんだ?」
「そうね……正直に言えば思いついていないわ」
「なんだよ。考えてきてたんじゃねえのか?」
「いえ。行きたいところはたくさん考えていたのよ。でも、あの頃は大ちゃんがわたしを色んな所へ連れ出してくれていたから、今日もそうしてくれたらなって。少し期待しちゃったの」
「なんと! それは責任重大ですな」

 と言うと部長は腕を組んで目を瞑り、うんうん唸りながら考える。
 十秒ほど沈黙が流れたところ思いついたのか、目を開けた部長は組んだ腕を解いてポン。と手を叩いた。
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