「ねぇ、俺以外に触れられないように閉じ込めるしかないよね」最強不良美男子に平凡な僕が執着されてラブラブになる話

ちゃこ

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抗争の渦中で

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海道さんに案内されたのは、校舎前広場。

正門から比較的近いし、職員室からも見えるエリアで人の目も多いし場所が悪そうだが、御堂先輩が絡むと先生たちも何も口出しはしないから特例なんだろう。

初めて大勢の喧嘩というのを目の当たりにしたけど、すごい迫力だ....漫画の世界だ...と息を呑んで先輩が握ってくれている手をぎゅっとすると、『怖い?すぐにやっちゃおうね~』と僕にはわかる優しい眼差しを向けてくれる。不思議と怖さがなくなっちゃった。

フードの隙間から確認すると、天狼の人たちのチームカラーは黒のようだ。僕たちとは違う学校の黒ベースの制服を着崩している人もいれば、パーカーなど人それぞれだがみんな黒服でいかにも!って感じだ。
あ、ちなみに僕たちの制服はグレーベース。うんうん、御堂先輩の髪色にとっても似合ってるよね~


海道さんが言ってた強い天狼のリーダーっていう人は平凡な僕でも誰だかすぐに分かった。
黒の集団の中でも頭一つ身長が高いから目立つのもあるけど、一人だけオーラが別格って感じだ。
そして返り血を浴びながら楽しそうに人を殴ってる.....これは...ヤバい人だ。
長めの黒髪を括っていて、顔は堀が深くきりっとした男らしいという部類だろう。口や耳に存在する赤色のピアスがやけに似合っている。

んん....?どっかで見たような....?いやいや、不良の知り合いなんて僕にはいないから気のせいだよね。

「おいこらー!早く御堂達を連れてこいやー!!!」

こんな暴力や荒い言葉を使わなければ、モデルレベルにかっこいい人のように見える。


戦況は黒がリードしているのか、レボルトだろう灰色のメンバーの方が多く地面に転がっている。


『あーめんどくさ。夏樹はここで海道と一緒にイイ子にしててねー』

「気を付けて!ケガしちゃいやです!」

ふふふ と名残惜しそうに先輩は手を放して、と少し離れたところに僕を残して一人スタスタと抗争の中心に向かっていく。
こんな時でもランウェイみたいに先輩だけ輝いて見えるよ~ときゅんきゅんなる夏樹。

先輩は途中殴りかけられても、ステップを踏んでいるくらいの軽い身のこなしで、人がどんどん飛んでいってる。
これもはやワンパ〇マンの一撃で...の世界では。


えっと、肝心の佐々木さんは....多分あの少し端の方で黒服の人にナイフ向けられている人だ....!!
佐々木さんは意識がないのか血まみれ痣だらけの状態でぐったりしている。
佐々木さんごめんなさい!僕のみっともない写真のせいで...!! 

先輩はここにいてって言ったけど、何とか佐々木さんを助け出すお手伝いができるなら僕も...っ!


佐々木さんチェックをしている間に先輩は天狼のリーダーまであっという間にたどりつくと、目に見えないくらいの速さで蹴りを入れた。

「ぐっっ! おーおーやっと来たかよ御堂!!!」

『ふーん。 俺の蹴り止めたやつ初めてかも。』


二人のやり合いはもはや目で追うのも難しいくらいの速度だ。
先輩は涼しい顔で無表情だが、天狼のリーダーもついてはきているが防御メインで必死さが滲んできている。

「はぁはぁっっ!!おいおい、急所ばっか狙ってくるなんて喧嘩の品がねーなーー!!」

『は?これでも話せるくらいには加減してる。お前が写真をどうこうって言ってるんだって?』

「あーそうだよ!お前の大事なやつの見られたくない写真をな!」

『.....見たやつ全員殺す』

「ぐがぁっっっ!!!!!ぐっっっ......お前....俺をやったらデータ流れるぞ?いいのか。」

『全員殺すのは確定なんだけど。データは?』

「はぁはぁ....だったら....!あいつを.....佐藤夏樹を連れてこい......!!!!」

『は?お前の視界に入れるわけねぇだろ。』

いつの間にという感じだが天狼のリーダーが地面に倒れ先輩が踏みつけている。目を。

『そもそも写真を目に写しただけで許せないんだけど。まずその目を潰す。』

「う”ぁ””っっっ てめっ......」


え?僕のことだよね!僕の写真流れても僕としてはあんまり気にしないんだけど、僕の写真でお目汚しどころか失明事件すら置きそうだよ.....!!これはまずい.....


佐々木さんを捉えている人も二人の様子を見てびびりあがってナイフをもつ手が震えて、佐々木さんの首にナイフ食い込みそうだよっ
色々まずい........


僕がなんで天狼のリーダーに呼びつけられているか分かんないけど、このまま何もしないのは違うよね!


と僕は、二人のところに駆けてった。後ろで海道さんが叫んで追ってくるが、平凡のスキルの ‘気配を消す’ 効果で海道さんが気づくのが遅れて運動神経の悪い僕でも追いつけないところまで前に出れている。

そして走っている最中でフードがめくれてしまったが、そんなの気にしている場合ではない。

このままスムーズに二人のところまで一直線と思ったら、黒服の人に阻まれた。
「おいおい、おこちゃまの来るところじゃないでちゅよー」

こんなところで足止め食う暇ないんだってば!
もうーー!!!

「はいーー!!!さとうなつきは、ここにいますーーーーー!!!!!!!多分僕が写真の人ですーーー!!!!!」

と過去最大くらいの音量で僕は叫んだ。
すると周りがシーンとなった。
二人の方を見ると気づいてくれたみたいだ。
そして先輩の視線が....う....氷のようです.....(泣)

黒い人たちが慌てて道を開けてくれた。

え....こいつが......?という呟きが聞こえた気がするが、気にせず僕は二人に駆け寄った。

『はぁ.... おい見るなよ。』

先輩はさらに足の強さを増しているようで、唸りながら足を掴み抵抗している天狼のリーダー。
今日の綾人のやりとりがデジャブだ.....と思いながら先輩に駆け寄ると先輩の腰に抱き着きついた。

「せんぱい!佐々木さんがそろそろ危機なので、ぜひ話し合いを!!」

そして僕は組み敷かれている天狼のリーダーを見下ろして様子をうかがう。


ん......?????

天狼のリーダーは顔を踏まれながら、堪らないといった感じで、にやーーーーっと顔を綻ばせた。

一般的には強面だけどイケメンの黄色い声が上がりそうな笑顔なんだろうけど、なんだか本能的に怖いと感じて、全身の鳥肌が立つ僕。


「夏樹!!!俺だよ俺!!!!加藤だよ!!やっと会えた!!!」














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加藤が登場です。そして忘れられてます。
そう、夏樹は自分にとって嫌な思い出は忘れていっちゃうという都合のいい体質なのですw


皆さまの感想やいいねでパワーをいただき二日連続更新できました!BL大賞も600位から51位に!(感涙)
ありがとうございます!




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