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第365話 丁度いいくらいの悪魔が居るじゃねぇか配信
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『あぁ、やられた! やられた! やられた!』
悪魔ハルファスは、感じていた。
ホテル近くの森にて、しっかりと感じていた。
自分が呼び出した、悪魔の軍勢。
どこかのバカ配信者が偶然呼び出してくれた、悪魔フォクマイラ。
悪魔の兵士達20人の死体によって呼び出された、上級兵士悪魔ディアス。
その他にも、ホテル・イスウッドを混乱の渦に落として、商人ラジンに【黒キ翼】を貼らせるために出した悪魔たちは、全て、やられていた。
悪魔ハルファスが用意しておいた手勢たちは、残念ながら、全員倒されてしまった。
『あぁ、しかも上級兵士くんのやり方がバレてしまったせいで、他の下級兵士悪魔たちも死体が残らないように焼かれてしまいました!』
下級兵士悪魔に【黒キ翼】を貼り付けておいて、集団で運用する。そして、あえて倒させる事で、下級兵士悪魔の死体を糧として、さらに上級の悪魔を呼び出す。
『【黒キ翼】と、最も相性が良いのは、こちらの世界のモノではない、悪魔、悪魔、悪魔! その死体! 敢えて【黒キ翼】を悪魔の強化が出来るような設定にしておいたのも、下級兵士悪魔たちを犠牲にして、さらに強力な悪魔を召喚できる布石、布石、布石だったというのに!』
しかしその布石も、上級兵士悪魔ディアスの件がバレてしまったせいで、悪魔の死体を【黒キ翼】と共に焼かれるという対処法をされてしまった。これでは、さらに上級の悪魔を呼び寄せる穴を生み出す事が出来ない!
『これでは、我らが魔王様であるユギー様を復活する事が、私の願いを叶える事が出来ない! どうすれば、どうすれば、どうすれば……』
ぶつぶつと、そんな事を悪魔ハルファスが考えていると、
「おっ、丁度いいくらいの悪魔がいるじゃねぇか。こんな弱そうな悪魔なら俺でも殺れるぜ」
後ろから、刀を持った兵士が現れる。
その兵士は犬の耳を持つ犬の獣人族の兵士。この近くのシュンカトウ共和国が作った道場に通う兵士の1人であり、そんな犬獣人兵士は「へへっ……」とそう笑いながら、ハルファスを見ていた。
『誰? いま、私は忙しいんだが?』
「うるせぇ、骨だけのザコ悪魔。俺は安全に出世したいんだよ。出世すりゃあもらえる金も増えるからな。とりあえず俺は、そこそこの悪魔1匹倒して----」
それ以上、犬の獣人族兵士が言葉を発する事は出来なかった。
「は?」
いつの間にか、犬獣人兵士の足は、両足とも切り落とされ、そのま残った身体は地面へと崩れ落ちていた。足が切り落とされた事によって、自然と這いつくばるような形になってしまった犬獣人兵士は、おかしいと、こんなのはあり得ないと語っていた。
「嘘だろ……? お前、こちらを見ても居ないじゃないか? 腕も、足も、動かしていないのに」
『おやっ? かませ犬かと思いきや、目は良いようで』
すっと、犬獣人兵士の方を見て、悪魔ハルファスはゆっくりと近付いて行く。
「ひぃっ……!」
『そう、それで良い』
犬獣人兵士が恐怖の顔で自分を見るのを、悪魔ハルファスはそれで良いと称した。
『君は恐怖してくれれば良い。叶わないと思えば良い。死にたくないと、生きていきたいと願えば、それで良い』
----とんっ!
「うっ……!」
犬獣人兵士は、悪魔ハルファスに首を掴まれ、そのままじりじりと握り潰されようとしていた。ゆっくりと、自分の意識が薄れて行くのを漢字ながら、犬獣人兵士は懇願する。
「助けて……」
『あぁ、実に良い』
さらに力を込めるハルファス。犬獣人兵士は、なんとか生きようと、悪魔ハルファスの身体を掴もうとする。
しかしながら、すっと、骸骨の身体を掴む事は出来なかった。まるで煙でも相手にしているかのように、ハルファスの身体を掴めることは出来なかったのだ。
「なっ、んっ……」
『はい、おしまい』
----ぶしゃあああああああああああああああああ!
首を掻っ切られ、大量の血と共に倒れる犬獣人兵士。
その死体を見て、悪魔ハルファスは嬉しそうに見ていた。
『そうだよね。商人ラジンが使えなくなったのなら、もう私が打って出るしかないよね』
ぱりぱりっと、ハルファスはかませ犬となって死んでしまった犬獣人兵士の皮を、ゆっくり、丁寧に、剝いでいく。
そして、その剥いだ皮を、骸骨とも呼ぶべき自身の身体へと貼り付けて行く。
『このタイミングで、このようなバカが出てくれたのは実に運が良い。おかげで、私はこの骸骨のような身体を隠す皮を手に入れる事が出来たのだから』
ただ、皮を骸骨に貼り付けただけ。
そんな、雑過ぎる悪魔ハルファスの変装だったのだが、皮はゆっくりとハルファスの身体を包んで行き、まったく違和感がない、継ぎ目一つない姿へと変わっていた。
『----勝利条件は、【黒キ翼】をホテル・イスウッドのエントランスに貼り付けるだけ。そう、私は無敵、無敵、無敵! 私に敵は居ない! 全ては、魔王ユギー様の復活するため! 私は行動に移すとしましょう!』
そうして、悪魔ハルファスは向かっていく。
犬獣人兵士の皮膚を借り、変装して、自らの目的を果たすべく、ハルファスは行動に移すのであった----。
悪魔ハルファスは、感じていた。
ホテル近くの森にて、しっかりと感じていた。
自分が呼び出した、悪魔の軍勢。
どこかのバカ配信者が偶然呼び出してくれた、悪魔フォクマイラ。
悪魔の兵士達20人の死体によって呼び出された、上級兵士悪魔ディアス。
その他にも、ホテル・イスウッドを混乱の渦に落として、商人ラジンに【黒キ翼】を貼らせるために出した悪魔たちは、全て、やられていた。
悪魔ハルファスが用意しておいた手勢たちは、残念ながら、全員倒されてしまった。
『あぁ、しかも上級兵士くんのやり方がバレてしまったせいで、他の下級兵士悪魔たちも死体が残らないように焼かれてしまいました!』
下級兵士悪魔に【黒キ翼】を貼り付けておいて、集団で運用する。そして、あえて倒させる事で、下級兵士悪魔の死体を糧として、さらに上級の悪魔を呼び出す。
『【黒キ翼】と、最も相性が良いのは、こちらの世界のモノではない、悪魔、悪魔、悪魔! その死体! 敢えて【黒キ翼】を悪魔の強化が出来るような設定にしておいたのも、下級兵士悪魔たちを犠牲にして、さらに強力な悪魔を召喚できる布石、布石、布石だったというのに!』
しかしその布石も、上級兵士悪魔ディアスの件がバレてしまったせいで、悪魔の死体を【黒キ翼】と共に焼かれるという対処法をされてしまった。これでは、さらに上級の悪魔を呼び寄せる穴を生み出す事が出来ない!
『これでは、我らが魔王様であるユギー様を復活する事が、私の願いを叶える事が出来ない! どうすれば、どうすれば、どうすれば……』
ぶつぶつと、そんな事を悪魔ハルファスが考えていると、
「おっ、丁度いいくらいの悪魔がいるじゃねぇか。こんな弱そうな悪魔なら俺でも殺れるぜ」
後ろから、刀を持った兵士が現れる。
その兵士は犬の耳を持つ犬の獣人族の兵士。この近くのシュンカトウ共和国が作った道場に通う兵士の1人であり、そんな犬獣人兵士は「へへっ……」とそう笑いながら、ハルファスを見ていた。
『誰? いま、私は忙しいんだが?』
「うるせぇ、骨だけのザコ悪魔。俺は安全に出世したいんだよ。出世すりゃあもらえる金も増えるからな。とりあえず俺は、そこそこの悪魔1匹倒して----」
それ以上、犬の獣人族兵士が言葉を発する事は出来なかった。
「は?」
いつの間にか、犬獣人兵士の足は、両足とも切り落とされ、そのま残った身体は地面へと崩れ落ちていた。足が切り落とされた事によって、自然と這いつくばるような形になってしまった犬獣人兵士は、おかしいと、こんなのはあり得ないと語っていた。
「嘘だろ……? お前、こちらを見ても居ないじゃないか? 腕も、足も、動かしていないのに」
『おやっ? かませ犬かと思いきや、目は良いようで』
すっと、犬獣人兵士の方を見て、悪魔ハルファスはゆっくりと近付いて行く。
「ひぃっ……!」
『そう、それで良い』
犬獣人兵士が恐怖の顔で自分を見るのを、悪魔ハルファスはそれで良いと称した。
『君は恐怖してくれれば良い。叶わないと思えば良い。死にたくないと、生きていきたいと願えば、それで良い』
----とんっ!
「うっ……!」
犬獣人兵士は、悪魔ハルファスに首を掴まれ、そのままじりじりと握り潰されようとしていた。ゆっくりと、自分の意識が薄れて行くのを漢字ながら、犬獣人兵士は懇願する。
「助けて……」
『あぁ、実に良い』
さらに力を込めるハルファス。犬獣人兵士は、なんとか生きようと、悪魔ハルファスの身体を掴もうとする。
しかしながら、すっと、骸骨の身体を掴む事は出来なかった。まるで煙でも相手にしているかのように、ハルファスの身体を掴めることは出来なかったのだ。
「なっ、んっ……」
『はい、おしまい』
----ぶしゃあああああああああああああああああ!
首を掻っ切られ、大量の血と共に倒れる犬獣人兵士。
その死体を見て、悪魔ハルファスは嬉しそうに見ていた。
『そうだよね。商人ラジンが使えなくなったのなら、もう私が打って出るしかないよね』
ぱりぱりっと、ハルファスはかませ犬となって死んでしまった犬獣人兵士の皮を、ゆっくり、丁寧に、剝いでいく。
そして、その剥いだ皮を、骸骨とも呼ぶべき自身の身体へと貼り付けて行く。
『このタイミングで、このようなバカが出てくれたのは実に運が良い。おかげで、私はこの骸骨のような身体を隠す皮を手に入れる事が出来たのだから』
ただ、皮を骸骨に貼り付けただけ。
そんな、雑過ぎる悪魔ハルファスの変装だったのだが、皮はゆっくりとハルファスの身体を包んで行き、まったく違和感がない、継ぎ目一つない姿へと変わっていた。
『----勝利条件は、【黒キ翼】をホテル・イスウッドのエントランスに貼り付けるだけ。そう、私は無敵、無敵、無敵! 私に敵は居ない! 全ては、魔王ユギー様の復活するため! 私は行動に移すとしましょう!』
そうして、悪魔ハルファスは向かっていく。
犬獣人兵士の皮膚を借り、変装して、自らの目的を果たすべく、ハルファスは行動に移すのであった----。
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