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第380話 三度目の決戦配信【赤髪妖精ヴァーミリオンVS.暴力のハルファス】(3)
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----次に放たれたのは、"雷撃"だった。
「なんのっ!」
それをハルファスは、土壁を作り出して地面に電撃を逃がす。
賢しい者ならば、『水は不純物があるから、電気が通る。水を操れるのならば、土壁なんかよりもそっちの方が良いのでは?』という意見もあるだろう。無論、ハルファス自身もその事は知っている。
しかし、魔王ユギー様は知らない。
いや、相性が悪いというべきだろう。
魔王ユギー様の戦術、スキルは全て遊び、ゲームが基本になっている。
魔王ユギーの五本槍である5人の権能も、全てがゲームがモチーフになっている。"狩猟のドン・デーロ"はハンティングゲーム、"闘争のカイデン"は格闘ゲームをモチーフにしている。ハルファスの【暴力犯罪空間】も"おままごと"を曲解して皆が世紀末世界の役柄として演じているという事から出来たモノだ。
だからこそ、『一部の純粋すぎる水は電気を通さないが、ほとんどの水には不純物が含まれているから電気を通す』なので、魔王ユギー様が作り出す水は雷を通してしまう。
「そのイメージが、あなたを倒すのです」
そうやって困惑するハルファスに、ヴァーミリオンが殴り掛かる。
慌ててハルファスがアカツキで防ごうとするも、ガクッと腕に大きな衝撃が走る。
「なっ……?! 【暴力】を司るこの私が、力負け、力負け、力負けしてるだなんて!」
「【暴力】を司るから、ですよ!」
ヴァーミリオンはググっと力を込める。すると、ヴァーミリオンの身体全体に強い光が満ちて行き、暴風が巻き起こっていた。
----重力、火炎、凍結、雷撃。そして今放った、暴風。
1つの属性を司る妖精にしてはあるまじき、種類の豊富さに驚きを隠せなかったが、それ以上に【暴力】を司るからこそ、力負けしているというのが、ハルファスには信じられなかった。
「【暴力】は、純粋に相手を支配しようとする、その一方的すぎる理不尽さが重要だと私は、本質を見抜くこの暴風形態ヴァーミリオンは考えます!」
「つまり、私は【暴力】なのにも関わらず、考えすぎた?」
そう、ここに来てハルファスは理解した。
【暴力】を司るハルファスなのにも関わらず、暴力とは縁遠い、頭で考えるという事そのものが【暴力】に向いていないのだと、ハルファスはそう感じ取っていた。
「……そうか。【暴力犯罪空間】では、人々に暴力を、理性なき暴力を強いるのにも関わらず私は魔王ユギー様の様々な力を使う事に必死になっていました。それでは、確かに【暴力】とは、頭で考えてやるだなんて……不相応で仕方がなくて……」
ガクッと、倒れるハルファス。
それと共に、身体は分解され、そのままスーッと煙のように消えて行くのであった。
消えると共に、【暴力のハルファス】が行っていた【暴力犯罪空間】の効果は消え、皆は元に戻るのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
~~魔王ユギーの五本槍 無敵のナタラ~~
「やられちゃったねぇ~、ハルファスちゃん」
「雨が降るから、洗濯物を取り込まないといけないですね」くらいに、少女はさも当然のように語っていた。それに対して私は、「そうですね」と答えていた。
「いやぁ~、そもそも【暴力】って相性が良いんではないんですよねぇ~。魔王ユギーも、そして五本槍も、権能はあくまでもルール追加であって、自分にだけ有利な判定とか無理なんですよぉ~。自分は【暴力】を司っているのに、冷静沈着に対処するのって、変ですから。【暴力】を司っているのなら、敵も、そして自分も、ノーガードで殴り合うくらいの気迫を見せて欲しかったですわぁ~」
「カイデンは、どうなんだ? あいつは剣攻撃を強いるのに、自分は剣による斬撃無効化という、一方的すぎると思うが?」
「……カイデンは良いんですよ。【闘争】、カイデンにとっては"戦い合う事"という行為そのものが重要なのであって、その理不尽さとかは良いんですから! カイデンはアレで良いんです、そうアレで!」
えらく、曖昧だなーと私はそう思っていた。
「それより、ハルファスが倒された事で、アレも戻ってきましたよ!」
と、少女はそう笑いながら、手を大きく広げる。次の瞬間、少女の手の中に刀が出現する。
----娯楽刀アカツキ。暴力のハルファスに渡しておいた、魔王ユギー愛用の刀。
ハルファスには"折れない"、"曲がらない"、"壊れない"という事のみ教えておいたが、このアカツキにはもう一つ、能力がある。
それは、"帰還"。魔王様的には、「投げた後、取りに行くのは面倒だから、自分で戻って来て欲しいな~」という、ブーメラン的な考えだと思っているんでしょうけれども、持ち主がどこに居ようとも戻って来る転移能力を得た武器なんて、怖すぎるんだけれども。
「魔王ユギーの身体は、右腕、左腕、左足の3カ所が赤色に染まっていた。これは五本槍に渡していた力が戻って来たのを意味する」
ハルファスが、五本槍2人の能力を使えたのもそれが理由。
闘争のカイデンに渡しておいた"剣による支配空間の生成"の力。狩猟のドン・デーロに渡しておいた"残存記憶を参照しての複製"の力。この2つの力が使えたのも、魔王ユギーの身体に、該当の五本槍が倒されて力が戻ってきているから。
赤くなっている部分は、3つ。倒された五本槍は、2人。
そう、数が合わない。
少女はアカツキと共に戻って来た、魔王ユギーの右腕を優しく撫でる。
「カイデンやドン・デーロと比べて、この右腕の力の持ち主は、配信文化が全盛期。つまり、魔王ユギーが封印される前にやられた。もう、復活させても問題ないでしょう?」
「そうよね?」と少女は言い、私は確かにそうだなと頷くのであった。
(※)【暴力】
新・五本槍の1人、ハルファスが司る称号。魔王ユギーから任命された称号
暴力的な行為、周囲の被害など全く考えずに力を振るえば、その分、力は増大していく。また周囲の物体にも影響を及ぼし、巻物などに描かれているだけのモノを召喚したりと、対応力は高い
この能力の厄介な点は、"思考する事"。思考すればするほど、暴力性とかけ離れてしまうため、色々と考えるほど力が弱くなってしまう。なお、この弱体化能力はハルファスにのみ適応され、よってハルファスがなんも考えずに力を振るっていれば、ヴァーミリオンは勝てなかったとも言える
闘争のカイデン「私は、戦い合いう事が大事なんで、その結果が接戦だろうが、一方的だろうが、どうでも良いんです。なので、私のみ剣攻撃は効かない無効化能力とかアリなんです」
暴力のハルファス「私もその方が良かった……」
闘争のカイデン「暴力は、一方的な蹂躙劇。敵など一切ない無双状態なのに、いちいち考えているのっておかしいでしょ?」
「なんのっ!」
それをハルファスは、土壁を作り出して地面に電撃を逃がす。
賢しい者ならば、『水は不純物があるから、電気が通る。水を操れるのならば、土壁なんかよりもそっちの方が良いのでは?』という意見もあるだろう。無論、ハルファス自身もその事は知っている。
しかし、魔王ユギー様は知らない。
いや、相性が悪いというべきだろう。
魔王ユギー様の戦術、スキルは全て遊び、ゲームが基本になっている。
魔王ユギーの五本槍である5人の権能も、全てがゲームがモチーフになっている。"狩猟のドン・デーロ"はハンティングゲーム、"闘争のカイデン"は格闘ゲームをモチーフにしている。ハルファスの【暴力犯罪空間】も"おままごと"を曲解して皆が世紀末世界の役柄として演じているという事から出来たモノだ。
だからこそ、『一部の純粋すぎる水は電気を通さないが、ほとんどの水には不純物が含まれているから電気を通す』なので、魔王ユギー様が作り出す水は雷を通してしまう。
「そのイメージが、あなたを倒すのです」
そうやって困惑するハルファスに、ヴァーミリオンが殴り掛かる。
慌ててハルファスがアカツキで防ごうとするも、ガクッと腕に大きな衝撃が走る。
「なっ……?! 【暴力】を司るこの私が、力負け、力負け、力負けしてるだなんて!」
「【暴力】を司るから、ですよ!」
ヴァーミリオンはググっと力を込める。すると、ヴァーミリオンの身体全体に強い光が満ちて行き、暴風が巻き起こっていた。
----重力、火炎、凍結、雷撃。そして今放った、暴風。
1つの属性を司る妖精にしてはあるまじき、種類の豊富さに驚きを隠せなかったが、それ以上に【暴力】を司るからこそ、力負けしているというのが、ハルファスには信じられなかった。
「【暴力】は、純粋に相手を支配しようとする、その一方的すぎる理不尽さが重要だと私は、本質を見抜くこの暴風形態ヴァーミリオンは考えます!」
「つまり、私は【暴力】なのにも関わらず、考えすぎた?」
そう、ここに来てハルファスは理解した。
【暴力】を司るハルファスなのにも関わらず、暴力とは縁遠い、頭で考えるという事そのものが【暴力】に向いていないのだと、ハルファスはそう感じ取っていた。
「……そうか。【暴力犯罪空間】では、人々に暴力を、理性なき暴力を強いるのにも関わらず私は魔王ユギー様の様々な力を使う事に必死になっていました。それでは、確かに【暴力】とは、頭で考えてやるだなんて……不相応で仕方がなくて……」
ガクッと、倒れるハルファス。
それと共に、身体は分解され、そのままスーッと煙のように消えて行くのであった。
消えると共に、【暴力のハルファス】が行っていた【暴力犯罪空間】の効果は消え、皆は元に戻るのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
~~魔王ユギーの五本槍 無敵のナタラ~~
「やられちゃったねぇ~、ハルファスちゃん」
「雨が降るから、洗濯物を取り込まないといけないですね」くらいに、少女はさも当然のように語っていた。それに対して私は、「そうですね」と答えていた。
「いやぁ~、そもそも【暴力】って相性が良いんではないんですよねぇ~。魔王ユギーも、そして五本槍も、権能はあくまでもルール追加であって、自分にだけ有利な判定とか無理なんですよぉ~。自分は【暴力】を司っているのに、冷静沈着に対処するのって、変ですから。【暴力】を司っているのなら、敵も、そして自分も、ノーガードで殴り合うくらいの気迫を見せて欲しかったですわぁ~」
「カイデンは、どうなんだ? あいつは剣攻撃を強いるのに、自分は剣による斬撃無効化という、一方的すぎると思うが?」
「……カイデンは良いんですよ。【闘争】、カイデンにとっては"戦い合う事"という行為そのものが重要なのであって、その理不尽さとかは良いんですから! カイデンはアレで良いんです、そうアレで!」
えらく、曖昧だなーと私はそう思っていた。
「それより、ハルファスが倒された事で、アレも戻ってきましたよ!」
と、少女はそう笑いながら、手を大きく広げる。次の瞬間、少女の手の中に刀が出現する。
----娯楽刀アカツキ。暴力のハルファスに渡しておいた、魔王ユギー愛用の刀。
ハルファスには"折れない"、"曲がらない"、"壊れない"という事のみ教えておいたが、このアカツキにはもう一つ、能力がある。
それは、"帰還"。魔王様的には、「投げた後、取りに行くのは面倒だから、自分で戻って来て欲しいな~」という、ブーメラン的な考えだと思っているんでしょうけれども、持ち主がどこに居ようとも戻って来る転移能力を得た武器なんて、怖すぎるんだけれども。
「魔王ユギーの身体は、右腕、左腕、左足の3カ所が赤色に染まっていた。これは五本槍に渡していた力が戻って来たのを意味する」
ハルファスが、五本槍2人の能力を使えたのもそれが理由。
闘争のカイデンに渡しておいた"剣による支配空間の生成"の力。狩猟のドン・デーロに渡しておいた"残存記憶を参照しての複製"の力。この2つの力が使えたのも、魔王ユギーの身体に、該当の五本槍が倒されて力が戻ってきているから。
赤くなっている部分は、3つ。倒された五本槍は、2人。
そう、数が合わない。
少女はアカツキと共に戻って来た、魔王ユギーの右腕を優しく撫でる。
「カイデンやドン・デーロと比べて、この右腕の力の持ち主は、配信文化が全盛期。つまり、魔王ユギーが封印される前にやられた。もう、復活させても問題ないでしょう?」
「そうよね?」と少女は言い、私は確かにそうだなと頷くのであった。
(※)【暴力】
新・五本槍の1人、ハルファスが司る称号。魔王ユギーから任命された称号
暴力的な行為、周囲の被害など全く考えずに力を振るえば、その分、力は増大していく。また周囲の物体にも影響を及ぼし、巻物などに描かれているだけのモノを召喚したりと、対応力は高い
この能力の厄介な点は、"思考する事"。思考すればするほど、暴力性とかけ離れてしまうため、色々と考えるほど力が弱くなってしまう。なお、この弱体化能力はハルファスにのみ適応され、よってハルファスがなんも考えずに力を振るっていれば、ヴァーミリオンは勝てなかったとも言える
闘争のカイデン「私は、戦い合いう事が大事なんで、その結果が接戦だろうが、一方的だろうが、どうでも良いんです。なので、私のみ剣攻撃は効かない無効化能力とかアリなんです」
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