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第428話 交渉するなら要求を通そう配信
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「――つまり、今のままだとジュールちゃんのお店の評判が悪いから、ジュールちゃんとワットちゃんの2人での模範試合をお願いしたいという訳か」
緑髪女性の商人さんの話をまとめると、緑髪女性はコクコクっと頷いていた。
うん、話は分かったんだけれども、正直そっちの問題じゃないと思う私なのであった。
そもそも、料理対決勝負に興味のないジュールちゃんとワットちゃんを大会という形で、戦うように言ってきたのはスワロウ商工組合の皆様じゃないですか。そして、2人が全く対決に興味がないからという理由で、代案として持ち上がったのが、2人の一番弟子であるアオギとレガリスの2人を代表としての、チーム戦である。
大会という舞台を用意したのが、スワロウ商工組合であり、なおかつ2人にも必ず利があるからという理由だからこそ、2人は承諾したのである。
想定が出来ないトラブルだというが、そういうトラブルをもきちんと想定しておいておく事こそ、スワロウ商工組合の役割なんじゃないかって、私はそう思うのだけれども。
「そういう訳なんだけど、ワットちゃんはやる気がある?」
そもそも、このエキシビションマッチこそ、ワットちゃんには利がない話だ。
このエキシビションマッチを引き受けたところで、利益があるのは舐められているジュールちゃんのお店であり、ワットちゃんには何も関係ないのだ。
「……そうですね。正直な話、する気が全くない、どうでも良いというのが私なりの意見なのですが」
「そうアルね。お客様がそういう意見なら、直接来てもらってもない人間からの評判なんて、どうでも良いよろし」
ほら、ワットちゃんだけではなく、ジュールちゃんにまで断られているじゃないですか。
ダメですよこれ。こちらが何でもお願いすれば叶えてくれる、そういう便利屋みたいな扱いとか、こちらは認めませんからね。
「うぅ……どうしてもダメ。でしょうか?」
緑髪女性はそう涙目混じりだが、こちらも何でも引き受けるという訳ではないからねぇ。
「「「せめて、なにかこちらにとって利がある事を条件にしてもらえないと、交渉にもなりませんよ」」」
私達の言葉に、緑髪女性は「すぐ上司を連れてきます!」といって走って行くのであった。
その後、緑髪女性が連れて来たスワロウ商工組合の幹部さん達一行から、エキシビションマッチに出るだけの見返りを、ジュールちゃんとワットちゃんの2人は貰うのであった。
ジュールちゃんは、自分のラーメンに使用する用の製麵所を作るための投資をお願いしていた。ラーメンにはそれぞれ最適な麵があり、それはスープや具によって細かく調整した方が美味しく作れるのだ。そのために、専用の製麺所を作るための投資をお願いしたいんだそうだ。まぁ、自分の店専用の麵製作所が作れる足掛かりとなって嬉しそうだ。
ワットちゃんは、専用のピザ窯を作って欲しいとお願いしていた。一応、既にピザ釜はあるのだが、それはあくまでも汎用性の高い一般的なピザ窯であって、彼女が欲しているのは、ピザを焼く人がこだわりにこだわり抜いた先で到達する超一流のピザ窯である。私なんか足元にも及ばない専門家たちが、心血注いで作るような専用のピザ窯。いったい、いくらになる事やら……。
どちらも、ポンッと即決できるようなモノではなかったはずだが、それでも良いと納得してくれたのは、スワロウ商工組合の資金力の高さというべきか。心意気が凄いと言うべきか。
こうして、エキシビションマッチが開かれる事になったのだが、ジュールちゃんとワットちゃんは、どうせならと、一番弟子であるアオギとレガリスの2人も呼ぶようにお願いしていた。
ジュールちゃんとアオギ、ワットちゃんとレガリス。2人の店主とその一番弟子による、オムライス対決という、なんとも豪華な対決が実現した訳である。
「(それで本当に、大丈夫か? この後、第3回戦の、『今までにない新概念のお肉料理』が控えているのに、その前にこんな大規模な優勝決定戦なんか開いて、本当に大丈夫?)」
私としては、本末転倒というか、未来を見据えてないその場主義の強行みたいに見えたのだけれども、敢えて口にはしなかった。もうそんな事、どうでも良い。
この優勝決定戦みたいな、オムライス対決以上に第3回戦が盛り上がる未来が、私には見えない。オムライス料理対決がピークでしょ、絶対。
それだったら、そろそろ帰って、本格的にゴーレム作りに着手したいし。
――あっ、それと審査員をやってくれないかという要請もあったけど、勿論断っておいたよ。なんでもあの満点グルメライターが、かなーり問題になっているというか、どうにかしたいと思っていて、だったら錬金術師ススリアをという対応だったみたいだけれども、私だっていやだよ。そんな重要な仕事。
こうして、VIPルームで1人となった私は、ジュールちゃんとワットちゃんのオムライス料理対決とやらを見学する事になったのでありました。
緑髪女性の商人さんの話をまとめると、緑髪女性はコクコクっと頷いていた。
うん、話は分かったんだけれども、正直そっちの問題じゃないと思う私なのであった。
そもそも、料理対決勝負に興味のないジュールちゃんとワットちゃんを大会という形で、戦うように言ってきたのはスワロウ商工組合の皆様じゃないですか。そして、2人が全く対決に興味がないからという理由で、代案として持ち上がったのが、2人の一番弟子であるアオギとレガリスの2人を代表としての、チーム戦である。
大会という舞台を用意したのが、スワロウ商工組合であり、なおかつ2人にも必ず利があるからという理由だからこそ、2人は承諾したのである。
想定が出来ないトラブルだというが、そういうトラブルをもきちんと想定しておいておく事こそ、スワロウ商工組合の役割なんじゃないかって、私はそう思うのだけれども。
「そういう訳なんだけど、ワットちゃんはやる気がある?」
そもそも、このエキシビションマッチこそ、ワットちゃんには利がない話だ。
このエキシビションマッチを引き受けたところで、利益があるのは舐められているジュールちゃんのお店であり、ワットちゃんには何も関係ないのだ。
「……そうですね。正直な話、する気が全くない、どうでも良いというのが私なりの意見なのですが」
「そうアルね。お客様がそういう意見なら、直接来てもらってもない人間からの評判なんて、どうでも良いよろし」
ほら、ワットちゃんだけではなく、ジュールちゃんにまで断られているじゃないですか。
ダメですよこれ。こちらが何でもお願いすれば叶えてくれる、そういう便利屋みたいな扱いとか、こちらは認めませんからね。
「うぅ……どうしてもダメ。でしょうか?」
緑髪女性はそう涙目混じりだが、こちらも何でも引き受けるという訳ではないからねぇ。
「「「せめて、なにかこちらにとって利がある事を条件にしてもらえないと、交渉にもなりませんよ」」」
私達の言葉に、緑髪女性は「すぐ上司を連れてきます!」といって走って行くのであった。
その後、緑髪女性が連れて来たスワロウ商工組合の幹部さん達一行から、エキシビションマッチに出るだけの見返りを、ジュールちゃんとワットちゃんの2人は貰うのであった。
ジュールちゃんは、自分のラーメンに使用する用の製麵所を作るための投資をお願いしていた。ラーメンにはそれぞれ最適な麵があり、それはスープや具によって細かく調整した方が美味しく作れるのだ。そのために、専用の製麺所を作るための投資をお願いしたいんだそうだ。まぁ、自分の店専用の麵製作所が作れる足掛かりとなって嬉しそうだ。
ワットちゃんは、専用のピザ窯を作って欲しいとお願いしていた。一応、既にピザ釜はあるのだが、それはあくまでも汎用性の高い一般的なピザ窯であって、彼女が欲しているのは、ピザを焼く人がこだわりにこだわり抜いた先で到達する超一流のピザ窯である。私なんか足元にも及ばない専門家たちが、心血注いで作るような専用のピザ窯。いったい、いくらになる事やら……。
どちらも、ポンッと即決できるようなモノではなかったはずだが、それでも良いと納得してくれたのは、スワロウ商工組合の資金力の高さというべきか。心意気が凄いと言うべきか。
こうして、エキシビションマッチが開かれる事になったのだが、ジュールちゃんとワットちゃんは、どうせならと、一番弟子であるアオギとレガリスの2人も呼ぶようにお願いしていた。
ジュールちゃんとアオギ、ワットちゃんとレガリス。2人の店主とその一番弟子による、オムライス対決という、なんとも豪華な対決が実現した訳である。
「(それで本当に、大丈夫か? この後、第3回戦の、『今までにない新概念のお肉料理』が控えているのに、その前にこんな大規模な優勝決定戦なんか開いて、本当に大丈夫?)」
私としては、本末転倒というか、未来を見据えてないその場主義の強行みたいに見えたのだけれども、敢えて口にはしなかった。もうそんな事、どうでも良い。
この優勝決定戦みたいな、オムライス対決以上に第3回戦が盛り上がる未来が、私には見えない。オムライス料理対決がピークでしょ、絶対。
それだったら、そろそろ帰って、本格的にゴーレム作りに着手したいし。
――あっ、それと審査員をやってくれないかという要請もあったけど、勿論断っておいたよ。なんでもあの満点グルメライターが、かなーり問題になっているというか、どうにかしたいと思っていて、だったら錬金術師ススリアをという対応だったみたいだけれども、私だっていやだよ。そんな重要な仕事。
こうして、VIPルームで1人となった私は、ジュールちゃんとワットちゃんのオムライス料理対決とやらを見学する事になったのでありました。
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