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第201話 コ・ラホ領のサクラアさん配信(2)
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「って、これはただの変形式のおもちゃじゃないですか!」
私は、サクラアさんが出して来た人形を、バシッと地面に叩きつけた。
これは、ただの変形式のおもちゃ人形じゃないですか!
あれだね。前世で見た、変形して合体する事で巨大なヒト型ロボットになるっていう、子供達に大人気のおもちゃにそっくりじゃないですか。
まさか、こんなおもちゃとピエームを、一緒の物として捉えて私を呼び出したなんてなぁ……。
「いきなり人形を叩き落として、どうしたんですか?! 私になにか、問題が?!」
「そこまで大げさに捉えなくて大丈夫です。ボスが予想していたモノではありませんでしたので、少し驚いていただけでしょう。それよりも、いきなり立ち上がると巨体すぎてびっくりです」
カゲミツくんの言う通り、2mを越すムキムキボディの持ち主であるサクラアさんが立ち上がると、かなり怖いんですけれども。本人には威圧する気持ちは全然ないのだろうけれども、2mを越す巨体の人間が立つだけでも普通の人にとっては脅威よ、本当に。
「いや、本当にごめん。こちらとしても想定していたモノとまるっきり違いすぎて、つい思わず」
「私の方から説明させていただきます」
謝罪しつつ、人形を拾い直す私。そしてその私をフォローするように、カゲミツくんが前に出てくれて説明してくれる。
「ボスはいま、とある女性----恐らく、サクラアさんがこの変形式人形を作るのに参考にされたピエームさんを救うために行動されています。今回の会談に応じたのもそれが目的であり、その救助の手助けになればと思って来たのです」
私の手から人形を奪い取ったカゲミツくんは、人形の手足をクルクル変形させる。
「ピエームさんをこの人形のように変形できれば済むのですが、残念ながらそういう事は出来ません。サクラアさんには悪いですが、ボスが思い描いた形には使えなかったので、思わず投げ捨ててしまわれたのです。
ボスは、人を救いたいと本気で思われている。そんな中に見せられたので混乱なされたのかと。追い詰められると、人は思わぬ行動を取ってしまうモノです」
丁寧な語り口、そして私の事情を通してサクラアさんは悪くないよと語るその手腕。
----有能! このゴーレム、私が思っている以上に有能すぎるんですけれども?!
「(こんなにも饒舌に、人を説得するような会話能力をカゲミツくんに搭載してたっけ……?)」
そもそも、カゲミツくんはサビキとトカリの2人が【刀剣拳法】をちゃんとマスターしたかを把握するために作ったゴーレムだ。必要な機能としては、【刀剣拳法】を再現するだけの能力。それだけはきちんと使えるように作ったが、それ以上の機能は基礎的な物しか与えていないはずだ。
今回の事のように、私を助けるためにサクラアさんを説得するなんていう、高度な交渉能力機能はないはずなんだけれども。
「(ゴーレムが成長……? 生体素材を使っているドラゴンの身体を使っているアレイスターが成長するなら分かるが、カゲミツくんに使っているモノで特別なのは、心臓代わりの妖刀くらいなものだ)」
その妖刀だって、別にそこまで特別な代物ではないはずで、今回のように交渉能力の急上昇に繋がっているとは思えない。
カゲミツくんに問題がないとすれば、【アルファ・ゴーレムサポートシステム】の方か。
自動修復機能、そして何か問題があった場合にこちらに伝えるための管理者としてアルファくんを搭載するという、二段階にてチェックをする態勢にしていた。
これは成長という事で別に悪い事ではないのだが、それでも錬金術師として、というよりも技術者としては、想定していないトラブルは解決しておくことに限る。今後、どのような間違った成長が起こるか、分かったモノじゃないですから。
----帰ったら、【アルファ・ゴーレムサポートシステム】の緊急点検をしないといけないでしょうなぁ。
なんて、錬金術師としてカゲミツくんの様子を観察していると、
----ガシッ。
サクラアさんはガシッと、その逞しい手で、カゲミツくんの手を掴んでいた。
「好きですっ! 付き合ってくださいっ……!」
「瞳がハートなの、普通に怖いです。ボス、助けてください!」
なんか、すっごく気に入られて、うちのカゲミツくんが求婚されてるんだけど?!
2mを越える筋肉ムッキムキの女性が、目をハートにして抱きしめているのは、ちょっと見ていられない部分があるな。あと、カゲミツくんの尻尾が普通に嫌そうに震えているし、完全にサクラアさんの暴走だろう。
「(母方の血……アマゾネスの血か?)」
アマゾネスは、女系の戦闘民族である。
筋肉ムキムキで、戦闘能力が高いアマゾネスにとって、相手に必要としているのは純粋なる力のみ。アマゾネスである彼女達が相手に出来る者は、獣人族や魚人族だけではなく、果ては魔物まで……とにかく、女性でなければ相手は誰でも良い。
だからと言って、まさかゴーレムであるカゲミツくんに求婚するとは思ってなかった。
……サクラアさんって、普通に良家の御令嬢で、デビュタントを控えている身でしたよね?
そんな人が、成人前に、ゴーレム相手に求婚して、果たして大丈夫なんだろうか?
私は、サクラアさんが出して来た人形を、バシッと地面に叩きつけた。
これは、ただの変形式のおもちゃ人形じゃないですか!
あれだね。前世で見た、変形して合体する事で巨大なヒト型ロボットになるっていう、子供達に大人気のおもちゃにそっくりじゃないですか。
まさか、こんなおもちゃとピエームを、一緒の物として捉えて私を呼び出したなんてなぁ……。
「いきなり人形を叩き落として、どうしたんですか?! 私になにか、問題が?!」
「そこまで大げさに捉えなくて大丈夫です。ボスが予想していたモノではありませんでしたので、少し驚いていただけでしょう。それよりも、いきなり立ち上がると巨体すぎてびっくりです」
カゲミツくんの言う通り、2mを越すムキムキボディの持ち主であるサクラアさんが立ち上がると、かなり怖いんですけれども。本人には威圧する気持ちは全然ないのだろうけれども、2mを越す巨体の人間が立つだけでも普通の人にとっては脅威よ、本当に。
「いや、本当にごめん。こちらとしても想定していたモノとまるっきり違いすぎて、つい思わず」
「私の方から説明させていただきます」
謝罪しつつ、人形を拾い直す私。そしてその私をフォローするように、カゲミツくんが前に出てくれて説明してくれる。
「ボスはいま、とある女性----恐らく、サクラアさんがこの変形式人形を作るのに参考にされたピエームさんを救うために行動されています。今回の会談に応じたのもそれが目的であり、その救助の手助けになればと思って来たのです」
私の手から人形を奪い取ったカゲミツくんは、人形の手足をクルクル変形させる。
「ピエームさんをこの人形のように変形できれば済むのですが、残念ながらそういう事は出来ません。サクラアさんには悪いですが、ボスが思い描いた形には使えなかったので、思わず投げ捨ててしまわれたのです。
ボスは、人を救いたいと本気で思われている。そんな中に見せられたので混乱なされたのかと。追い詰められると、人は思わぬ行動を取ってしまうモノです」
丁寧な語り口、そして私の事情を通してサクラアさんは悪くないよと語るその手腕。
----有能! このゴーレム、私が思っている以上に有能すぎるんですけれども?!
「(こんなにも饒舌に、人を説得するような会話能力をカゲミツくんに搭載してたっけ……?)」
そもそも、カゲミツくんはサビキとトカリの2人が【刀剣拳法】をちゃんとマスターしたかを把握するために作ったゴーレムだ。必要な機能としては、【刀剣拳法】を再現するだけの能力。それだけはきちんと使えるように作ったが、それ以上の機能は基礎的な物しか与えていないはずだ。
今回の事のように、私を助けるためにサクラアさんを説得するなんていう、高度な交渉能力機能はないはずなんだけれども。
「(ゴーレムが成長……? 生体素材を使っているドラゴンの身体を使っているアレイスターが成長するなら分かるが、カゲミツくんに使っているモノで特別なのは、心臓代わりの妖刀くらいなものだ)」
その妖刀だって、別にそこまで特別な代物ではないはずで、今回のように交渉能力の急上昇に繋がっているとは思えない。
カゲミツくんに問題がないとすれば、【アルファ・ゴーレムサポートシステム】の方か。
自動修復機能、そして何か問題があった場合にこちらに伝えるための管理者としてアルファくんを搭載するという、二段階にてチェックをする態勢にしていた。
これは成長という事で別に悪い事ではないのだが、それでも錬金術師として、というよりも技術者としては、想定していないトラブルは解決しておくことに限る。今後、どのような間違った成長が起こるか、分かったモノじゃないですから。
----帰ったら、【アルファ・ゴーレムサポートシステム】の緊急点検をしないといけないでしょうなぁ。
なんて、錬金術師としてカゲミツくんの様子を観察していると、
----ガシッ。
サクラアさんはガシッと、その逞しい手で、カゲミツくんの手を掴んでいた。
「好きですっ! 付き合ってくださいっ……!」
「瞳がハートなの、普通に怖いです。ボス、助けてください!」
なんか、すっごく気に入られて、うちのカゲミツくんが求婚されてるんだけど?!
2mを越える筋肉ムッキムキの女性が、目をハートにして抱きしめているのは、ちょっと見ていられない部分があるな。あと、カゲミツくんの尻尾が普通に嫌そうに震えているし、完全にサクラアさんの暴走だろう。
「(母方の血……アマゾネスの血か?)」
アマゾネスは、女系の戦闘民族である。
筋肉ムキムキで、戦闘能力が高いアマゾネスにとって、相手に必要としているのは純粋なる力のみ。アマゾネスである彼女達が相手に出来る者は、獣人族や魚人族だけではなく、果ては魔物まで……とにかく、女性でなければ相手は誰でも良い。
だからと言って、まさかゴーレムであるカゲミツくんに求婚するとは思ってなかった。
……サクラアさんって、普通に良家の御令嬢で、デビュタントを控えている身でしたよね?
そんな人が、成人前に、ゴーレム相手に求婚して、果たして大丈夫なんだろうか?
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