処女壊体-the making of a saint-

柘榴

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第7章 耽溺の刑

第47話 狂い壊れた心

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「なんで……っ、なんで……っえッ……」

 髪を鷲掴みにされた葵は、首輪をされた猛犬の様に暴れる。だが、その抵抗すらうまく力が入っておらず、酷く弱々しい。
 それでも、床に散乱した覚醒剤を舐め取ろうと必死に蠢く。
「君が一回の摂取で身も心もここまで壊れるとは思っていなくてね。正直、驚いた。だから、色々と当初の計画を考え直そうと思っていてね」
 本来ならば、薬の摂取を複数回行い、葵が徐々に壊れていく様を細かく経過観察しようと考えていた。

 だが、葵が一回の摂取でここまで壊れ、狂ってしまったのは誤算だった。
「一回の摂取でこの状態なら、これ以上の量の摂取を繰り返していればどうなるかは君も分かるだろう? 身も心も完全に崩壊する。人間ではいられなくなる」
 葵自身の体質か、もしくは摂取量が幼い葵には多過ぎたのか……とにかく、これ以上の多量摂取は死にも繋がる可能性がある。
 こんな序盤で実験動物に死なれてしまっては計画に支障が生じる。葵にはこれからも多くの犠牲になってもらう必要があるのだから、簡単には死なせない。
「それに、身体中の傷口の状態も悪化している。禁断症状に耐えきれずにこれ以上に酷く傷口を掻き毟れば、更に肉は抉れ、化膿も悪化する。そんな状態の君に、これ以上の薬を簡単に与える訳にはいかないんだ」
 精神面に加え、肉体面でも葵は既にボロボロだった。酷く化膿した傷口を更に爪で掻き毟り、抉り続けた事で全身の傷口から充血した真っ赤な肉が露出してしまっている。

「そん、な……ァ……あ、やだ……ぁ……いや……あ……ぁ」
 傷だらけの葵が泣き喚くが、僕はそれでも譲らない。
 僕が個人的に葵へ意地悪をしたいという理由もあるが、それに加えてこれは次なる実験の前段階でもある。

 薬物中毒に陥った葵が覚醒剤を摂取する為、どこまで壊れ、狂う事が出来るのか?
 それを知る為に僕はあえて葵に試練を与え、次なる実験へと葵を誘導しているのだ。

「なら、どうする? 僕も鬼じゃないからね、君がこれ以上、自分の身体を傷付けないと言うのなら考えてあげても良いが……」
 覚醒剤の入った小袋を振り子の様に降らし、葵を翻弄する。
 葵はその白い粉末に釘付けになると共に身体の痙攣が増し、口からは涎を垂れ流し、失禁していた。床へびちゃびちゃと尿が流れ出す。
「しませんっ、しない、しなぃからあ……ッ、ぜったい、しないしないしないぃからぁ!」
 喉が焼き切れるくらいの勢いで葵は吠える。最早、葵の欲求は抑えきれない程に肥大化していた。身体が本能的に快楽を求め、目は血走っている。
 だが、そう簡単に葵の思い通りにさせる訳にはいかない。僕は覚醒剤の入った小袋をポケットにしまう。
「信用できないなぁ、口先だけじゃ誠意はまるで伝わってこないよ、葵。行動で示してくれないとねぇ……」
 僕は非情な態度で葵を突き放す。葵は容易に倒れ込むが、痙攣しながらもすぐにふらふらと立ち上がる。

「わかった……みて、て」
「ん?」
 葵はそれだけ言うと、ゆっくりと部屋の奥へと進んで行く。
 痙攣する身体を押さえ付けながら、葵が目指したのは……僕が茜の調教の為に取り揃えたの拷問器具、医療器具の収納箱の一つだった。
「はぁ、はァ……ッ……は……っ」
 葵は息を切らしながら、ぎっしりと詰め込まれた器具の山から何かを探し出そうとしている。がちゃがちゃと音を立てながら、頭まで突っ込んで箱の中身を吟味している。
「何を探している?」
 葵は僕に見向きもせずに何かを探し続ける。拷問器具、医療器具……あらゆる器具がこの部屋には揃っているが、葵が一体何を探し、それで何をしようとしているかは僕にも検討がつかなかった。

 そして、十分が経過した頃。葵は器具の山からようやく帰還した。目当てのものを探し当てた様で、その手にはそれが握られていた。
「あった……あったよ、ねぇ、みてて、みててね……たかしろ、さん……っ?」
 その手には、一本のマイナスドライバー。何か特別な仕組みがある訳でも無い平凡なものだ。
「それで、どう誠意を示すんだい? 僕には想像もつかないが……」
「みてて、みてて、たかしろ、さん……ッ!」
 すると、僕が話し終えるのも待たずに葵は行動に出た。
 握られたマイナスドライバーを自らの指の肉と爪の間へと、力任せに差し込んだのだ。肉が裂け、血が流れ出ると同時に葵の声にもならない悲鳴が漏れ出す。

「ぎッ……ぃ……イ……」
 葵は表情を歪めながらも更に奥へとマイナスドライバーを深々と差し込んでいく。みちみちと肉が裂け、爪が乖離していく音が僕の耳へと届く。
 そして、マイナスドライバーが指先に深々と突き刺さったまま、葵は僕の方を見て言う。

「いまから、わるいつめをはがしますからッ……ぜんぶ、はがしますから……みててっ……ぇ? ねぇ? これで、もうきず、つかないから……ね?」

 深々とマイナスドライバーが突き刺さった指先。血がどくどくと溢れ続けている。
 そして、葵はテコの原理を利用し、マイナスドライバーを傾けながら自らの爪をゆっくりと、確実に引き剥がしていく。
「ぎ……ぁ……ァ……ッ……いっ……」
 そして、ようやく血と膿に塗れた爪の一枚が指先から乖離し床へと落ちる。
 爪を失った指先からは血が溢れ、肉はほとんど抉れ、失われてしまっている。
 
 そう、これが葵の示した誠意なのだ。
 爪を全て剥がす事で、自らの身体を傷付けないという誓いを証明しようとしている。
 
 そして、僕は確信した。葵は既に壊れ、狂っていると。

「……良いだろう、それが君の誠意というのなら……最後まで見届けよう」
 
 僕は床に転がる葵の小さな爪を踏み潰し、不敵な笑みを浮かべた。
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