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第9章 洗脳の刑
第62話 狂気の結託
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「さぁ、どうぞ」
僕はそう言ってガレージの入口を開き、ティエラを淫靡なる聖域へと招き入れる。
漆黒と狂気が溶け合った空間へとティエラはゆっくりと一歩を踏み出す。
しかし、直ぐに二歩目が踏み出される事は無かった。
「なに……っ、随分と暗いし……湿っぽいし……何か臭うわよ……ごほっ……」
充満する醜悪な香りにティエラは表情を歪ませる。僕にとっては芳醇な香りでも、それ以外の人間にとっては吐き気を催す程の悪臭なのだろう。
ティエラもこういった部分は凡人なのだと僕は思う。
「ああ、すまないね。今日はまだ『換気』も『清掃』も終わっていないんだ。君が何の前触れも無く現れるから」
「換気、清掃……? 何の話……っ、う……」
口と鼻を手で覆いながら、ティエラは僕を睨みつける。その目には僅かだが涙すら浮かんでいる様に見えた。
この世のモノとは思えぬ、想像を絶する醜悪な空気と狂気に、ティエラは戸惑いを隠しきれていなかった。
「ちょっと……何とかしなさいよっ……こんな所に小一時間もいたら、どうかしそう……ここまで酷いのは初めて……っ」
ティエラもそれなりの修羅場を経験してきた筈だが、この空間は過去のそれらとは比べ物にならない程に淫靡で醜悪なのだろう。ティエラの歪んだ表情がそれを物語っている。
「やれやれ……注文の多い事だ。今、灯りを点けてやるが……くれぐれも腰を抜かさない様に頼むぞ」
僕は暗闇に眠る『聖処女』をお披露目をする為、ガレージの灯りを灯すスイッチを手にかける。
そして、スイッチを押して灯りを灯す。
「え……」
その瞬間、光が満たされティエラの目の前に聖処女の姿が映し出された。
血と脂と排泄物に塗れた彼女……吹山 茜が、僕たち二人の前に降臨したのだ。
「どうだい? 素晴らしい、美しいだろう。これが僕の芸術大作であり、最愛の人……『吹山 茜』だ」
ガレージの中心には、心の壊れた聖処女が静かに座していた。
その目には温度も生気も無く、ただ喉の奥から僅かに息が漏れる音がガレージに響くのみ。
「なに、これ……人間……なの……これ……?」
そして、茜を目にしてティエラが口にしたのはたったその一言だった。
自身の知る人間の姿とはかけ離れた茜の姿に、ティエラは目を見開く。
画像に記録された茜の姿を目にしている筈なのに、ティエラは動揺を隠しきれていない。
目の前の少女から漂う醜悪なオーラ、そして汚臭がティエラの想像を容易に超えていたのだ。
「いや、人間すら超越した聖処女だ。僕が彼女をここまで昇華させ、進化させた」
「……これ……っ」
後退るティエラが、何かを踏み付ける。そして、その正体を理解した時、恐る恐る僕の方を見つめる。
それは、垂れ流しになった糞尿の残骸。醜悪な空気の原因は、明らかにこのティエラの靴底に染み込んだこの汚物の塊だ。
「あの、画像を見た時から、考えてた……何の為に……ごほ……っ、ここまで……」
「分からないかい? 僕の意見に賛同する事を求める訳では無いが……まぁ、良いだろう。一先ず協力者となる君には説明しておこう」
そして、僕は信念に基づいた持論を掲げる。吹山 茜という少女をひたすら破壊し続けるその意味を。
僕の狂気の根源を。
「まず、僕はこの吹山 茜の美を完璧なものに、永久のモノにしたい。理想の聖処女に仕上げ、それを独占したい。端的に言えば、僕の望みはこれだけなんだ。その為に、彼女をこの姿にまで造り替えた」
理解、同意など求めていない。ただ、ティエラが興味を持って貰い、協力してくれるだけで良い。
嫌悪感を感じながらも、手を貸してくれさえすればそれで良い。
「僕の元から未来永劫離れられぬ様、余分な四肢は切り落とした。代わりに屈託のない最高級の人形の四肢を接合した。乳房に関しては……これは、僕の好みの問題だが、慎ましい聖処女の印象に成熟した乳房は不適格だと思ったものでね。茜の妹である吹山 葵の乳房を切り落とし、茜へと接合したんだ。本物の少女の、未発達でありながら熟し始めた淫靡な器官だ」
僕が接合されたばかりの乳房を力強く揉むと、縫い付けられた肉の間から中に残っていた血と脂がぐちゅ、と音を立てながら泡立った。
「今は進化の過程でしかないが……脳改造もその手段の一つに過ぎない。僕の意思で茜の心を操作し、造り替える事が出来るのならと考え、君に協力を求めた」
そして、僕は血と脂で汚れた手をティエラに差し出し、返答を求める。
「さぁ、どうだい? これが僕の信念……君の求める狂気さ」
その手をティエラが握り返すか否か……その返答に僕と茜の未来が懸かっていた。
僕はそう言ってガレージの入口を開き、ティエラを淫靡なる聖域へと招き入れる。
漆黒と狂気が溶け合った空間へとティエラはゆっくりと一歩を踏み出す。
しかし、直ぐに二歩目が踏み出される事は無かった。
「なに……っ、随分と暗いし……湿っぽいし……何か臭うわよ……ごほっ……」
充満する醜悪な香りにティエラは表情を歪ませる。僕にとっては芳醇な香りでも、それ以外の人間にとっては吐き気を催す程の悪臭なのだろう。
ティエラもこういった部分は凡人なのだと僕は思う。
「ああ、すまないね。今日はまだ『換気』も『清掃』も終わっていないんだ。君が何の前触れも無く現れるから」
「換気、清掃……? 何の話……っ、う……」
口と鼻を手で覆いながら、ティエラは僕を睨みつける。その目には僅かだが涙すら浮かんでいる様に見えた。
この世のモノとは思えぬ、想像を絶する醜悪な空気と狂気に、ティエラは戸惑いを隠しきれていなかった。
「ちょっと……何とかしなさいよっ……こんな所に小一時間もいたら、どうかしそう……ここまで酷いのは初めて……っ」
ティエラもそれなりの修羅場を経験してきた筈だが、この空間は過去のそれらとは比べ物にならない程に淫靡で醜悪なのだろう。ティエラの歪んだ表情がそれを物語っている。
「やれやれ……注文の多い事だ。今、灯りを点けてやるが……くれぐれも腰を抜かさない様に頼むぞ」
僕は暗闇に眠る『聖処女』をお披露目をする為、ガレージの灯りを灯すスイッチを手にかける。
そして、スイッチを押して灯りを灯す。
「え……」
その瞬間、光が満たされティエラの目の前に聖処女の姿が映し出された。
血と脂と排泄物に塗れた彼女……吹山 茜が、僕たち二人の前に降臨したのだ。
「どうだい? 素晴らしい、美しいだろう。これが僕の芸術大作であり、最愛の人……『吹山 茜』だ」
ガレージの中心には、心の壊れた聖処女が静かに座していた。
その目には温度も生気も無く、ただ喉の奥から僅かに息が漏れる音がガレージに響くのみ。
「なに、これ……人間……なの……これ……?」
そして、茜を目にしてティエラが口にしたのはたったその一言だった。
自身の知る人間の姿とはかけ離れた茜の姿に、ティエラは目を見開く。
画像に記録された茜の姿を目にしている筈なのに、ティエラは動揺を隠しきれていない。
目の前の少女から漂う醜悪なオーラ、そして汚臭がティエラの想像を容易に超えていたのだ。
「いや、人間すら超越した聖処女だ。僕が彼女をここまで昇華させ、進化させた」
「……これ……っ」
後退るティエラが、何かを踏み付ける。そして、その正体を理解した時、恐る恐る僕の方を見つめる。
それは、垂れ流しになった糞尿の残骸。醜悪な空気の原因は、明らかにこのティエラの靴底に染み込んだこの汚物の塊だ。
「あの、画像を見た時から、考えてた……何の為に……ごほ……っ、ここまで……」
「分からないかい? 僕の意見に賛同する事を求める訳では無いが……まぁ、良いだろう。一先ず協力者となる君には説明しておこう」
そして、僕は信念に基づいた持論を掲げる。吹山 茜という少女をひたすら破壊し続けるその意味を。
僕の狂気の根源を。
「まず、僕はこの吹山 茜の美を完璧なものに、永久のモノにしたい。理想の聖処女に仕上げ、それを独占したい。端的に言えば、僕の望みはこれだけなんだ。その為に、彼女をこの姿にまで造り替えた」
理解、同意など求めていない。ただ、ティエラが興味を持って貰い、協力してくれるだけで良い。
嫌悪感を感じながらも、手を貸してくれさえすればそれで良い。
「僕の元から未来永劫離れられぬ様、余分な四肢は切り落とした。代わりに屈託のない最高級の人形の四肢を接合した。乳房に関しては……これは、僕の好みの問題だが、慎ましい聖処女の印象に成熟した乳房は不適格だと思ったものでね。茜の妹である吹山 葵の乳房を切り落とし、茜へと接合したんだ。本物の少女の、未発達でありながら熟し始めた淫靡な器官だ」
僕が接合されたばかりの乳房を力強く揉むと、縫い付けられた肉の間から中に残っていた血と脂がぐちゅ、と音を立てながら泡立った。
「今は進化の過程でしかないが……脳改造もその手段の一つに過ぎない。僕の意思で茜の心を操作し、造り替える事が出来るのならと考え、君に協力を求めた」
そして、僕は血と脂で汚れた手をティエラに差し出し、返答を求める。
「さぁ、どうだい? これが僕の信念……君の求める狂気さ」
その手をティエラが握り返すか否か……その返答に僕と茜の未来が懸かっていた。
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