124 / 125
第15章 生誕の刑
第124話 生命の連鎖
しおりを挟む
その後、高城 亮は措置入院となり精神病棟へ収容される事となった。
罪人であっても治療が必要ならば当然の措置ではあるが、世論や警察内部では大きく物議を醸した。
それは、高城 亮の重ねた罪の残虐性、高城の異常性を見れば誰もがそう思う事だろう。
そして、その間にも被害者である三人の母の腹の中では順調に子供達は成長しているというのが残酷な現実であった。
「そうだ、子供達の名前を考えなくてはね。性別も判明はしていないが……まぁ、男でも『使える部位』はある、無駄な生命という事は無い」
ベッドに縛り付けられた高城は、毎日の様に人体解剖についての医学書を目にしながら、独り言を垂れ流し続けていた。
高城の症状は全く改善せず、それどころか被害者達との距離が離れた事により更に悪化しているとも考えられていた。
「どうせならば母親に由来した名を付けてやりたいね。そちらの方が愛着も湧く筈だろう?」
妄想の中の誰かと会話をしているのだろうか。最早、高城の視界には現実の世界など映ってすらいないのだろう。
『……ここに来てからは、ずっとあの様子です。特に幻覚と幻聴が酷くて……妄想の中の誰かと一日中会話を』
誰もいない個室でひたすらに会話を続ける高城へ、主治医と羽村が乾いた視線を送る。
『……北条の行動にも納得がいくよ、遺族に知られでもしたら殺さねかねない』
高城に反省の念など微塵も存在しない。あるのは、過去への達成感と未来への期待感。今でも高城の頭の中には『理想の聖処女』の姿をが映し出されている。
『北条さんと言えば……高城の取り調べを担当されたのですよね。彼女も……随分と参っていた様ですが……カウンセリングが必要なのでは?』
『……ああ、北条に担当をさせた俺が馬鹿だった。しばらくは精神的にも参って、仕事も休んでいたんだ。ついこの間何とか復帰はしたが……やはり、ずっと何かを迷っている様で……辛い思いをさせてしまった』
そして、高城の取り調べを担当した北条はあれから精神的なダメージを負い、しばらく休職していた。
これも良い経験になるだろう、などと浅はかな考えで北条を取り調べの担当にさせたのが間違いだったのだ。北条は高城の狂気に呑み込まれ、心を病んでしまった。
数日前、ようやく復職したものの以前とは明らかに様子もおかしい。心の傷は簡単には塞がらないとは言うが、正にその通りだと北条を見て誰もが思った事だろう。
『それならば尚更、私の元へ一度お連れ下さい。北条さんも……高城の被害者なんですから』
『関わった人間の全てを不幸にする……正真正銘の悪魔だ、この男は……』
羽村は高城への殺意を抑えながら、ただ妄想に耽る高城へと睨みを利かせていた。
そして、そんな外部からの視線も気にせず高城は更に妄想の奥側へと更に足を踏み入れていく。
「『理想の聖処女』……それは、『生命の連鎖』の果てに実現される。より多くの『生命』と『部品』を犠牲とする事で、より僕の理想は現実味を帯びてくる」
高城は絶望などしていない。
それどころか、希望を抱いてる。
新たな『生命』、新たな『部品』……それらの玩具を自らの手で組み換え、新たな形にへと造り替える事を高城は待ちきれない。
「もう少し、待っていてくれ。全てを片付けたら……僕が……パパが、君達を……」
生命の連鎖により、『理想の聖処女』を構成する為の礎が築かれる。
高城はようやく『答え』へ辿り着いたのだ。
一人の少女の血肉と生命ではまるで足りない。聖処女とは、多くの血肉と生命を礎とする事でようやく実現する事が出来る……高城にとっての『最高傑作』なのだと言う事を。
罪人であっても治療が必要ならば当然の措置ではあるが、世論や警察内部では大きく物議を醸した。
それは、高城 亮の重ねた罪の残虐性、高城の異常性を見れば誰もがそう思う事だろう。
そして、その間にも被害者である三人の母の腹の中では順調に子供達は成長しているというのが残酷な現実であった。
「そうだ、子供達の名前を考えなくてはね。性別も判明はしていないが……まぁ、男でも『使える部位』はある、無駄な生命という事は無い」
ベッドに縛り付けられた高城は、毎日の様に人体解剖についての医学書を目にしながら、独り言を垂れ流し続けていた。
高城の症状は全く改善せず、それどころか被害者達との距離が離れた事により更に悪化しているとも考えられていた。
「どうせならば母親に由来した名を付けてやりたいね。そちらの方が愛着も湧く筈だろう?」
妄想の中の誰かと会話をしているのだろうか。最早、高城の視界には現実の世界など映ってすらいないのだろう。
『……ここに来てからは、ずっとあの様子です。特に幻覚と幻聴が酷くて……妄想の中の誰かと一日中会話を』
誰もいない個室でひたすらに会話を続ける高城へ、主治医と羽村が乾いた視線を送る。
『……北条の行動にも納得がいくよ、遺族に知られでもしたら殺さねかねない』
高城に反省の念など微塵も存在しない。あるのは、過去への達成感と未来への期待感。今でも高城の頭の中には『理想の聖処女』の姿をが映し出されている。
『北条さんと言えば……高城の取り調べを担当されたのですよね。彼女も……随分と参っていた様ですが……カウンセリングが必要なのでは?』
『……ああ、北条に担当をさせた俺が馬鹿だった。しばらくは精神的にも参って、仕事も休んでいたんだ。ついこの間何とか復帰はしたが……やはり、ずっと何かを迷っている様で……辛い思いをさせてしまった』
そして、高城の取り調べを担当した北条はあれから精神的なダメージを負い、しばらく休職していた。
これも良い経験になるだろう、などと浅はかな考えで北条を取り調べの担当にさせたのが間違いだったのだ。北条は高城の狂気に呑み込まれ、心を病んでしまった。
数日前、ようやく復職したものの以前とは明らかに様子もおかしい。心の傷は簡単には塞がらないとは言うが、正にその通りだと北条を見て誰もが思った事だろう。
『それならば尚更、私の元へ一度お連れ下さい。北条さんも……高城の被害者なんですから』
『関わった人間の全てを不幸にする……正真正銘の悪魔だ、この男は……』
羽村は高城への殺意を抑えながら、ただ妄想に耽る高城へと睨みを利かせていた。
そして、そんな外部からの視線も気にせず高城は更に妄想の奥側へと更に足を踏み入れていく。
「『理想の聖処女』……それは、『生命の連鎖』の果てに実現される。より多くの『生命』と『部品』を犠牲とする事で、より僕の理想は現実味を帯びてくる」
高城は絶望などしていない。
それどころか、希望を抱いてる。
新たな『生命』、新たな『部品』……それらの玩具を自らの手で組み換え、新たな形にへと造り替える事を高城は待ちきれない。
「もう少し、待っていてくれ。全てを片付けたら……僕が……パパが、君達を……」
生命の連鎖により、『理想の聖処女』を構成する為の礎が築かれる。
高城はようやく『答え』へ辿り着いたのだ。
一人の少女の血肉と生命ではまるで足りない。聖処女とは、多くの血肉と生命を礎とする事でようやく実現する事が出来る……高城にとっての『最高傑作』なのだと言う事を。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる