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7月
7月2日『七十二候【半夏生】』
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クロード「ふふふ。今日も我が家庭菜園は豊作ですね。ヒビキ様、トマトが水分たっぷりでとても美味しそうです。今日はまたピザを作ってください!」
ヒビキ「却下」
クロード「今回はナスもいい感じなので一緒に……何ですと?」
ヒビキ「きゃっか」
クロード「な、なぜですか!? こんなにいい出来なのに!」
ヒビキ「今日7月2日が七十二候のひとつ『半夏生』の日だからだよ」
クロード「ななじゅうにこう? はんげしょう? な、何ですか、それは?」
ヒビキ「いつも紹介してる『二十四節気』をさらに約五日ずつに三分割した、季節を表す方式のひとつだよ。古代中国で考案されたものだね」
クロード「一年を七十二個に分割したということですか……?」
ヒビキ「そう。『半夏生』は二十四節気『夏至』を三分割(初候・次候・末候)したうちの末候にあたる。各七十二候の名称は、気象の動きや動植物の変化を知らせる短文で作られていて、『半夏生』は『烏柄杓が生える』だね」
クロード「からすびしゃく……?」
ヒビキ「サトイモ科の植物だよ。これの塊茎は生薬の『半夏』の材料になるんだ」
クロード「ああ、だから『烏柄杓(半夏)が生まれる頃』という意味で『半夏生』と呼ばれているのですね。いやはや勉強になります……て、『半夏生』のことは分かりましたが、今日のピザが却下されることと何の関係があるのですか!?」
ヒビキ「だって今日は『半夏生』だし」
クロード「ですから!」
ヒビキ「『半夏生』は農家にとっては大事な節目の日になっていて、この日までに畑仕事を終えるとか、水稲の田植えを終える目安になっているんだ。『半夏生』から五日間は農作業を休みにする風習の地方もあるらしい」
クロード「それとピザに何の関係が……」
ヒビキ「『半夏生』の風習だよ。この日は天から毒気が降ると言われていて、この日に採った野菜などの作物は食べてはいけないとされているんだ。だから却下」
クロード「のおおおおおおおお!? なんですかその風習は!」
ヒビキ「これは俺の推測だけど……この頃は梅雨の影響もあるのか大雨になることが多くて『半夏雨』だとか『半夏水』なんて呼ばれているんだ。大雨になりやすいから農作業を休む風習が生まれたんだろうけど、この大雨がネックでね、雨が降りすぎるせいで作物が傷んでしまうんだと思う。で、傷んだことに野菜を食べた人はどうなったかというと……」
クロード「……食中毒ですか?」
ヒビキ「多分そうなったんだろうね。そしてこの時期にそうなる人が結構いたんだと思う。だから人々は『半夏生』の頃になると天から毒気が降ると考えるようになって、井戸に蓋をして毒気を防いだり、この日に採れた野菜を食べないようにして健康に気を遣うようにしていたんじゃないかな」
クロード「当時の経験則による知恵から生まれた風習というわけですか……」
ヒビキ「うん。というわけで、俺も今日はそれに倣おうかなと思ってさ」
クロード「そうですね、古き風習を守ることも大切……て、ここはヒビキ様の故郷ではないのですから大雨とか関係ないではありませんか! ピザを作ってください!」
ヒビキ「だーめ。明日ね、明日」
クロード「ぐぬぬぬ……であれば、自分で作ります!」
ヒビキ「え?」
クロード「生地の上に食材をのせて焼くだけなのですから、私でも大丈夫です! 早速作ってまいります!」
ヒビキ「ちょ、クロード!? この前の『パフェの日』で凝りてないの!? ちょっと待って! ダメダメダメダメ! 火を使わなかった時さえ謎の物体を作ったのにピザなんて作れるわけないよ! 大体、生地作りだってやり方知らないでしょ!」
クロード「為せば成る! 無問題! なんくるないさー!!!」
ヒビキ「無理無理無理無理!!! 世の中どうにもならないことはいくらでもあるんだよ!? クロード、思い留まって! 料理はしちゃダメエエエエエエ!」
★★★★★
その他の記念日『うどんの日』
※香川県生麺事業組合が制定。
※讃岐地方の農家では、この頃に田植えを終えていた。
※その労をねぎらうためにうどんを打って食べる風習があった。
※それにちなんで制定されたのが『うどんの日』
クロード「ずずずず……うまい。ピザもいいがこのつるっとした食感もイイ」
ヒビキ「危ないところだった。ありがとう讃岐うどん」
ヒビキ「却下」
クロード「今回はナスもいい感じなので一緒に……何ですと?」
ヒビキ「きゃっか」
クロード「な、なぜですか!? こんなにいい出来なのに!」
ヒビキ「今日7月2日が七十二候のひとつ『半夏生』の日だからだよ」
クロード「ななじゅうにこう? はんげしょう? な、何ですか、それは?」
ヒビキ「いつも紹介してる『二十四節気』をさらに約五日ずつに三分割した、季節を表す方式のひとつだよ。古代中国で考案されたものだね」
クロード「一年を七十二個に分割したということですか……?」
ヒビキ「そう。『半夏生』は二十四節気『夏至』を三分割(初候・次候・末候)したうちの末候にあたる。各七十二候の名称は、気象の動きや動植物の変化を知らせる短文で作られていて、『半夏生』は『烏柄杓が生える』だね」
クロード「からすびしゃく……?」
ヒビキ「サトイモ科の植物だよ。これの塊茎は生薬の『半夏』の材料になるんだ」
クロード「ああ、だから『烏柄杓(半夏)が生まれる頃』という意味で『半夏生』と呼ばれているのですね。いやはや勉強になります……て、『半夏生』のことは分かりましたが、今日のピザが却下されることと何の関係があるのですか!?」
ヒビキ「だって今日は『半夏生』だし」
クロード「ですから!」
ヒビキ「『半夏生』は農家にとっては大事な節目の日になっていて、この日までに畑仕事を終えるとか、水稲の田植えを終える目安になっているんだ。『半夏生』から五日間は農作業を休みにする風習の地方もあるらしい」
クロード「それとピザに何の関係が……」
ヒビキ「『半夏生』の風習だよ。この日は天から毒気が降ると言われていて、この日に採った野菜などの作物は食べてはいけないとされているんだ。だから却下」
クロード「のおおおおおおおお!? なんですかその風習は!」
ヒビキ「これは俺の推測だけど……この頃は梅雨の影響もあるのか大雨になることが多くて『半夏雨』だとか『半夏水』なんて呼ばれているんだ。大雨になりやすいから農作業を休む風習が生まれたんだろうけど、この大雨がネックでね、雨が降りすぎるせいで作物が傷んでしまうんだと思う。で、傷んだことに野菜を食べた人はどうなったかというと……」
クロード「……食中毒ですか?」
ヒビキ「多分そうなったんだろうね。そしてこの時期にそうなる人が結構いたんだと思う。だから人々は『半夏生』の頃になると天から毒気が降ると考えるようになって、井戸に蓋をして毒気を防いだり、この日に採れた野菜を食べないようにして健康に気を遣うようにしていたんじゃないかな」
クロード「当時の経験則による知恵から生まれた風習というわけですか……」
ヒビキ「うん。というわけで、俺も今日はそれに倣おうかなと思ってさ」
クロード「そうですね、古き風習を守ることも大切……て、ここはヒビキ様の故郷ではないのですから大雨とか関係ないではありませんか! ピザを作ってください!」
ヒビキ「だーめ。明日ね、明日」
クロード「ぐぬぬぬ……であれば、自分で作ります!」
ヒビキ「え?」
クロード「生地の上に食材をのせて焼くだけなのですから、私でも大丈夫です! 早速作ってまいります!」
ヒビキ「ちょ、クロード!? この前の『パフェの日』で凝りてないの!? ちょっと待って! ダメダメダメダメ! 火を使わなかった時さえ謎の物体を作ったのにピザなんて作れるわけないよ! 大体、生地作りだってやり方知らないでしょ!」
クロード「為せば成る! 無問題! なんくるないさー!!!」
ヒビキ「無理無理無理無理!!! 世の中どうにもならないことはいくらでもあるんだよ!? クロード、思い留まって! 料理はしちゃダメエエエエエエ!」
★★★★★
その他の記念日『うどんの日』
※香川県生麺事業組合が制定。
※讃岐地方の農家では、この頃に田植えを終えていた。
※その労をねぎらうためにうどんを打って食べる風習があった。
※それにちなんで制定されたのが『うどんの日』
クロード「ずずずず……うまい。ピザもいいがこのつるっとした食感もイイ」
ヒビキ「危ないところだった。ありがとう讃岐うどん」
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