ヒビキとクロードの365日

あてきち

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10月

10月30日『たまごかけごはんの日』

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 ヒビキ「クロード、朝食ができたよー」

クロード「ありがとうございます。ほぉ、今日は『わしょく』というやつですね。焼き鮭が美味しそうです。おや? ごはんの隣にたまごが……ゆで卵ですか?」

 ヒビキ「生卵だよ」

クロード「生? 生では卵など食べられぬではありませんか」

 ヒビキ「異世界では生卵はダメなんだ。でも大丈夫。これは日本で買ってきた卵だから生食もできるよ」

クロード「そ、そうなのですか……しかし、卵など火を通して食べるのが当たり前でしたので少々、いえ、かなり抵抗が……」

 ヒビキ「心配性だなぁ、クロードは。朝はこうやって卵をかき混ぜて、どばっと」

クロード「かき混ぜた生卵をご飯にかけてしまうのですか!?」

 ヒビキ「これぞ朝食の定番『TKG』」

クロード「てぃーけ……?」

 ヒビキ「要するに『たまごかけごはん』ね。なんたって今日10月30日は『たまごかけごはんの日』だからね! パクリ、もぐもぐ。うん、美味しい♪」

クロード「……どろっどろの冷えた生の卵を、せっかくの熱々ごはんにどぷりと絡めてしまったものが、本当に美味しいのですか?」

 ヒビキ「何その悪意ある表現。たまごかけごはんは日本だからこそ食べられる稀少な料理なんだけどな。もぐもぐ」

クロード「ヒビキ様の国だからこそ、ですか?」

 ヒビキ「クロードが懸念する通り、卵の生食には危険が伴う。主にサルモネラ菌の感染による食中毒だね。日本では徹底した洗浄と衛生管理を行っているからかなり安全だけど、世界的にはクロード同様、卵は火を通して食べるものという認識なんだ」

クロード「ほっ。ということは、私がマジョリティでヒビキ様がマイノリティということですね。卵の生食を推してくるのでそちらが主流派なのかと心配しました」

 ヒビキ「まあ、それは認めざるを得ないけどさ。日本でもたまごかけごはんが初めて食べられたのは1877年頃といわれていて案外歴史は浅いしね」

クロード「確かに思っていたよりは新しい……て、当然ですね。完璧な安全管理ができて初めて食べられる料理でしたね、たまごかけごはんとは。そう考えてみると、稀少な料理を食べるせっかくの機会を逃すのも少々惜しいような気がしないでもないような……いや、しかし……」

 ヒビキ「そうそう。もったいないよ。ひとくちでいいから食べてみなって」

クロード「そ、そうですね。では……ドキドキ……うう、ドロドロしてた見た目が気持ち悪い」

 ヒビキ「生食の習慣のない人にはある種のカルチャーショックだからね。人によってはゲテモノ料理に見えるらしいし。でも、頑張れクロード!」

クロード「……い、いきます! パクリ! ……もぐもぐもぐもぐ……」

 ヒビキ「……どう? 美味しい?」

クロード「もぐもぐ……パクリ、もぐもぐ……ガ、ガガガガッ」

 ヒビキ「あ、うん。お気に召したみたいだね、俺の声を無視して一気にかきこむ程度には。まあ、よかったよかった……俺も食べよ。パクリ、もぐもぐ、美味しい♪」

クロード「おかわり! あと卵も追加でお願いします!」

 ヒビキ「自分でやってね~」




★★★★★
その他の記念日『マナーの日』
※NPO法人『日本サービスマナー協会』が制定。
※同協会設立日、2008年10月30に由来。
※あらゆる場面で必要不可欠な『マナー』を見つめ直してもらう日。

クロード「そういえばもぐもぐ、なぜ今日が『たまごかけごはんの日』なのですかもぐもぐ?」
 ヒビキ「2005年の今日、島根県雲南市で『第1回日本たまごかけごはんシンポジウム』が開催されたことにちなんでだよ」
クロード「た、たまごかけごはんのシンポジウム? ……一体何が語られたのでしょうか? 気になりますね……」
 ヒビキ「気になる人は検索検索♪ ……情報が出るかは知らないけど」
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