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第3話
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「えっ?王子一体なんの冗談を……」
王子の言葉それに言葉を失った人間、それは当たり前のことだけども私だけではなかった。
顔から血の気を失い、真っ青な顔をしたレイナ。
彼女は王子の言葉が信じられない、そんな様子でそう口を開く。
その声には王子に対して縋るような、そんな響きが籠っていて。
だが、それに対する王子の反応は冷ややかな笑みだった。
そして王子はその笑みのを顔に貼り付けたまま口を開こうとして……
「なぁんて!冗談であることぐらいわかっていますわ!」
「はっ?」
……だがその前に笑いながらレイナがそう告げた。
「何ですの平民?貴女程度が王子の目にとまるとでも思っていましたの?おめでたい頭ですわね」
王子の呆気に取られた顔。
それを見て、思わず私は声を上げてしまい、レイナに罵声を浴びせられる。
それに私は消沈したように顔を俯かむせてみたが、一切レイナの罵声なんて聞いてなかった。
私の頭に張り付いていたのは王子がレイナに見せたあの冷笑。
レイナは勝手に勘違いしていたけれども、あれは明らかに王子の言葉が冗談ではないことを示していて……
「私の家は公爵家。だから王子は婚約破棄をほのめかす事でより助力を引き出そうとしているのでしょう!分かりますわ!私と貴方は一心同体ですから!」
レイナはそううっとりとまるで貴方のことは何でもわかっていると言いたげに王子に囁く。
いや、王子の顔明らかに嫌そうにしているんだけども……
全然一心同体じゃ無いよね……
と、私は言いたくなるのを必死に堪える。
「何せ私は貴方の婚約者なのですから!」
……そして全然決まっていないことに気づかず、レイナはそう笑顔で言い切った。
恐らく彼女の中ではここが劇団か何かで自分が演劇のヒロインにでもなった気なのだろう。
しかし、私にはその演目は喜劇にしか見えない。
一心同体なんて求めないから、せめてもう少し王子のことを気遣ってやってほしい……
と、目の前では何故か喜劇が始まっていたが、私には一つ気になっていることがあった。
それは王子の婚約破棄を自分の家を利用するためのものだと断言したレイナの自信。
明らかに王子を見ればそんな理由で婚約破棄を口にしたわけでないことは普通わかる。
けれどもレイナは自分と王子が婚約破棄するわけがないと決めつけて王子の方さえ見ていない。
恐らくレイナが王子の婚約破棄という無礼をあっさりと許したのは王子にベタ惚れしているからだろう。
その様子は今までの喜劇でも十分に伝わってきている。
だが、それでも何故そんなに自信満々に自分のことを王子が裏切るはずがないと思えるのか、それが私にはすごく疑問で……
「私は分かっていましたよ。王子がこの美貌を備える私を婚約破棄などするわけないことを!その上、私は高貴な貴族の精神まで有しておりますから!」
……それが、自分に対する自信からのものだと分かった時、思わず溜息を漏らしそうになった。
たしかにレイナの容姿は酷く綺麗だった。
メリハリのある豊満な体つきはさぞ異性の目を惹くことだろう。
けれども、総合的にはある一つの場面がマイナスに働いているせいで私には魅力的には感じなかった。
それは内面。
貴族の高貴な精神、それはただ自尊心が肥えたことをしてしているだけに過ぎない。
それを知っていたる私にはレイナの外見は一切美しくなんて感じなかった。
そして王子もレイナのその容姿に関して一切興味を持っていなかった。
もちろんその理由はわからない。
けれども、王子に相手にされていないことにさえ気づかず自分の容姿を自慢しているレイナの姿に私は嘲りを感じて、気づけば小さく笑いを漏らしていた。
「ふふ」
それは酷く小さな声だった。
何故なら耐えようとして、耐えきれず漏らしてしまった笑いなのだから。
けれども偶然、その笑いは丁度レイナの言葉が止まった時に漏れ出てしまい……
「何笑ってるの?平民風情が!」
次の瞬間、激怒したレイナが私の方を睨みつけていた。
王子の言葉それに言葉を失った人間、それは当たり前のことだけども私だけではなかった。
顔から血の気を失い、真っ青な顔をしたレイナ。
彼女は王子の言葉が信じられない、そんな様子でそう口を開く。
その声には王子に対して縋るような、そんな響きが籠っていて。
だが、それに対する王子の反応は冷ややかな笑みだった。
そして王子はその笑みのを顔に貼り付けたまま口を開こうとして……
「なぁんて!冗談であることぐらいわかっていますわ!」
「はっ?」
……だがその前に笑いながらレイナがそう告げた。
「何ですの平民?貴女程度が王子の目にとまるとでも思っていましたの?おめでたい頭ですわね」
王子の呆気に取られた顔。
それを見て、思わず私は声を上げてしまい、レイナに罵声を浴びせられる。
それに私は消沈したように顔を俯かむせてみたが、一切レイナの罵声なんて聞いてなかった。
私の頭に張り付いていたのは王子がレイナに見せたあの冷笑。
レイナは勝手に勘違いしていたけれども、あれは明らかに王子の言葉が冗談ではないことを示していて……
「私の家は公爵家。だから王子は婚約破棄をほのめかす事でより助力を引き出そうとしているのでしょう!分かりますわ!私と貴方は一心同体ですから!」
レイナはそううっとりとまるで貴方のことは何でもわかっていると言いたげに王子に囁く。
いや、王子の顔明らかに嫌そうにしているんだけども……
全然一心同体じゃ無いよね……
と、私は言いたくなるのを必死に堪える。
「何せ私は貴方の婚約者なのですから!」
……そして全然決まっていないことに気づかず、レイナはそう笑顔で言い切った。
恐らく彼女の中ではここが劇団か何かで自分が演劇のヒロインにでもなった気なのだろう。
しかし、私にはその演目は喜劇にしか見えない。
一心同体なんて求めないから、せめてもう少し王子のことを気遣ってやってほしい……
と、目の前では何故か喜劇が始まっていたが、私には一つ気になっていることがあった。
それは王子の婚約破棄を自分の家を利用するためのものだと断言したレイナの自信。
明らかに王子を見ればそんな理由で婚約破棄を口にしたわけでないことは普通わかる。
けれどもレイナは自分と王子が婚約破棄するわけがないと決めつけて王子の方さえ見ていない。
恐らくレイナが王子の婚約破棄という無礼をあっさりと許したのは王子にベタ惚れしているからだろう。
その様子は今までの喜劇でも十分に伝わってきている。
だが、それでも何故そんなに自信満々に自分のことを王子が裏切るはずがないと思えるのか、それが私にはすごく疑問で……
「私は分かっていましたよ。王子がこの美貌を備える私を婚約破棄などするわけないことを!その上、私は高貴な貴族の精神まで有しておりますから!」
……それが、自分に対する自信からのものだと分かった時、思わず溜息を漏らしそうになった。
たしかにレイナの容姿は酷く綺麗だった。
メリハリのある豊満な体つきはさぞ異性の目を惹くことだろう。
けれども、総合的にはある一つの場面がマイナスに働いているせいで私には魅力的には感じなかった。
それは内面。
貴族の高貴な精神、それはただ自尊心が肥えたことをしてしているだけに過ぎない。
それを知っていたる私にはレイナの外見は一切美しくなんて感じなかった。
そして王子もレイナのその容姿に関して一切興味を持っていなかった。
もちろんその理由はわからない。
けれども、王子に相手にされていないことにさえ気づかず自分の容姿を自慢しているレイナの姿に私は嘲りを感じて、気づけば小さく笑いを漏らしていた。
「ふふ」
それは酷く小さな声だった。
何故なら耐えようとして、耐えきれず漏らしてしまった笑いなのだから。
けれども偶然、その笑いは丁度レイナの言葉が止まった時に漏れ出てしまい……
「何笑ってるの?平民風情が!」
次の瞬間、激怒したレイナが私の方を睨みつけていた。
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