29 / 44
第二十九章
しおりを挟む
「ん?なんだ?すうはあ五月蝿いな」
王太子はそこで辺りを見回した。すうはあ聞こえる音源を探して右から左へと視線を移した。
「なんだお前か。ところでお前、何をしてる?」
「すうぅぅぅ、はあぁぁぁ」
「だから。すうはあ五月蝿いぞ」
「すうぅぅぅ、はあぁぁぁ」
「……」
王太子は椅子から立ち上がり、ツカツカツカとルクスの机の前までやってきた。
ルクスは何やら鼻にぎゅううと押し当て、すうはあしている。
「ん?なんだそれは。もしやハンカチか?」
「すうぅぅぅ妻の、はあぁぁぁハンカチです」
「間違えて持ってきたのか?お前のハンカチは無いのか?」
「すうぅぅぅ妻の、はあぁぁぁクローゼットから、すうぅぅぅ持って、はあぁぁぁ来ました」
「それは家庭内窃盗だな。軽犯罪でしょっ引くぞ」
周囲はいい加減、朝からすうはあ妻のハンカチの香りを嗅ぐルクスに迷惑していたのだが、そこを態々突っついてほじ繰り返す王太子を心底ウザいと思った。
好きなようにさせてやれ。黙ってすうはあさせてやれ。
昨日ルクスに来客があって、それは王城に似つかわしくないキャソック姿の司祭だった。
二人がどんな会話をしたのか、その後ルクスは机上の書類も片付けず、引き出しの鍵も施錠せぬままに、大凡事務方文官としては有り得ない、立つ鳥跡を濁しまくって自邸へ帰ってしまった。
当然、半日休暇の届け出なんてしていない。
司祭が王城まで会いに来るのだから、余程のことがあったのだろう。
触らぬ神に祟りなし。跡を濁しまくったルクスには触れないほうが良いだろう。
だがあくる朝ルクスは何事もなかった風に、寧ろここ最近では見なかったほど元気に登城して、それですうはあしてるんだから、一層のことそのまま帰ってほしいと思っていた。
それを態々突くとは、この王太子、もっかい寝込んでくれないかな。文官たちは一人残らずそう思った。
ルクスは妻が誤解しているだなんて有り得ないと誤解していた。
誤解とは、いつだって小さなすれ違いから起こる。ほんの些細な行き違い、ほんの少しの言葉足らず。
ほんのなんとか、ほんの何某。
それらは一見すれば、どれもこれも小さなことなのに、すれ違ってしまった道の果ては大きく結果を違えてしまう。
危うく妻を失うところだった。今後の心の安寧を保障する為にも、王国中の役場から離縁届を滅却したい。
誤解なら昨日解いた。白昼からたっぷり愛を注いで前から後ろから愛しまくった。
だが、粗忽者の己が再び愛する妻の心を失うことが起こったなら……ああっ、考えただけで頭が可怪しくなりそうだ!
その愛しいペンペン妻は、腰が立たないとか言ったから朝餉の席まで抱っこした。
妻の部屋に迎えに行った際に、盗っ人より素早く妻のクローゼットからハンカチを引き抜いた。
それからサフィリアに約束を取り付けたのだ。
「私にもハンカチに刺繍してくれないか」
「ええ?もう沢山お待ちではないですか」
「もっと欲しい」
「まあ!欲張りさん」
妻は優しい。路傍のペンペン草のように愛らしい。
さあ、愛しの妻が待っている。この目の前の小五月蝿い王太子を退かして、バリバリ仕事を熟して早くお家へ帰ろう。
ルクスは邪魔とばかりに、目の前に立ち塞がる王太子を左手で脇に押し退けて、ハンカチを鼻に押し当てすうはあしながら仕事に取り掛かった。
押し退けられて驚く王太子をまるっと無視して、爆速でペンを走らせ山のような書類を次々捌く。
愛妻家の仕事のデキる漢。それがルクスなのだから。
「あのぅ」
司祭はその声に、思わず椅子から転がり落ちた。「あのう夫人、また来たのか」と、久し振りのサフィリア登場にすっかり慌ててしまった。
友人の危機的状況は回避されたと聞いている。その証拠に、ここ暫くあのぅ夫人を見ていない。礼拝堂にも告解部屋にも来ないから、司祭は毎日平和だなぁと安堵していた。
厄災は忘れた頃にやって来る。
あのぅ夫人は忘れた頃に訪れる。
だが、厄災、ではなくサフィリアは、そんな司祭の心中など露知らず、しおらしくもじもじしながら言った。
「あのぅ、本日はお礼に参りましたの」
どうかそのまま元気に伯爵邸にいておくれ。そのほうが余程ありがたい。もうお願いだ、思い違いも甚だしい夫婦の面倒ごとに神を巻き添えにしないでほしい。
内心を磨り硝子の窓に覆い隠して、司祭は椅子に座り直した。
「神様にだけお教えしたいと」
辞めて頂戴。そんな秘密を神様に打ち明けないで。
「うふ、恥ずかしい」
なら帰ってくれ!
磨り硝子越しに、夫人がもじもじしているのがぼんやり見える。
「ええっと」
早く言え!言うのか!言わないのか!
司祭は思わず硝子窓の縁に掴まった。
「あのぅ。ワタクシ、ハハ二ナリマシタノ」
「え?」
司祭は思わず声が出た。告解を聞き届ける為の役目を忘れて、思わず反応してしまった。
「まだ夫には話しておりませんの。安定期まで待とうかと。私と神様だけの内緒のお話ですわ」
いや、そうじゃない、そんなの困る。
そんな大切な話は、是非ともあの泥のように妻を愛する夫に最初に言ってほしい。
って、もう聞いてしまった、どうしよう。
許せ、友よ、アーメン。
司祭は胸の内で友に懺悔した。このあと自分が向こう側に座って告解したい気持ちになった。
「旦那様、喜んで下さるかしら」
どうやら、あのぅ夫人も窓の縁に肘をついたらしく、思い掛けず司祭と夫人は薄い磨り硝子越しに接近した。
「きっと泣いて喜びます。お身体を大切に、どうか元気なお子をお生み下さい」
思わず出てしまった本音。後から「と、神も仰っておられます」と付け加えた。
夫人が去って行く後ろ姿を司祭は窓から見送った。馬車に夫人が近づくと、二人の侍女と二人の護衛騎士が馬車からわらわら飛び降りて、夫人を囲むようにして馬車に再び乗り込んだ。後ろには更に二人の騎士が騎乗して護っている。
あのぅ夫人。ばればれだよ。あんた、秘密事が苦手だろう。それでもってどれだけニブいんだ。あれほど堅い護りに囲まれて、夫にバレていないと思えるだなんて。
なんて可愛いひとなんだ。良かったなルクス。恋しい女性を妻に得られて、もうすぐ子が生まれる。
生真面目な苦労人の友を思い浮かべて、司祭は去りゆく馬車を見送った。
あの馬車、一体何人乗りなんだ?
大男と侍女と夫人の五人が吸い込まれた馬車に素朴な疑問が浮かんだのは、馬車が見えなくなってからだった。
王太子はそこで辺りを見回した。すうはあ聞こえる音源を探して右から左へと視線を移した。
「なんだお前か。ところでお前、何をしてる?」
「すうぅぅぅ、はあぁぁぁ」
「だから。すうはあ五月蝿いぞ」
「すうぅぅぅ、はあぁぁぁ」
「……」
王太子は椅子から立ち上がり、ツカツカツカとルクスの机の前までやってきた。
ルクスは何やら鼻にぎゅううと押し当て、すうはあしている。
「ん?なんだそれは。もしやハンカチか?」
「すうぅぅぅ妻の、はあぁぁぁハンカチです」
「間違えて持ってきたのか?お前のハンカチは無いのか?」
「すうぅぅぅ妻の、はあぁぁぁクローゼットから、すうぅぅぅ持って、はあぁぁぁ来ました」
「それは家庭内窃盗だな。軽犯罪でしょっ引くぞ」
周囲はいい加減、朝からすうはあ妻のハンカチの香りを嗅ぐルクスに迷惑していたのだが、そこを態々突っついてほじ繰り返す王太子を心底ウザいと思った。
好きなようにさせてやれ。黙ってすうはあさせてやれ。
昨日ルクスに来客があって、それは王城に似つかわしくないキャソック姿の司祭だった。
二人がどんな会話をしたのか、その後ルクスは机上の書類も片付けず、引き出しの鍵も施錠せぬままに、大凡事務方文官としては有り得ない、立つ鳥跡を濁しまくって自邸へ帰ってしまった。
当然、半日休暇の届け出なんてしていない。
司祭が王城まで会いに来るのだから、余程のことがあったのだろう。
触らぬ神に祟りなし。跡を濁しまくったルクスには触れないほうが良いだろう。
だがあくる朝ルクスは何事もなかった風に、寧ろここ最近では見なかったほど元気に登城して、それですうはあしてるんだから、一層のことそのまま帰ってほしいと思っていた。
それを態々突くとは、この王太子、もっかい寝込んでくれないかな。文官たちは一人残らずそう思った。
ルクスは妻が誤解しているだなんて有り得ないと誤解していた。
誤解とは、いつだって小さなすれ違いから起こる。ほんの些細な行き違い、ほんの少しの言葉足らず。
ほんのなんとか、ほんの何某。
それらは一見すれば、どれもこれも小さなことなのに、すれ違ってしまった道の果ては大きく結果を違えてしまう。
危うく妻を失うところだった。今後の心の安寧を保障する為にも、王国中の役場から離縁届を滅却したい。
誤解なら昨日解いた。白昼からたっぷり愛を注いで前から後ろから愛しまくった。
だが、粗忽者の己が再び愛する妻の心を失うことが起こったなら……ああっ、考えただけで頭が可怪しくなりそうだ!
その愛しいペンペン妻は、腰が立たないとか言ったから朝餉の席まで抱っこした。
妻の部屋に迎えに行った際に、盗っ人より素早く妻のクローゼットからハンカチを引き抜いた。
それからサフィリアに約束を取り付けたのだ。
「私にもハンカチに刺繍してくれないか」
「ええ?もう沢山お待ちではないですか」
「もっと欲しい」
「まあ!欲張りさん」
妻は優しい。路傍のペンペン草のように愛らしい。
さあ、愛しの妻が待っている。この目の前の小五月蝿い王太子を退かして、バリバリ仕事を熟して早くお家へ帰ろう。
ルクスは邪魔とばかりに、目の前に立ち塞がる王太子を左手で脇に押し退けて、ハンカチを鼻に押し当てすうはあしながら仕事に取り掛かった。
押し退けられて驚く王太子をまるっと無視して、爆速でペンを走らせ山のような書類を次々捌く。
愛妻家の仕事のデキる漢。それがルクスなのだから。
「あのぅ」
司祭はその声に、思わず椅子から転がり落ちた。「あのう夫人、また来たのか」と、久し振りのサフィリア登場にすっかり慌ててしまった。
友人の危機的状況は回避されたと聞いている。その証拠に、ここ暫くあのぅ夫人を見ていない。礼拝堂にも告解部屋にも来ないから、司祭は毎日平和だなぁと安堵していた。
厄災は忘れた頃にやって来る。
あのぅ夫人は忘れた頃に訪れる。
だが、厄災、ではなくサフィリアは、そんな司祭の心中など露知らず、しおらしくもじもじしながら言った。
「あのぅ、本日はお礼に参りましたの」
どうかそのまま元気に伯爵邸にいておくれ。そのほうが余程ありがたい。もうお願いだ、思い違いも甚だしい夫婦の面倒ごとに神を巻き添えにしないでほしい。
内心を磨り硝子の窓に覆い隠して、司祭は椅子に座り直した。
「神様にだけお教えしたいと」
辞めて頂戴。そんな秘密を神様に打ち明けないで。
「うふ、恥ずかしい」
なら帰ってくれ!
磨り硝子越しに、夫人がもじもじしているのがぼんやり見える。
「ええっと」
早く言え!言うのか!言わないのか!
司祭は思わず硝子窓の縁に掴まった。
「あのぅ。ワタクシ、ハハ二ナリマシタノ」
「え?」
司祭は思わず声が出た。告解を聞き届ける為の役目を忘れて、思わず反応してしまった。
「まだ夫には話しておりませんの。安定期まで待とうかと。私と神様だけの内緒のお話ですわ」
いや、そうじゃない、そんなの困る。
そんな大切な話は、是非ともあの泥のように妻を愛する夫に最初に言ってほしい。
って、もう聞いてしまった、どうしよう。
許せ、友よ、アーメン。
司祭は胸の内で友に懺悔した。このあと自分が向こう側に座って告解したい気持ちになった。
「旦那様、喜んで下さるかしら」
どうやら、あのぅ夫人も窓の縁に肘をついたらしく、思い掛けず司祭と夫人は薄い磨り硝子越しに接近した。
「きっと泣いて喜びます。お身体を大切に、どうか元気なお子をお生み下さい」
思わず出てしまった本音。後から「と、神も仰っておられます」と付け加えた。
夫人が去って行く後ろ姿を司祭は窓から見送った。馬車に夫人が近づくと、二人の侍女と二人の護衛騎士が馬車からわらわら飛び降りて、夫人を囲むようにして馬車に再び乗り込んだ。後ろには更に二人の騎士が騎乗して護っている。
あのぅ夫人。ばればれだよ。あんた、秘密事が苦手だろう。それでもってどれだけニブいんだ。あれほど堅い護りに囲まれて、夫にバレていないと思えるだなんて。
なんて可愛いひとなんだ。良かったなルクス。恋しい女性を妻に得られて、もうすぐ子が生まれる。
生真面目な苦労人の友を思い浮かべて、司祭は去りゆく馬車を見送った。
あの馬車、一体何人乗りなんだ?
大男と侍女と夫人の五人が吸い込まれた馬車に素朴な疑問が浮かんだのは、馬車が見えなくなってからだった。
3,560
あなたにおすすめの小説
ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
伯爵令嬢の婚約解消理由
七宮 ゆえ
恋愛
私には、小さい頃から親に決められていた婚約者がいます。
婚約者は容姿端麗、文武両道、金枝玉葉という世のご令嬢方が黄色い悲鳴をあげること間違い無しなお方です。
そんな彼と私の関係は、婚約者としても友人としても比較的良好でありました。
しかしある日、彼から婚約を解消しようという提案を受けました。勿論私達の仲が不仲になったとか、そういう話ではありません。それにはやむを得ない事情があったのです。主に、国とか国とか国とか。
一体何があったのかというと、それは……
これは、そんな私たちの少しだけ複雑な婚約についてのお話。
*本編は8話+番外編を載せる予定です。
*小説家になろうに同時掲載しております。
*なろうの方でも、アルファポリスの方でも色んな方に続編を読みたいとのお言葉を貰ったので、続きを只今執筆しております。
聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)
蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。
聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。
愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。
いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。
ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。
それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。
心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。
完結 この手からこぼれ落ちるもの
ポチ
恋愛
やっと、本当のことが言えるよ。。。
長かった。。
君は、この家の第一夫人として
最高の女性だよ
全て君に任せるよ
僕は、ベリンダの事で忙しいからね?
全て君の思う通りやってくれれば良いからね?頼んだよ
僕が君に触れる事は無いけれど
この家の跡継ぎは、心配要らないよ?
君の父上の姪であるベリンダが
産んでくれるから
心配しないでね
そう、優しく微笑んだオリバー様
今まで優しかったのは?
亡き姉を演じ初恋の人の妻となった私は、その日、“私”を捨てた
榛乃
恋愛
伯爵家の令嬢・リシェルは、侯爵家のアルベルトに密かに想いを寄せていた。
けれど彼が選んだのはリシェルではなく、双子の姉・オリヴィアだった。
二人は夫婦となり、誰もが羨むような幸福な日々を過ごしていたが――それは五年ももたず、儚く終わりを迎えてしまう。
オリヴィアが心臓の病でこの世を去ったのだ。
その日を堺にアルベルトの心は壊れ、最愛の妻の幻を追い続けるようになる。
そんな彼を守るために。
そして侯爵家の未来と、両親の願いのために。
リシェルは自分を捨て、“姉のふり”をして生きる道を選ぶ。
けれど、どれほど傍にいても、どれほど尽くしても、彼の瞳に映るのはいつだって“オリヴィア”だった。
その現実が、彼女の心を静かに蝕んでゆく。
遂に限界を越えたリシェルは、自ら命を絶つことに決める。
短剣を手に、過去を振り返るリシェル。
そしていよいよ切っ先を突き刺そうとした、その瞬間――。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
【完結】見えてますよ!
ユユ
恋愛
“何故”
私の婚約者が彼だと分かると、第一声はソレだった。
美少女でもなければ醜くもなく。
優秀でもなければ出来損ないでもなく。
高貴でも無ければ下位貴族でもない。
富豪でなければ貧乏でもない。
中の中。
自己主張も存在感もない私は貴族達の中では透明人間のようだった。
唯一認識されるのは婚約者と社交に出る時。
そしてあの言葉が聞こえてくる。
見目麗しく優秀な彼の横に並ぶ私を蔑む令嬢達。
私はずっと願っていた。彼に婚約を解消して欲しいと。
ある日いき過ぎた嫌がらせがきっかけで、見えるようになる。
★注意★
・閑話にはR18要素を含みます。
読まなくても大丈夫です。
・作り話です。
・合わない方はご退出願います。
・完結しています。
愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる