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第三十六章
子爵の遺言書が公開されたのは、葬儀のために一族が子爵邸に集まった夜のことだった。
子爵は生前、遺言書を作成して、自身の没後に公開するように金庫の中に保管していたのである。
それは一年に一度、パトリシアの亡くなった月、つまり十二月に書き換えられるものだった。
子爵は毎年、最新の遺言を年の終わりとなる十二月に更新していたのである。そして彼は、不明となったあの夜の前に、すでに新たな遺言書を記していた。
最新の遺言書、それはとりもなおさず、彼の直近の遺志である。
子爵は三十四歳とまだ若く、遺言とはまだまだ無縁と思われた。そんな彼が自身の死後の用意をしたのは、すべてがマリールイーズのためだった。
「私はギルバートの遺言に異論はないよ」
そう言ったのは、一族の最長年者である男爵家を隠居した翁だった。彼は子爵の祖父の弟で、遠縁の男爵家へ婿入りした人物だった。
「立派な後継がいて、ギルバートが選んだリチャードは子爵家に勤勉に仕える信用に足る男だ。何より領民は、マリールイーズが領主になることを望んでいるではないか」
彼の言葉に異を唱える者はなかった。内心では、王家の息がかかる子爵家に意見することを恐れる者もいただろう。
ロングフォール子爵家は、王家の血を引く子を得たために、常に危うい立場に置かれていた。
だがそれは、見方を変えるなら、無用な他家の干渉を受けることもなかったということだった。
屋敷には王妃の息がかかるガヴァネスが滞在して、婿入りするリチャードの背景にはサンドラの生家が関わり、何よりマリールイーズは未来の国王フェルナンドの実子である。
最も警戒していた王家に、実質、子爵家は守られていた。子爵は早いうちにそのことを理解していたのだろう。
だからこそ彼はミーガンを受け入れたし、フェルナンドを迎え入れてマリールイーズに会わせてもいる。
マリールイーズの幼い頃の記憶では、フェルナンドと対面した際には子爵が同席している。
当時から家令であったハロルドもまた、そのことを知らないはずはなかっただろう。
まるで王家の秘した血を王族たちが寄ってたかって守るような有り様だと、そうエバーシェリンは思った。
野鳥は血を残すために随分と非道なことをする。そうであるなら。
百舌鳥は一体、どちらだったのだろう。
マリールイーズは、王家と子爵家の、どちらの血も引く。
もしかして子爵はそれを利用したのではなかった。
マリールイーズを守るために、彼女が子爵当主として生きるために、まるで後ろ盾となるように王家の影響を受け入れた。
リチャードの母方がサンドラの影響下にあることも承知して、王妃と王太子と王太子妃を互いに牽制させるような構図を思い描いていたとするなら。
托卵されたカッコウは、果たして本当に托卵されたのだろうか。カッコウこそ、百舌鳥を我が巣に引き入れて子育てをさせていたのではなかったか。
子爵の葬儀はしめやかに執り行われた。
喪主は幼いマリールイーズが務めた。
彼女は立派に役目を果たした。
小さな身体で埋葬を見届ける、その姿は参列した人々の涙を誘ったが、同時に、子爵領の新たな当主が凛と美しく気丈な令嬢であることを示した。
成人に達していないマリールイーズには、後見がついた。それは一族の人間ではなく、隣領のラグウッド伯爵家の隠居であるヘンリーだった。それもまた、子爵の遺言書に記されていたことだった。
ヘンリーは、子爵の祖父の代からの縁であり、彼は祖父のことを年の離れた兄と慕っていたらしい。
縁は続いて子爵の父はヘンリーを年の離れた兄のように慕い、子爵とパトリシアもまた、ヘンリーから可愛がられていたという。
隣領ということで王家からはラグウッド伯爵家が管財人を定めて遣わすように命を受けていた。それをヘンリーがエバーシェリンを遣わしたのは、子爵家を案ずると同時にマリールイーズを守るためだったのだろう。
それも今だからエバーシェリンが思うことだった。
子爵はまるで、自身のあまりに短い人生を予期していたように後のことを整えていた。
結局のところ、彼の死は偶発的な事故であり、むしろ王家のほうが振り回されたのではないか。
遺言書には、マリールイーズのことが細かに記されていた。
マリールイーズには、婚約者としてリチャードを据えること。
十六歳を迎える年に、王都の貴族学園で学ばせること。その際には、リチャードと共に王都のタウンハウスに住まうこと。
子爵はそのために、王都に屋敷を購入していた。
もともと子爵家はタウンハウスを所有しておらず、子爵自身も妹のパトリシアも寮生活をしている。そしてパトリシアはその三年の間に、フェルナンドと恋に落ちてマリールイーズを身籠った。
まるで親の目が届くようにマリールイーズにリチャードを添わせて、万が一にも過ちのないようにと備えるようだった。
だがエバーシェリンは、それだけとは思えなかった。
彼はもしかしたら、マリールイーズが学園に通う三年間をフェルナンドのそばに住まわせようとしたのではないか。
デヴュタントを迎える際にも、未来の子爵家当主夫妻として、二人の姿をフェルナンドと王家の面々に示そうと、そこまで考えていたのではないか。
それがエバーシェリンの想像ばかりではないとしたら、まるで百舌鳥を逆手に取る子爵こそ、権力に我が子を託した百舌鳥ではなかったか。
「あまり難しく考えすぎないことだ」
ロバートソンは、目の前で考え込む様子のエバーシェリンに言った。
二人は今、ロバートソンが滞在する客室にいた。
彼は今般の仔細を纏めてフェルナンドへ報告することになっている。それに先立ち、マリールイーズの爵位襲名に関する書類を整えたのも彼だった。
マリールイーズは、子爵の弔いを終えた直後にリチャードとの婚約を結んだ。
喪中の只中の婚約は、一族が彼女を当主として擁立する意志の表れでもあったのだが、その婚約に立ち会ったのもロバートソンである。
フェルナンドの遣いとして来訪したロバートソンが立ち会うことで、この婚約はフェルナンドの意志であることを表明するものとなった。
それは、マリールイーズが王家の後見争いから外れたことと同時に、これからはサンドラの牽制を受けずに済むと決定づけるものとなった。
「フェルナンド殿下は初めから、マリールイーズ嬢を王女に据えるお気持ちはなかったよ」
フェルナンドは、パトリシアを深く愛していた。だが十年経った今の彼が何を思うかは、エバーシェリンには知り得ないことである。
それでもロバートソンの言葉は確かなものだと思った。
「それはそうでしょう」
マリールイーズを無理やり王家に縛り付ける意味などあっただろうか。
「そんなことをなさらずとも、王家の血を引く男児はすでに三人もおられるのですもの」
王家にはフェルナンドのほかに第二王子がいる。彼はすでに臣籍降下して公爵位を賜っており、公爵家には男児が三人生まれている。
傍系の血となるが、公爵夫人もまた別の公爵家の令嬢であり、子息たちの血筋はマリールイーズよりはるかに王家に近い。
「王家は公爵家のご子息を王太子として迎える予定ではないですか」
それは未公開ではあるが、すでに暗々のうちに定められていることだった。
王家はフェルナンドの庶子ではなく、歴とした血脈から男児を迎える。第二王子、現在の公爵の第一子をフェルナンドの養子として、公爵家は次男を嫡男に据えるのである。
子爵は生前、遺言書を作成して、自身の没後に公開するように金庫の中に保管していたのである。
それは一年に一度、パトリシアの亡くなった月、つまり十二月に書き換えられるものだった。
子爵は毎年、最新の遺言を年の終わりとなる十二月に更新していたのである。そして彼は、不明となったあの夜の前に、すでに新たな遺言書を記していた。
最新の遺言書、それはとりもなおさず、彼の直近の遺志である。
子爵は三十四歳とまだ若く、遺言とはまだまだ無縁と思われた。そんな彼が自身の死後の用意をしたのは、すべてがマリールイーズのためだった。
「私はギルバートの遺言に異論はないよ」
そう言ったのは、一族の最長年者である男爵家を隠居した翁だった。彼は子爵の祖父の弟で、遠縁の男爵家へ婿入りした人物だった。
「立派な後継がいて、ギルバートが選んだリチャードは子爵家に勤勉に仕える信用に足る男だ。何より領民は、マリールイーズが領主になることを望んでいるではないか」
彼の言葉に異を唱える者はなかった。内心では、王家の息がかかる子爵家に意見することを恐れる者もいただろう。
ロングフォール子爵家は、王家の血を引く子を得たために、常に危うい立場に置かれていた。
だがそれは、見方を変えるなら、無用な他家の干渉を受けることもなかったということだった。
屋敷には王妃の息がかかるガヴァネスが滞在して、婿入りするリチャードの背景にはサンドラの生家が関わり、何よりマリールイーズは未来の国王フェルナンドの実子である。
最も警戒していた王家に、実質、子爵家は守られていた。子爵は早いうちにそのことを理解していたのだろう。
だからこそ彼はミーガンを受け入れたし、フェルナンドを迎え入れてマリールイーズに会わせてもいる。
マリールイーズの幼い頃の記憶では、フェルナンドと対面した際には子爵が同席している。
当時から家令であったハロルドもまた、そのことを知らないはずはなかっただろう。
まるで王家の秘した血を王族たちが寄ってたかって守るような有り様だと、そうエバーシェリンは思った。
野鳥は血を残すために随分と非道なことをする。そうであるなら。
百舌鳥は一体、どちらだったのだろう。
マリールイーズは、王家と子爵家の、どちらの血も引く。
もしかして子爵はそれを利用したのではなかった。
マリールイーズを守るために、彼女が子爵当主として生きるために、まるで後ろ盾となるように王家の影響を受け入れた。
リチャードの母方がサンドラの影響下にあることも承知して、王妃と王太子と王太子妃を互いに牽制させるような構図を思い描いていたとするなら。
托卵されたカッコウは、果たして本当に托卵されたのだろうか。カッコウこそ、百舌鳥を我が巣に引き入れて子育てをさせていたのではなかったか。
子爵の葬儀はしめやかに執り行われた。
喪主は幼いマリールイーズが務めた。
彼女は立派に役目を果たした。
小さな身体で埋葬を見届ける、その姿は参列した人々の涙を誘ったが、同時に、子爵領の新たな当主が凛と美しく気丈な令嬢であることを示した。
成人に達していないマリールイーズには、後見がついた。それは一族の人間ではなく、隣領のラグウッド伯爵家の隠居であるヘンリーだった。それもまた、子爵の遺言書に記されていたことだった。
ヘンリーは、子爵の祖父の代からの縁であり、彼は祖父のことを年の離れた兄と慕っていたらしい。
縁は続いて子爵の父はヘンリーを年の離れた兄のように慕い、子爵とパトリシアもまた、ヘンリーから可愛がられていたという。
隣領ということで王家からはラグウッド伯爵家が管財人を定めて遣わすように命を受けていた。それをヘンリーがエバーシェリンを遣わしたのは、子爵家を案ずると同時にマリールイーズを守るためだったのだろう。
それも今だからエバーシェリンが思うことだった。
子爵はまるで、自身のあまりに短い人生を予期していたように後のことを整えていた。
結局のところ、彼の死は偶発的な事故であり、むしろ王家のほうが振り回されたのではないか。
遺言書には、マリールイーズのことが細かに記されていた。
マリールイーズには、婚約者としてリチャードを据えること。
十六歳を迎える年に、王都の貴族学園で学ばせること。その際には、リチャードと共に王都のタウンハウスに住まうこと。
子爵はそのために、王都に屋敷を購入していた。
もともと子爵家はタウンハウスを所有しておらず、子爵自身も妹のパトリシアも寮生活をしている。そしてパトリシアはその三年の間に、フェルナンドと恋に落ちてマリールイーズを身籠った。
まるで親の目が届くようにマリールイーズにリチャードを添わせて、万が一にも過ちのないようにと備えるようだった。
だがエバーシェリンは、それだけとは思えなかった。
彼はもしかしたら、マリールイーズが学園に通う三年間をフェルナンドのそばに住まわせようとしたのではないか。
デヴュタントを迎える際にも、未来の子爵家当主夫妻として、二人の姿をフェルナンドと王家の面々に示そうと、そこまで考えていたのではないか。
それがエバーシェリンの想像ばかりではないとしたら、まるで百舌鳥を逆手に取る子爵こそ、権力に我が子を託した百舌鳥ではなかったか。
「あまり難しく考えすぎないことだ」
ロバートソンは、目の前で考え込む様子のエバーシェリンに言った。
二人は今、ロバートソンが滞在する客室にいた。
彼は今般の仔細を纏めてフェルナンドへ報告することになっている。それに先立ち、マリールイーズの爵位襲名に関する書類を整えたのも彼だった。
マリールイーズは、子爵の弔いを終えた直後にリチャードとの婚約を結んだ。
喪中の只中の婚約は、一族が彼女を当主として擁立する意志の表れでもあったのだが、その婚約に立ち会ったのもロバートソンである。
フェルナンドの遣いとして来訪したロバートソンが立ち会うことで、この婚約はフェルナンドの意志であることを表明するものとなった。
それは、マリールイーズが王家の後見争いから外れたことと同時に、これからはサンドラの牽制を受けずに済むと決定づけるものとなった。
「フェルナンド殿下は初めから、マリールイーズ嬢を王女に据えるお気持ちはなかったよ」
フェルナンドは、パトリシアを深く愛していた。だが十年経った今の彼が何を思うかは、エバーシェリンには知り得ないことである。
それでもロバートソンの言葉は確かなものだと思った。
「それはそうでしょう」
マリールイーズを無理やり王家に縛り付ける意味などあっただろうか。
「そんなことをなさらずとも、王家の血を引く男児はすでに三人もおられるのですもの」
王家にはフェルナンドのほかに第二王子がいる。彼はすでに臣籍降下して公爵位を賜っており、公爵家には男児が三人生まれている。
傍系の血となるが、公爵夫人もまた別の公爵家の令嬢であり、子息たちの血筋はマリールイーズよりはるかに王家に近い。
「王家は公爵家のご子息を王太子として迎える予定ではないですか」
それは未公開ではあるが、すでに暗々のうちに定められていることだった。
王家はフェルナンドの庶子ではなく、歴とした血脈から男児を迎える。第二王子、現在の公爵の第一子をフェルナンドの養子として、公爵家は次男を嫡男に据えるのである。
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