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第三十九章
六歳年上のロバートソンとは、エバーシェリンが十歳の春に婚約した。
丁度、彼は王都の貴族学園に入学したばかりだった。
エバーシェリンの生家は、レヴィルス伯爵領とは隣同士で、互いに古い代から続く盟友同士という家柄だった。
二人の婚約も自然な流れで結ばれたものであった。エバーシェリンにとって、ロバートソンは幼馴染というには歳が離れていたからだろう。彼は初めから、誰よりも異性を感じさせる存在だった。
生まれて初めて心を惹かれた異性がロバートソンなのだった。
だからこそ、マリールイーズの気持ちがよくわかった。ひと回り年上のリチャードに少女らしい恋心を寄せる姿は、同じ年頃でロバートソンと婚約を結んだ頃を思い出させた。
リチャードがそんなマリールイーズを大切に思うこともまた理解できた。それは取りも直さず、ロバートソンがエバーシェリンを大切にしてくれたからだった。
十六歳の青年が十歳の少女を充てがわれて、親交のある家同士だとしても、まともに向き合うのは難しいことだったろう。
だが彼は初めから、エバーシェリンを婚約者として尊重してくれた。
王都と領地で離ればなれになっていても、こまめな文も贈り物も欠かさずに、長期休暇には必ず会いに来てくれた。
少女を初めからレディとして扱って、愛情を注いでくれたのである。
彼はその頃にはすでに、フェルナンドとは友情を深めており、彼とパトリシアの恋を誰よりもそばで見守っていた。
だからこそ、エバーシェリンが学園に入学するときに言ったのである。
「エバーシェリン。これを着けて行くんだ。なるべく人前では外さないようにね」
そう言って渡されたのが、赤い縁取りの大きな丸眼鏡だった。
「君はパトリシア嬢に似ているんだよ」
ブルネットの髪はふわふわと柔らかく、ビリジアンの大きな瞳は目尻がほんのり垂れている。
華奢な身体つきまでかつてのパトリシアを彷彿とさせて、そんなエバーシェリンが人目を引くと案じるようだった。
フェルナンドとパトリシアの恋は、学園では伝説のようになって語り継がれていた。
ヒロインが潔く身を引き儚くなったことが叶わぬ悲恋となって、サンドラがまだ学園にいた頃も、密かに夢物語のように語られていた。
エバーシェリンが学園に入学した時には、パトリシアが没してから三年も経っていたのに、ロバートソンはどこまでも用心深かった。
「パトリシアに似ているから」というだけで、エバーシェリンは目が良いのに、ロバートソンの言うことを素直に聞いて、丸眼鏡を掛けて学生時代を過ごした。
大きなトンボ眼鏡のお陰で、エバーシェリンはわりあい地味な風貌となっていた。そのために、同じ年に入学していたリチャードは、後にエバーシェリンと会ったときにも全く気づくことがなかったのである。
ロバートソンは確かに用心していた。
婚約者が過去の恋物語の再来のように、無闇矢鱈と人の目を引かないように。
自分の目の届かないところで、尻の青い男子生徒どもに目をつけられないように。
手のなかでじっくりじっとり温めて、どこにも出さずに仕舞い込んでしまいたいと思うほどには、可愛い婚約者に要らぬ虫がつかないように細心の注意を払っていたのである。
もう一つには、フェルナンドが年頃になったエバーシェリンに、かつての恋人を思い出さずにいてほしいと思っていた。
それくらいには、二人は姿が似ていたのである。
もしもパトリシアが存命で、その後も歳を重ねていたなら、今のエバーシェリンと並んだ時に、二人は姉妹のように見えたかもしれない。
だが、ロバートソンの心配も、折角の伊達眼鏡も、フェルナンドにはお見通しのようだった。
なぜなら彼は、ロバートソンとエバーシェリンの間に娘が生まれたときに、名付けをさせてほしいと願った。
彼はとっくに、エバーシェリンにパトリシアの面影を見つけていた。母譲りのブルネットの髪とビリジアンの瞳で生まれた女児に『マリーローズ』と名を与えた。
未来の国王から名を授かって、流石のロバートソンにも断る理由はなかった。そのマリーローズはすくすくと成長して、よく笑う愛らしい娘に育っている。
フェルナンドはきっと、そんなマリーローズに、もう手の届かない我が子を重ね見ているのかもしれない。
マリールイーズとマリーローズは、そんな不思議な縁で繋がっていたのである。
ここへ初めて訪れたのは、ほんの十日ほど前のことである。春遅い子爵邸の私有道路は、両脇に雪が積まれて残っていた。
道の果てには雪の女王がいるような、そんな幼い頃の童話を思い出したのだった。
だが、道路を回り込んだ果てにいたのは、チョコレート色の髪にロイヤル・ブルーの瞳を揺らす、気高くも愛らしい姿をした少女だった。
フェルナンドの落とし胤、パトリシアの忘れ形見、ギルバートの最愛。
いくつも名を持つ彼女は、孤独であるのに誰よりも愛された少女だった。
「マリールイーズ様……」
ついさっき別れの挨拶を交わしたばかりなのに、すぐにまた思い出されて胸が締め付けられた。
「また会うんだろう?マリルーを連れて」
馬車の窓から後ろを振り返ったエバーシェリンに、隣に座るロバートソンが言った。
「ええ、そうですわね。二人のマリルーなんですもの」
エバーシェリンは別れの前の日に、マリールイーズに打ち明けていた。娘のマリーローズがフェルナンドから名を授かって、それは彼がマリールイーズへ抱く愛情の発露なのだと伝えた。
「マリールイーズ様。貴女には二人のお父様がいらっしゃるのです。お二人とも、貴女を心から愛していらっしゃった。それはパトリシア様も同じなのよ」
だから貴女は独りきりではないのだと、そう言ったときにマリールイーズが抱きついてきた。
小さな身体の放つ熱が、今もエバーシェリンの身体に残っているようだった。
馬車は間もなく門扉に近づき、門番がすでに門を開けて控えていた。
「少しだけ止めてくださらない?」
小窓から御者に言うと、彼はゆっくりと馬車を止めた。
エバーシェリンは、そこで扉を開けてもらうと、門番のダグラスへ声をかけた。
「ダグラスさん。お世話になりました。次は娘を連れて参ります。またよろしくお願いしますわね」
そう言うと、ダグラスは「お待ちしております」と腰を折って深々と礼をした。
扉が閉まると馬車は再び走り出し、そのまま門扉を抜けていった。
「やはりあのお方は、春風のような方だった……」
死人の家などと呼ばれて暗く沈んだ子爵邸に、暖かな日射しが差したようだった。
凍えるような孤独に覆われたマリールイーズの心を、優しく温めてくれた。
門番は、馬車が小さくなって坂道の向こうに見えなくなるまで、立ち尽くしたまま見送っていた。
丁度、彼は王都の貴族学園に入学したばかりだった。
エバーシェリンの生家は、レヴィルス伯爵領とは隣同士で、互いに古い代から続く盟友同士という家柄だった。
二人の婚約も自然な流れで結ばれたものであった。エバーシェリンにとって、ロバートソンは幼馴染というには歳が離れていたからだろう。彼は初めから、誰よりも異性を感じさせる存在だった。
生まれて初めて心を惹かれた異性がロバートソンなのだった。
だからこそ、マリールイーズの気持ちがよくわかった。ひと回り年上のリチャードに少女らしい恋心を寄せる姿は、同じ年頃でロバートソンと婚約を結んだ頃を思い出させた。
リチャードがそんなマリールイーズを大切に思うこともまた理解できた。それは取りも直さず、ロバートソンがエバーシェリンを大切にしてくれたからだった。
十六歳の青年が十歳の少女を充てがわれて、親交のある家同士だとしても、まともに向き合うのは難しいことだったろう。
だが彼は初めから、エバーシェリンを婚約者として尊重してくれた。
王都と領地で離ればなれになっていても、こまめな文も贈り物も欠かさずに、長期休暇には必ず会いに来てくれた。
少女を初めからレディとして扱って、愛情を注いでくれたのである。
彼はその頃にはすでに、フェルナンドとは友情を深めており、彼とパトリシアの恋を誰よりもそばで見守っていた。
だからこそ、エバーシェリンが学園に入学するときに言ったのである。
「エバーシェリン。これを着けて行くんだ。なるべく人前では外さないようにね」
そう言って渡されたのが、赤い縁取りの大きな丸眼鏡だった。
「君はパトリシア嬢に似ているんだよ」
ブルネットの髪はふわふわと柔らかく、ビリジアンの大きな瞳は目尻がほんのり垂れている。
華奢な身体つきまでかつてのパトリシアを彷彿とさせて、そんなエバーシェリンが人目を引くと案じるようだった。
フェルナンドとパトリシアの恋は、学園では伝説のようになって語り継がれていた。
ヒロインが潔く身を引き儚くなったことが叶わぬ悲恋となって、サンドラがまだ学園にいた頃も、密かに夢物語のように語られていた。
エバーシェリンが学園に入学した時には、パトリシアが没してから三年も経っていたのに、ロバートソンはどこまでも用心深かった。
「パトリシアに似ているから」というだけで、エバーシェリンは目が良いのに、ロバートソンの言うことを素直に聞いて、丸眼鏡を掛けて学生時代を過ごした。
大きなトンボ眼鏡のお陰で、エバーシェリンはわりあい地味な風貌となっていた。そのために、同じ年に入学していたリチャードは、後にエバーシェリンと会ったときにも全く気づくことがなかったのである。
ロバートソンは確かに用心していた。
婚約者が過去の恋物語の再来のように、無闇矢鱈と人の目を引かないように。
自分の目の届かないところで、尻の青い男子生徒どもに目をつけられないように。
手のなかでじっくりじっとり温めて、どこにも出さずに仕舞い込んでしまいたいと思うほどには、可愛い婚約者に要らぬ虫がつかないように細心の注意を払っていたのである。
もう一つには、フェルナンドが年頃になったエバーシェリンに、かつての恋人を思い出さずにいてほしいと思っていた。
それくらいには、二人は姿が似ていたのである。
もしもパトリシアが存命で、その後も歳を重ねていたなら、今のエバーシェリンと並んだ時に、二人は姉妹のように見えたかもしれない。
だが、ロバートソンの心配も、折角の伊達眼鏡も、フェルナンドにはお見通しのようだった。
なぜなら彼は、ロバートソンとエバーシェリンの間に娘が生まれたときに、名付けをさせてほしいと願った。
彼はとっくに、エバーシェリンにパトリシアの面影を見つけていた。母譲りのブルネットの髪とビリジアンの瞳で生まれた女児に『マリーローズ』と名を与えた。
未来の国王から名を授かって、流石のロバートソンにも断る理由はなかった。そのマリーローズはすくすくと成長して、よく笑う愛らしい娘に育っている。
フェルナンドはきっと、そんなマリーローズに、もう手の届かない我が子を重ね見ているのかもしれない。
マリールイーズとマリーローズは、そんな不思議な縁で繋がっていたのである。
ここへ初めて訪れたのは、ほんの十日ほど前のことである。春遅い子爵邸の私有道路は、両脇に雪が積まれて残っていた。
道の果てには雪の女王がいるような、そんな幼い頃の童話を思い出したのだった。
だが、道路を回り込んだ果てにいたのは、チョコレート色の髪にロイヤル・ブルーの瞳を揺らす、気高くも愛らしい姿をした少女だった。
フェルナンドの落とし胤、パトリシアの忘れ形見、ギルバートの最愛。
いくつも名を持つ彼女は、孤独であるのに誰よりも愛された少女だった。
「マリールイーズ様……」
ついさっき別れの挨拶を交わしたばかりなのに、すぐにまた思い出されて胸が締め付けられた。
「また会うんだろう?マリルーを連れて」
馬車の窓から後ろを振り返ったエバーシェリンに、隣に座るロバートソンが言った。
「ええ、そうですわね。二人のマリルーなんですもの」
エバーシェリンは別れの前の日に、マリールイーズに打ち明けていた。娘のマリーローズがフェルナンドから名を授かって、それは彼がマリールイーズへ抱く愛情の発露なのだと伝えた。
「マリールイーズ様。貴女には二人のお父様がいらっしゃるのです。お二人とも、貴女を心から愛していらっしゃった。それはパトリシア様も同じなのよ」
だから貴女は独りきりではないのだと、そう言ったときにマリールイーズが抱きついてきた。
小さな身体の放つ熱が、今もエバーシェリンの身体に残っているようだった。
馬車は間もなく門扉に近づき、門番がすでに門を開けて控えていた。
「少しだけ止めてくださらない?」
小窓から御者に言うと、彼はゆっくりと馬車を止めた。
エバーシェリンは、そこで扉を開けてもらうと、門番のダグラスへ声をかけた。
「ダグラスさん。お世話になりました。次は娘を連れて参ります。またよろしくお願いしますわね」
そう言うと、ダグラスは「お待ちしております」と腰を折って深々と礼をした。
扉が閉まると馬車は再び走り出し、そのまま門扉を抜けていった。
「やはりあのお方は、春風のような方だった……」
死人の家などと呼ばれて暗く沈んだ子爵邸に、暖かな日射しが差したようだった。
凍えるような孤独に覆われたマリールイーズの心を、優しく温めてくれた。
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