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第3章
形見
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「悲しい話だな。
なぜその名前をあだ名にしようとしたんだ?」
アルが問いかける。
「私たちに心を開いてくれないから、ちょっとからかっただけよ。
彼女が着ているドレスが同じ物だし、それにさっきのあなた達まるで恋人のようだったしね。」
「あの、私はナタリーです。」
ナタリーはおずおずとリザを見た。
「ごめんなさい、黙ってて。」
「あら、本名言っちゃったわよ。」
リザがケラケラと笑う。
「でも言ってくれて嬉しいわ。」
「話は戻るけど、シンディはいうほど不幸でもなかったのよ。
彼女には別れる前の幸せな思い出があったし、レオンが自分のために去ったことも知ってるから。
そして私のもとを出るときに、今ナタリーが着ているドレスを残していったの。
最後のレオンの記憶だから、2人が一緒にいた場所に残しておきたいと言ってね。」
「そんな素敵な物を私が着てしまっていいんですか?」
ナタリーはドレスの裾をみた。
傷も丁寧に繕ってあって、大切にされてきたようだ。
その細かい針目に、彼女は母親を思い出した。
「そういえばシンディって、私の母と同じ名前なんです。
すごい偶然ですよね。」
「いや、同一人物かもしれないよ。」
アルが口をはさんだ。
「君を見るにお母さんは美人だろうし、ドレスのサイズがぴったり合って似合いのも親子なら納得できる。」
「いわれてみれば似てるきもするわね。
シンディは私のところを出てから一年後に結婚したし…
確かトロントとかそんな感じの人だった気がするけど、違うかしら?」
「トレロンです!」
ナタリーは思わず大声で反応してしまった。
「じゃあまさかお母様がハーギストン公爵と…」
そこで彼女は一気に青ざめた。
なぜ自分がロイと婚約させられたのかが分かった。
きっと自分たちは叶わなかった恋を、子供にさせようとしているのだ。
ナタリーは今までのことを思い出して気分が一気に吹き飛んでしまった。
アルがたまたま拾ってくれたとはいえ、自分はいつか去らなければならない。
彼女の顔はみるみる曇っていった。
「大丈夫?
つらいことは吐いてもいいんだよ。」
リザが背中をさすってくれる。
その手が暖かかったせいか、リザとアルの優しさがしみたからか、ナタリーは泣き出してしまった。
「おやおや。
私たちに無理やり話す必要はないわよ。
夜も深いし、もう寝たら?」
ナタリーは涙を拭いて顔を上げた。
2人は心配そうに自分を見つめている。
この人たちなら話を聞いてくれるかもしれない。
「私のことひいたりしない?」
彼女は悲しげに問いかけた。
「ええ、もちろん。」
「ああ。」
ナタリーは大きく息を吸うと、話し出した。
なぜその名前をあだ名にしようとしたんだ?」
アルが問いかける。
「私たちに心を開いてくれないから、ちょっとからかっただけよ。
彼女が着ているドレスが同じ物だし、それにさっきのあなた達まるで恋人のようだったしね。」
「あの、私はナタリーです。」
ナタリーはおずおずとリザを見た。
「ごめんなさい、黙ってて。」
「あら、本名言っちゃったわよ。」
リザがケラケラと笑う。
「でも言ってくれて嬉しいわ。」
「話は戻るけど、シンディはいうほど不幸でもなかったのよ。
彼女には別れる前の幸せな思い出があったし、レオンが自分のために去ったことも知ってるから。
そして私のもとを出るときに、今ナタリーが着ているドレスを残していったの。
最後のレオンの記憶だから、2人が一緒にいた場所に残しておきたいと言ってね。」
「そんな素敵な物を私が着てしまっていいんですか?」
ナタリーはドレスの裾をみた。
傷も丁寧に繕ってあって、大切にされてきたようだ。
その細かい針目に、彼女は母親を思い出した。
「そういえばシンディって、私の母と同じ名前なんです。
すごい偶然ですよね。」
「いや、同一人物かもしれないよ。」
アルが口をはさんだ。
「君を見るにお母さんは美人だろうし、ドレスのサイズがぴったり合って似合いのも親子なら納得できる。」
「いわれてみれば似てるきもするわね。
シンディは私のところを出てから一年後に結婚したし…
確かトロントとかそんな感じの人だった気がするけど、違うかしら?」
「トレロンです!」
ナタリーは思わず大声で反応してしまった。
「じゃあまさかお母様がハーギストン公爵と…」
そこで彼女は一気に青ざめた。
なぜ自分がロイと婚約させられたのかが分かった。
きっと自分たちは叶わなかった恋を、子供にさせようとしているのだ。
ナタリーは今までのことを思い出して気分が一気に吹き飛んでしまった。
アルがたまたま拾ってくれたとはいえ、自分はいつか去らなければならない。
彼女の顔はみるみる曇っていった。
「大丈夫?
つらいことは吐いてもいいんだよ。」
リザが背中をさすってくれる。
その手が暖かかったせいか、リザとアルの優しさがしみたからか、ナタリーは泣き出してしまった。
「おやおや。
私たちに無理やり話す必要はないわよ。
夜も深いし、もう寝たら?」
ナタリーは涙を拭いて顔を上げた。
2人は心配そうに自分を見つめている。
この人たちなら話を聞いてくれるかもしれない。
「私のことひいたりしない?」
彼女は悲しげに問いかけた。
「ええ、もちろん。」
「ああ。」
ナタリーは大きく息を吸うと、話し出した。
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