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2 アイザックの本心
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しおりを挟むそんなことを思いながら、愛するミリーの元に向かう。
こんなにも自分の身体だけでなく心まで満たしてくれる女は他にはいないと思いながら、まだマリーンとの離縁が成立していなかったことへの罪悪感に苛まれながら、ミリーに想いの昂ぶりをぶつけた。
そうして――前妻のことだとか知られたくなくて、アイザックは嘘を吐いた。
「ミリー、これから特別任務があるんだ。だから行かないといけない」
「そう……」
アイザックの瞳には、答えるミリーの瞳が虚ろで、自分のことなど何の興味もなさそうに見えた。
(どうしようもなくダメな俺だけが……ミリーを愛してしまっている……)
愛していると告げたところで迷惑がられるかもしれない。
だけれど――彼女を抱いた充足感で、前妻マリーンと過去の自分に打ち克つことができる気がした。
「行ってくる……ミリー」
彼女の唇の端に口づけることに成功した。
そのまま出ていったが――彼女と唇の端だけれども口づけに成功出来て、アイザックの心は弾んだ。
再度ドアを開けて伝えてしまった。
「お前以上に俺と相性の良い女はいないと俺は思っていて……いや、言い訳がましいな……それじゃあ、また……」
そう、告白するのは、清廉潔白なミリーに似合うように、自分自身も清廉潔白な身になってからだ。
「ミリー、愛している……」
まだ彼女に伝えることの出来ない言葉を口にしながら、アイザックは過去と対峙しに向かったのだった。
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