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5 4人の邂逅
41 ミリー
しおりを挟むアパルトマンの一室に踏み込んだ私の視界に最初に入ったのは、愛しいアイザックを組み敷く女性の姿だった。結合はしていなようだが――私の胸はざわついてしょうがない。
彼女の小さな手の中にある短剣が、月夜に照らされ不気味に光っている。
飴色の髪は乱れ切っているが、合間にのぞく顔は愛らしい小動物のような顔だちをしていた。
「あ……」
――あれがアイザックの妻マリーン。
状況判断したらそうに違いない。
二人とも裸に近い姿をしているため、心臓がおかしな方向にねじ曲がってしまいそうだった。
夫婦の営みの際に何か揉めたのだろうか? それとも、妻マリーンの様子がおかしかったというぐらいだから、最中に気でも触れたのだろうか。
状況を瞬時に判断することが出来なかった。
「あ……」
魔物相手なら怯まずにアイザックを助けに駆けただろう。
だけど――。
状況把握に時間がかかる。
それに、相手が彼の妻だと思うと身がすくんだ。
この場から逃げ出したい衝動が湧き上がってくる。
彼の名を呼びたいのに、喉がひり付いて発話することもできない。
「あら、ミリーさんのお出ましね……」
妖艶な笑みを浮かべながら、シーツを体にまきつけただけのマリーンと思しき人物がこちらを見てきた。短剣の尖刀をアイザックの首筋に宛がったまま。
その笑顔が怖くて、女騎士であるはずの私は一瞬怯んでしまった。
「あ……」
「ミリーさん……この人、貴女に勝手に好意を抱いていたみたいで……ごめんなさいね……神経毒だけじゃ死ねないみたいね……」
物言わぬアイザックを所有物であるかのように告げる彼女の声を聴いて。肌がざわりと粟立った。
「『どうして私の顔を知っているのか?』そういう顔をしているわね……バッシュがよく『妹分がいる』って、とっても嬉しそうに話していたのよね……それがミリーさんのことだったのよ……ねえ、貴女とバッシュは昔馴染みでしょう?」
私は思わずこくりと頷いていた。
そうして、マリーンは続ける。
「……ああ、そうだ、安心してちょうだい。今の私とアイザックの間には何もないから……彼、全然私に手を出してこなかったのだもの……だから代わりにバッシュと寝たのよ」
『今の私とアイザック』という単語が胸のざわつきを強くしてくる。
それに、彼女はやはり私の幼馴染と体の関係があったようだ。
「ねえ、バッシュの幼馴染のミリーさんならわかるでしょう? バッシュの体のこと……」
あまり他人の体質についてとやかく言いたくはないが、バッシュは子を成す機能が失われてしまっている。
「だからね、生まれてきた赤ん坊はね、アイザックの子どもでしかないのだけど……アイザックは認めたがらないのよ。ひどい男だと思わない……?」
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