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第9話 好きなものは好きだからしょうがない side百合
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しおりを挟む自分で何を言ったのか理解したのか、瀬戸先輩の顔も真っ赤になっていく。
「いや、別に、お前とずっと一緒に暮らすの前提で話をしてたわけじゃなくってだな……!」
「そ、そうですよね! 瀬戸先輩、なんだかうっかり者だし、今のも言い間違えですよね!」
「うっかり者ってなんだよ……!」
「だ、だって、さっき謝ってくれた内容もうっかりだったし……」
二人で言い合っていたら――。
先輩がクツクツ笑いはじめた。
「お前、本当に見た目と違って面白いヤツだよな……俺にそこまで言ってくる女は、生まれて初めてだよ……」
「ええっ……そうなんですか……??」
ふっと瀬戸先輩が真面目な表情に戻る。
「本当に悪かった……これからは、ああいうひどいことは言わないように気をつけるよ」
「いいえ……私の方こそ、うっかり発言が多いし、先輩に対して失礼な態度ばっかりとってごめんなさい」
「じゃあ、お互い様だな。これからは気をつけようぜ――まあ……」
まあ……?
「俺はお前にズバズバ言われるの、嫌いじゃねえけどな……」
なぜか瀬戸先輩は頬を赤らめて俯いているではないか――。
「え……!??」
――まさか……。
まさか……。
先輩って……。
……やっぱり、変わってる……?
そんなことを思っていたら――。
「ああ、そろそろ時間だな」
「時間?」
「ああ、公園でガキに頼まれごとしてたんだよ――歯磨きしたら外に出るかな……」
そう言って、瀬戸先輩が立ち上がる。
「頼まれごと?」
「そうだ。ああ、加賀美百合――」
「どうしましたか?」
「せっかくだ。この周りの道案内がてら、お前もついてこいよ」
そうして、瀬戸先輩についていくことにしたんだけど――。
――先輩の思いがけない一面に触れることが出来るのだった。
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