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「待ってくれ、キティ、どうか最後まで聞いてほしい」

 彼の逞しい両腕に抱きかかえられてしまった。

「団長……」

 先ほど以上に身体が密着する格好となり、気恥ずかしくて落ち着かない。

「君が急に騎士団に入団したいっていうから、心配になって、色々周囲に根回しして俺の団に入ってもらったわけだけど……」

「え? 女性だからと行くあてがないところを拾ってもらったと思って……いたのですが……」

「まあ、それもないこともないけれど、君は成績優秀だったし、全く君に行き場所がなかったわけじゃあない」

 思いがけない事実に衝撃が走る。

「入団させて団長補佐にしたらしたで、君は何に対しても真面目に取り組むし、人が嫌がる仕事だってなんだって率先してやるし、上司の僕相手にもはっきり物事を言う君から目が離せなくなっちゃってさ……」

「それは……」

 そうして、思い切って問いかけてみることにする。

「団長は、私のことは……その……」

 いったいぜんたいどう思っているのか――?

「副騎士団長に託された君のことをすごく大事にしてきたつもりだ」

 大事にされていたから、今まで手を出されていなかったのか――

「そんな風には全然思わなくって……」

「ああ、だって、俺自身も娘みたいなやつだからって、君のことを女性だと意識して大事にしていることに気付かないふりをしてたんだ。なのにさ、まさか、俺よりも軽薄そうなやつの告白受けちゃって……まあ大丈夫かなって思ってたんだけど、予想以上にショックだったんだ」

「そんな……! だって、団長、私に交際相手ができたことに対して、そんなそぶりはまったく……」

「そりゃあ、上司の立ち位置で、君の交際相手にとやかく言えるわけはないさ。だけど、俺が自分の気持ちに気付くのには十分だったよ……」

 ――こちらこそ先ほどから驚きだ。

「団長……私は……」

「キティ……もう自分に言い訳はしない」

 いつになく真剣な声音でブライアン団長が告げてくる。

「――俺は、君のことをどうしようもなく女性として見てしまっている」

「あ……」

 言葉で伝えられると、天まで上る気持ちになる。

「キティ、君はどうかな?」

 その時――

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