【R18】四天の占星術士は、龍帝から不埒に愛される

おうぎまちこ(あきたこまち)

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第2章 同居人との距離――咬――

14 天狼side

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 ぼろ小屋に二人を置いて水を汲みに蘭花が向かった後のこと。

「それで、天狼様? ずっと、彼女の近くで見てきましたが――わたくしは、彼女は良い人間だと思いますよ」
 
 西域風の美人・琥珀は、座敷に胡坐をかいたままの天狼に向かって声をかけた。
 そんな彼女に向かって、彼は不敵に笑いかける。

「彼女の託宣のせいで、私の自由は奪われたと言っても過言ではない。どんな女に成長したかと思っていたが……見た目は美人だが、まだまだ中身はお子様だ……」

「そうですか……でしたら、当初の予定通り、龍帝の花嫁として、蘭花を服従させてはいかがですか?」

 優し気な口調とは裏腹に、「蘭花を服従させる」という物騒な単語を琥珀は紡いだ。

「少しだけ、気が変わったんだ――」

「龍帝である貴方様の運命の花嫁だと、御認めになるということですか――?」

「気が変わっただけだ。気が早いぞ、琥珀――いや、白虎。私が、運命だとか、そういうのが嫌いだと知っているだろう? 彼女が俺の――番――『運命の花嫁』であるのは間違いない……だが、そんなことに縛られて、伴侶を決めたくはないんだ……」

 天狼は不機嫌そうに告げた後、ぽつりと呟く。

「とはいえ、彼女を見ていて飽きはしないがな」

 彼の口の端がゆるりと上がる。
 琥珀はくすりと微笑んだ。

「なんだかんだで、天狼様は昔から蘭花に……まあ、お二人とも素直じゃないですよね……」

 彼女の独り言に、天狼が反応した。

「何か言ったか? ――――ん?」

 だが、それ以外の何かを川のある方角から、天狼は察知したのだった。



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