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第3章 別れと旅立ち――白豚と龍帝――
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しおりを挟むそれから数日経った、とある早朝、蘭花はそっと外に出た。
あれだけ鬱陶しいと思っていた同居人だったのに、いないと分かると、なぜだか胸にぽっかりと穴が空いた気分になるのはなぜだろうか――?
「あのふざけた自己陶酔男は、何の説明もなく……!」
蘭花は激高した。
「――人の純潔を奪うだけ奪って、勝手に姿を消したというの――!?」
怒りは留まることを知らない。
「何よ、私の心がどうとかいうのはどうしたの――!?」
気づけば、蘭花の頬を涙が伝っていた。
「妃……」
どう声をかけて良いのか娘々は迷っているようだ。
ぼろ小屋の前、蘭花が泣き崩れていると――。
「――君にしては珍しく泣いているのか? 我が花嫁よ」
そこに凛とした声が聴こえた。
涙で滲んだ視界の先、立っていたのは――。
「天狼」
黒髪碧瞳の美青年。
いつもはふざけた彼が、少しだけ寂しそうに笑う。
「本当は、勝手に帝都に戻ろうと思ったんだが――引き返してきてしまったよ」
泣いているのに気づかれたくなくて、蘭花は涙を拭った。
彼はぽつぽつと語りはじめる。
「俺には幼い頃から想う人がいる」
想う人。
「彼女とは帝都で出会った」
帝都で出会った。
彼の想い人が自分ではないと思うと悲しく感じるのはなぜだろうか。
「嫌われるのを覚悟で話すが――俺は孤児出身でね。生まれた時には盗賊団みたいなところに入れられていた。男娼まがいのことだってさせられていて、少年時代の俺は相当荒んでいた。今もさして変わらないが、適当なことばかり言っていたから『嘘つきの狼』とあだ名されていた」
普段はふざけた天狼の過去を知って、蘭花に衝撃が走る。
「そんな中、盗賊団の仕事の一環で、帝都に滞在することになったんだ。そうして、兵役で都に来ていた父親に一緒になってついて来ているという少女に出会ったんだ」
嬉しそうに彼女の話をする彼に、蘭花の胸が痛んだ。
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