白虎帝の寵姫

おうぎまちこ(あきたこまち)

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(国の守護神である白虎は皇帝陛下自身だというの……?)

 白虎の姿になった陛下が曹貴妃達に向かって告げた。

「この白い波動は、次代の帝である白虎の光だ。それを、ただのあやかしのものだと決めつけるとは、なんたる侮辱だ……本当に国の政治を司るものとその娘なのか?」

 丞相と妃の父子はブルブルと震え始めた。


「次代の帝が何者か分からないではないな……? 我が妃が孕んでいるのは、まぎれもなく白虎である我が子のようだ」

 立ち並ぶ大臣達は私とお腹の中にいる子どもに向かって一斉に頭をたれた。
 皇帝陛下は玲瓏たる声音で告げる。

「皇帝の子どもを愚弄した罪。重いぞ。さあ、牢屋へと連れて行け――!」

 彼等の叫びが聞こえる。

 白虎姿の陛下がしなやかに動くと、私のそばに近付いてくる。

「すまない、色々と怖がらせてしまった。だが、君のお陰で裏で色々悪政を敷いていた者たちを一斉排除できる。黙っていて悪かった。このような、化け物の姿を見せられて不快だったろう? さて、すぐに人間に戻ろう」

 踵を返そうとした白虎の首筋に私はぎゅっと腕をまわした。フサフサの白い毛が頬にチクチクと触れる。

「待ってください」

「麗華?」

「とても勇猛なお姿で、麗しいです」

 陛下が一瞬息を呑んだのが伝わってきた。

「醜いとか怖いとか思わないのか?」

「思いません。どんな姿でも陛下は陛下だから」

 すると、くるりと身体を動かした白虎のざらついた舌が、私の頬をペロリとなめてくる。

「そうか、ありがとう。やはり、君のような女性は他にはいない」

「陛下」

 ――わたしたちは抱きしめあうと長い長い時間、その場で互いを確かめ合ったのだった。




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