白虎帝の寵姫

おうぎまちこ(あきたこまち)

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 ある夜のこと。
 懐妊したため、陛下の夜伽の相手は出来ない。
 そのため、自身の寝所で過ごす夜が続いた。

(可愛い我が子のためだもの。仕方がないわよね)

 代わりと言ってはなんだが、陛下からはたくさんの書物や美しい装飾品の類が送られてきていた。
 陛下の瞳の色と同じ色である黄金の土台に翡翠の輝く纓絡ようらく(ペンダント)は私のお気に入りだ。

「綺麗ね……」

 けれども、ふっと寂しくなる。

(陛下は今日もお一人で過ごしていらっしゃるのかしら?)

 これまで誰も寝所に呼ばずに一人で夜を過ごしてきた御方だ。

(私が心配せずとも書物をお読みになったりして過ごされているに違いないわ)


 自分だってこれまで一人でひっそりと過ごしてきたというのに……
 私はそっと下腹を撫でた。

「ごめんなさい、もうあなたがお腹にいるというのに、寂しいと思ってしまうなんて……」

 陛下と会えなくなってしまって、なんだか心にぽっかり穴が開いてしまったようだ。
 その時。
 コンコン。
 突然、部屋の窓を叩く音が聞こえる。

(こんな夜更けにいったい……?)

 陛下の子を懐妊しているのだ。
 だから、ちゃんと扉の外には見張りもいるはず。
 けれども、警戒するに越したことはない。
 すると……

「麗華」

 話したかった声の主の声が聞こえた。
 窓の外、陛下が立っているではないか。
 慌てて戸を開く。

「陛下……! どうなさったのですか?」

「君が寂しがっているんじゃないかと思ってね、会いに来たんだ」

 陛下がふわりと笑いながら、私の手に手を重ねてくる。
 心臓がトクンと高鳴った。
 触れた手同士から熱が伝播していくようだ。

(私は……)

 これまで彼に対して安らぎのようなものばかりを感じていた。
 けれども、今は胸が弾んでいる。

「毎晩のようにお会いしていたからでしょうか? 急に会えなくなって、少々心細く感じていました」

「やっぱりそうだったんだね」



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