白虎帝の寵姫

おうぎまちこ(あきたこまち)

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 陛下が伏し目がちになると美しい白金色の睫毛が震える。

「私も同じだ。君と毎晩過ごすのが当たり前のように感じていた」

「陛下……」

 これまでとは違う。
 彼から熱情の宿る眼差しで見つめられると、胎教に悪いのではないかというぐらい、鼓動が高鳴っていく。

「今のままの後宮の制度では、もしも我が子が生まれたとしても、親子で一緒に暮らす時間は得られないだろう」

 それはその通りなので、少々物悲しさを感じてしまう。
 すると、陛下が握る手の力が強くなる。

「けれども、私は君のそばで我が子の成長を見守りたい。これまで孤独に過ごしてきた私にとって初めてできた家族なんだ」
 
 彼の黄金の瞳が揺れ動く。

(私は勘違いしていたんだわ)

 陛下は強い心の持ち主で――一人で過ごすのだって平気なんだって。
 けれども、そうじゃなかった。
 彼の抱える潜在的な寂しさのようなものを感じて、私も彼の手をぎゅっと握り返す。

(私は……子を宿す前から、きっと、この人のことを……)

 性別の垣根を飛び越えて……
 これからもずっとこの人のそばにいたい。
 孤独を抱えながらも気丈に振舞うことの人のそばに……
 

「陛下……私も……貴方と子と三人で一緒に暮らせたら……」

「ありがとう、麗華、どうか元気な子を産んでおくれ」

 そうして、彼の唇が私の唇にそっと重なる。

 それからも――毎晩のように陛下が寝所に姿を現してくれたのだけれど……
 これが良からぬ噂に繋がってしまうとは、この頃の自分たちは想像もしていなかったのだった。


 

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