上 下
10 / 31
第3章 夫の献身、妻の心臓

第10話 泉での清め※※

しおりを挟む



 一応魔王城では、湯船を自室に運んで風呂に入るようだ。
 けれども、今すぐには準備が出来ないとのことで、城庭にある泉へと向かうことになった。
 荘厳な扉を開き、庭に出ると、綠豊かな中に色とりどりの花々が咲き誇り、まるで天国のように美しい。
 青空の下、シグリードとティナは、散歩をしながら、庭と森の接する位置にある泉へと向かう。

「とっても綺麗な場所です……魔界とは思えない……」

「魔界っていうか、魔力の緩衝地帯に目くらましかけて住んでる感じだけどな。魔界の入り口が近くにありはするがな」

 たまにささっと陰が見える。

「ああ、その陰は魔物だ」

「陰が魔物?」

「ああ、この緩衝地帯だと、魔物の姿は陰しか見えねえんだよ」

 シグリードの発言に、ティナは「なるほど」と相づちをうった。
 そうしている間に、泉へと到着する。
 
「じゃあ、好きに水浴びして良いぞ。俺は一応、お前の見張りをしておくから……」

「はい、ではお言葉に甘えて……」

 ティナは与えられていた薄絹をぬぎさると、白くて美しい裸体を露わにした。
 泉のほとりに腰掛けると、そっと足首から水の中へと浸かる。
 ひんやりと気持ちの良い感覚が、彼女を支配していく。
 腰を落とし、そうして、ゆっくりと下肢を浸けていく。
 ちゃぷんと音がして、地面に足をつけると、ちょうど水面は腰ぐらいまでの高さだった。
 そのまま、泉から噴出している水でも浴びようかと、ティナが移動していたら――。

「ティナ……」

 ざぱりざぱりと水を掻き分けてくる音が聞えた。
 彼女が背後を振り返ると、そこには――。

「シグリード様……!??」

 なんと裸のシグリードまで、泉の中に入り込んできたのだ。
 ティナはあわてて、両手で自身の乳房を隠した。

「ええっと……見張りはどうしたんですか!?」

「封印明けから、風呂入ってなくてな……せっかくちょうど良いし、俺も浸かっちまおうと思って」

「そっ、そうなんですね……! じゃあ、私は上がりますから……! 失礼します!」

 そうして、彼女はくるりと彼に背を向けたのだが――。

「待てよ……」

「きゃっ……」

 シグリードに腕を掴まれてしまう。
 ぐいっと振り向かせられ、ティナのなだらかな乳房が露わになった。
 魔核を起点にした痣は、少しだけ薄くなっている。

「あっ……待ってください……」

「待つのは苦手なんだよ……」

 そうして、ティナはシグリードの方を振り向かせられた。
 そのまま、二人の唇が重なる。
 彼の舌が彼女の口中の中を這いずる。
 くちゅくちゅと水音が立った。

「ふあっ……あっ……」

「ああ、うめえな……もっと、くれよ……」 

 次第にシグリードの姿が、長身痩躯の美青年へと姿を変化させる。

 そうして――。

 泉の中、ティナは背後からシグリードに抱きしめられる格好となる。
 ティナのなだらかな膨らみを、彼の大きな手が、ゆっくりと上下に揉みしだきはじめた。

「ふあっ……シグリード様……ここは泉で……こんないやらしいことは……あんっ、あっ、ダメっ……」

「いやらしいって、お前の身体を治すためにイヤらしいことをしてるんだから、仕方ねえだろう?」

「後ろから、こんなっ……ふあっ……ああんっ……」

「お前があんまり前から見るなって言うんだろう? 俺も仕方なく後ろから、お前の胸を堪能してるんだよ……」

 彼女の耳元で彼が囁く。
 熱を孕んだ吐息でそんな風に言われると、心臓が落ち着かない。
 ティナの身体はピクンと反応してしまった。

「ああ、お前、耳も弱いのな……」

「ひゃんっ……」

 彼の舌が、彼女の耳を嬲りはじめる。
 その間にも乳房の上を彼の大きな手が蠢くものだから、ティナは落ち着けない。

「ふあんっ……これ以上は、ダメっ……」

 腰をよじって、彼の身体から逃げようとしたのだが……。
 バシャンと水が跳ねた。
 彼の長い両脚に彼女の細い両脚は挟み込まれてしまい、がんじがらめになって逃げられそうにない。

「ダメじゃねえだろう? 気持ちよさそうにしやがって……見てたら、俺もかなりキてるな……」

「あ……う……」

 彼女のお尻の下の付近には、熱くて仕方ない塊が触れているではないか。
 しかも、びくんと動いてきた。
 気づけば、彼のそそり立つ肉棒は、彼女の両脚の間からひょっこりと顔を覗かせている。

「ひゃあっ……」

「ほら、このまま、俺が腰を動かすから、お前はそのまま感じてるだけで良いぞ……」

 シグリードの両手は両乳房を掴んだままだ。
 言葉通り、彼が腰を下から上に動かし始めた。
 水が波打つとともに、彼女の嬌声が泉中に響き渡りはじめる。

「ふあっ、あっ、あっ、はっ、あっ、あ……」

 何度も粘膜を擦りあげられ、ティナの頭は白んでいく。

「ああ、神子様は、どうやら後ろから犯されるのも好きみたいだな……」

「後ろから……ひゃあっ……そんな、好きなわけじゃあなくって……」

「俺には嘘つかなくて良いぞ……すぐにばれるからな……」

 彼がきゅうっと乳房の先端をつまんできた。

「ひゃんっ……」

「何から何まで硬くしてこわばって……本当に俺の姫は可愛いな……」

(時々出る、「俺の姫」の破壊力がすごい……)

 全身を火照らせたまま、淫頸で芽を擦り上げられながら、乳房をもみし抱かれ続け、どんどんティナの意識は遠のいていく。
 濡れた肌同士がぶつかり合い、パチュンパチュンと湿り気のある音を鳴らす。
 
「あんっ、あっ、あ……あ、シグリード様……私、もうっ……ひゃう……」

「ああ……腰が振れてきてるな……ほら、もっと腰振っていいぞ……」

「やっ、そんなこと……してないっ……あっ、はふっ、あっ……」

 ティナは羞恥の中、あえいだ。
 擦られ続けた芽はぷっくりと腫れ上がり、はち切れんばかりだ。

「そろそろイって良いぞ……」

「ひゃあああんっ……!」

 そうして、お湯の中、彼女の身体がビクビクと絶頂を迎えた。
 震える身体を彼がいたわるように抱きしめる。
 彼女の魔核はもう真っ赤だ。
 背後で、シグリードが自身の巨大な器官をしごき、泉の中に吐精した。

「ああ、本当に、お前は何から何まで可愛いな……ティナ……俺にお前のもっと良い顔見せてくれよ……」

 そうして、息の荒い彼女の顎を掴んだかと思うと、自身の方へと引き寄せる。
 達したばかりの彼女にとって、キスだけで再度びくびくと反応してしまった。

「ふあっ……あ……」

「感じてる顔、そそるな……」

 そうして、徐々に魔核の色が乳白色に戻っていく。
 シグリードに魔力を渡せた証だ。
 だが――。

「ああ、もっと舌を絡めてくれ……魔力が吸えねえからさ……」

 ――あれ?

 ふと、ティナは気づいた。

 もう魔核は乳白色に戻ってしまっているというのに……。

(もうこれ以上は吸い出せる魔力がないんじゃないの……?)

「ふえっ、あ……だって……」

「どうした? ほら、俺にもっと魔力を分けてくれよ……俺の可愛いティナ……」

 彼が彼女のローズゴールドの濡れた髪に、自身の長い指を絡ませてくる。

 激しい情事の後の優しい愛撫も続く。

「……なんで?」

「どうした?」

「いいえ……なんでもありません」

 なんだか恥ずかしくて、それ以上は聞けなかった。
 ただでさえ、彼女の身体は火照りきっているというのに……。

「そうか? 気になるな……まあ良いさ……ほら、ティナ、こっちむき直せ。キスできねえだろう?」

「は、はい……」

 そうして、大人になった彼と彼女の唇が重なる。
 しばらくくちゅくちゅと口付けを交わした後に、唇が離れる。
 求め合った後の銀糸がつーっと伸びた。
 それを見て、ティナの羞恥は高まる。
 シグリードが告げた。

「何回口づけても飽き足りねえな……なあ、身体も清めたことだし、部屋に戻っても良いが……」

 彼の蒼い瞳が熱っぽくティナを見つめた。

「泉に濡れて艶っぽいお前と……もっと口づけていてえ……」

 ティナの心臓がトクンと高鳴った。

 そうして――泉の中、二人の陰が重なった。

 何度も何度も二人は、優しい口付け交わし続けたのだった。


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

この悲しみも。……きっといつかは消える

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:47,521pt お気に入り:843

捨て方に困るから

恋愛 / 完結 24h.ポイント:518pt お気に入り:1

婚約破棄されましたが、幼馴染の彼は諦めませんでした。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,968pt お気に入り:281

あなたの愛なんて信じない

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:111,487pt お気に入り:3,579

一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:811pt お気に入り:1,125

処理中です...