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後日談2① プロポーズやりなおし

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 とある休日――。

「ルビー、よかったら、遠出についてきてくれないか?」

「遠出、ですか?」

 本を読んでいたわたしに、鳶色の髪に水色の瞳をした青年――夫であるアイゼン・メディウス・ロクスが声をかけてきた。

「ああ、そうだよ」

 優しい夫に促され、わたしたち二人は、馬に乗って遠出に出ることになったのだ。



※※※



 そうして、たどりついたのは――。

「ここ……」

 わたしが昔住んでいた村だった。

 そうして、偽の両親が手引きした蛮族によって燃やされた場所――。

「こんな……」

 最後に見たのは焼け野原の風景だったはずだが――。

 ――今は、そこかしこに、木造の建物が立ち並び始めた。

「ルビーじゃないか?」

 若い青年が、わたしを見つけると声をかけてくる。

「マーク!」

 声の主は、近所に住んでいた青年だった。
 わたしを見つけて嬉しそうにしていたマークだったが、アイゼンの姿を見ると、さっと最敬礼をおこなった。

「アイゼン様のご厚意で、ここまで村を復興させることが出来ました」

「領主として当然の務めを果たしただけだよ」

「いえいえ、アイゼン様が立派だから」

 そうして、マークと別れた後、村の中を歩き回る。
 村人たちはわたしに気づくと、口々に声をかけてきた。

「一度は、この村に住むのをあきらめた者たちばかりだったけど、アイゼン様のおかげで、こうしてまた村の機能を取り戻していっている。本当にありがとう。ルビー、また遊びに来てくれよ」

(村が元に戻っていっているみたいで、本当に良かった……)

 ぽかぽかと心が温まる気がしながら、アイゼン様とわたしは村を去ったのだった。




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