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後日談
後日談4 夫は妻の子どもがほしい(前編)①
しおりを挟む翌朝、デュランダルとフィオーレは元の屋敷に荷物を取りに出かけることになった。
現在の住まいである霊峰の麓に王都があるため、そこまで時間はかからない。
デュランダルが竜の姿になって、フィオーレを背に乗せて向かうと早くはあるが、それでは目立ちすぎてしまう。
そのため、デュランダルの愛馬ローランの背に乗って出かけていた。
彼に抱え込まれるようにして、白馬の背に乗る。
フィオーレの亜麻色の緩やかで長い髪が、風にたなびいた。
「ローランに乗るのも、久しぶりです」
「そうだろう? ローランもフィオを乗せて、今日はいつもより調子が良さそうだ」
うふふ、とフィオーレは笑ったが――。
(んん? デュランダル様、ローランの背に乗って、いつも城に出仕しているのよね?)
彼女の中に疑問がわいた。
以前、デュランダルから聞いたことがあったのだ。
ローランは暴れ馬で、デュランダル以外には乗りこなせないと――。
(こんなに綺麗な白馬がそんなに何匹もいるはずはないし……ローランに乗りこなせている段階で、デュランダル様の正体がばれそうな気がするんだけど……)
藍色の短い髪をした夫の方へと、フィオーレはちらりと視線をやろうとする。
「フィオ、馬の上では危ないから前を見てろ」
「は、はい」
騎士の皆は、やはり彼の正体に気づいた上で、元・将軍に話を合わせてくれているのだろうか。
とは言え、真相はやぶの中である。
(まあ、デュランダル様がちゃんと騎士のお勤めが出来ているなら、いいわね)
ひとまずフィオーレは、夫との遠出を楽しむことにしたのだった。
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