短編集

サグリ

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妹に婚約者を寝取られました。妹がそんなことするはずがないのに、どうして…

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デボラは目の前の現実が悪い夢であってほしいと考えたが、ベッドの軋む音も女性の嬌声も男性の荒い息遣いも、全てが現実だと告げていた。

「おねえ、ちゃん?」

ララはデボラに気付き、何を意味するでもなく、呼びかけた。
それに反応しゴードンが振り返りデボラの姿を確認し、驚愕の表情を浮かべ全裸のまま間抜けな表情を晒すことになった。

「いろいろと訊きたいからまずは服を着て」

 ☆ ☆ ☆

「ララに誘われたんだ。俺は悪くない」

デボラは婚約者のゴードンの苦しすぎる言い訳に頭を抱えた。
浮気している現場を押さえられたというのに何を言うのか。
それに妹のララはそのようなことをするような人間でないことはデボラが一番良く知っていた。

「私から誘ったの。ゴードンだって乗り気だったじゃない」
「なっ、黙ってればバレなかったのに、何を言う!」

その後二人は醜くお互いを罵り合い、デボラはゴードンに婚約破棄する旨伝え、詳しくは後日伝えることにした。

「で、ララは何か言うことはないの?」
「別に。おねえちゃんにはゴードンは相応しくないって思っただけ」

だからといって寝取るのが正しいとは思えず、このようなことを仕出かしたララに何を言えばいいのかわからず、デボラは沈黙し、ただ悲しんだ。

この件をどう処理するか家族会議が開かれ、両親はどちらも完全にデボラの味方であり、ララはゴードンと婚約し、家から追放されることが決まった。

デボラは次こそは浮気しないような人と婚約したいと願い、その後叶うこととなる。
いわばゴードンと別れたから得られた婚約者であり、妹のララにも感謝した。

(会わなくなってからもう随分になるわね。ララは元気なのかしら)

ゴードンの件以外は問題のない姉妹関係だったため、今となってはララへの恨みはないが、両親から激しく嫌われたララは実家へと顔を出すことはできなかった。

 ☆ ☆ ☆

ララは浮気するようなゴードンからデボラを救い出せたことに満足していた。
どれだけ自分が傷つこうとも、姉だけは幸せになってほしいと考えていた。

両親から愛されなかったララにとって、デボラは唯一の味方だった。
ゴードンが過去に浮気したことを知ったララは本当なのか試すためにゴードンを誘惑し、言い逃れられないような状況を作りデボラに目撃させ、その後は思った通りに婚約破棄に至った。

ララと婚約したゴードンは再び浮気した。
それを理由にララはゴードンと婚約破棄し多額の慰謝料を手にしたが実家に戻る気はなかった。
どうせ両親には歓迎されず、姉に心配をかけたくもなかった。

ララは知る人がいない遠くへ行き、ひっそりと生きることにした。
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