冒険者で食っていこうとしたけど前途多難です

加納ひより

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 部屋に戻ると気まずそうに、レノは不貞腐れたようにベッドへ寝転がり、ノアはレノの脇あたりに所在なさげに腰掛けていた。
 理由は、三日後だと言ったノアが明日にでも出発しそうになってしまったから。

「・・・レノ」
 寝転がるレノの胸に身を寄せると、言葉を探すように額をグリグリと押し付ける。
「ノア、やめろ、くすぐったい」
 そっけなく頭を抑えるレノ。その手はどこかぎこちない。
「なにか言って、言いたいことあるでしょ?」
 胸に頭を乗せたまま、欲しい言葉を言わせようとするノア。目を閉じるレノからはその感情を見ることはできない。
「お前から言え」
「やだ」
 レノからの少しの妥協案は、即拒否される。


 じれったいくらいの沈黙が二人を包み、痺れを切らしたレノが唸り出した。
「あー、もう!」
 何度目かの唸りの後、ノアの頭を乱暴にかき撫で、最後にそっとノアの頭を抱きしめ、ノアに届くくらい小さく呟く。
 

「俺の相棒はお前しかいない」と。


 その言葉に満足したノアは、レノに見えないようにニンマリと笑みを浮かべる。
「でしょ?もう~レノはもっと素直になりなよ」
「は?!はぁ?!お前が言わせたんだぞ!」
「レノは素直じゃないなぁ~」
 いつもの雰囲気に満足したノアはそっと目を閉じ、レイドの疲れのせいもありそのままの状態で眠ってしまった。
「ノア?」
 何度問いかけても答えないノアを抱え込み、毛布を被るとレノも諦めたように目を閉じる。
 明日はまだどうなるか、わからない。


 翌朝、レノが起きる前に目覚めたノアは、健やかな寝息を立てるレノに軽く笑みを浮かべる。
 自分を抱き込むレノの腕を掴むと、オニキスが光る指輪を引き抜き、自分の左手の中指へ付ける。代わりに自分の右手の中指にあるアメジストが光る指輪を引き抜き、レノの左手の中指へ付けた。
 それは、冒険者になったときにもらえる証の指輪。

「相棒だって言葉、忘れないからな」

 誰に伝えるでもなく、空気中に消えた声を誰も聞いていなかった。

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