僕たち

人格の謎

想介が翔と空太と入れ替わりを始めてから
半年後、想介は２年生になった。想介はすっかり
自分の身体の事を理解し、２人を受け入れていた。
そんな想介は色んな部活からスカウトを
受けていた。だが、実際は想介ではなく
受けているのは弟たちだった。空太はバスケ部、
サッカー部、野球部、テニス部から。翔は
コンピューター部、医学部、研究部など、２人は
他にもたくさんの部活からスカウトを受けていた。
現在、想介の成績は学年１位で運動神経も
運動部の何倍も良くて先輩や後輩、同学年から
とても人気があるが、１つ問題があり、
性格の方はヤバいと言われていた。

時にはクールで素っ気なく、時にはヤンチャで
陽キャ感満載、時には地味でごく普通の人
と言う噂があった。そして問題は、
それだけではなく想介の身体に少し異変が
起きていた。想介がどこかを見つめたまま呆然と
していたり、急に倒れたりとおかしな事があった。
（２人の人格が関係しているのかも）
想介は思いつつも
（たぶん、まだ自分の体質に慣れてないだけか）
そう考えていた。
だが、ある日の授業中、また想介の身体に異変が
起きて意識が飛んで倒れた。いつもなら
その後クラスメイトや教師の声で目覚めるが、
その日はなぜか目を覚まさず、救急車で病院に
運ばれた。
そして３時間後、想介が目を覚ますと病室の
ベットの上にいた。そのベット周りにいた両親が
目を覚ました事を医師に知らせて、医師がきて
想介の症状を見て
「想介君、最近何か身体に異変などは
ありませんでしたか？。例えば、自分がして
いなかった事や言った事ない言葉を
記憶していたり、友達や家族が行ってたなど」
そう言うと想介は黙り込んだ。医師は
「君は、多重人格障害者です」
真剣な表情で言い、両親が
「何ですか？、それ」
質問すると医師は
「自分の身体の中にいくつかの人格を持っている
人の事ですが、大抵は障害者認定はされません。
ですが想介君の場合は自分の中の人格が完璧な
意思を持っていて人格同士が喧嘩している状態で
自分の身体に人格が宿っている事を理解
している上で他の人格に自由に変えている方は、
その他の色んな人格に負けて自分を見失い、
いずれ植物状態になってしまう人の事が
障害者認定された多重人格障害者です」
説明して、両親は疑いの表情で想介の顔を見て
「本当なの？、想介」
そう言うと想介は静かに頷いた。両親が
「治るんですか？」
不安な声で医師に聞くと
「一応、治療法はあるのですが、人によって
治療期間が分からず、想介君の場合は発見するのがかなり遅れたので....もしかしたら」
そう言い、両親は泣き崩れた。想介は状況に
理解が追いつかなかった。
（僕が.....障害者？、植物状態？）
そう思ってると翔が
（ごめん兄さん、あの時、何で乗り移ったら
兄さんの人格だけ消えるのかもっと調べて
早く気づいてれば....）
申し訳なく言い、空太も
（ごめん兄貴、俺が
兄貴の身体を使いすぎたせいで。本当にごめん）
申し訳ない気持ちで言うと想介は
（気にしないで、翔、空太。僕は大丈夫だから）
心で伝えた。すると医師が
「最善を尽くします。それから想介君」
そう言い、想介は
「はい」
そう言うと医師は
「これからは絶対に、別の人格を出さないで
ください」
そう言い、想介が
「え？どうしてですか？」
そう聞くと医師は
「治療期間に入りますし、これ以上別の人格を
出すと本当に想介君自身の人格が消えて
しまいます。だから、どうか別人格を出さないで
ください」
そう言い、想介は
「はい」
そう言って静かに頷いた。