異母妹にすべてを奪われ追い出されるように嫁いだ相手は変人の王太子殿下でした。

あとさん♪

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5.人質?いえいえ花嫁ですがなにか

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「人質、の定義はなんだったかしら」

 人質の待遇としてはあるまじき厚遇に首を傾げながら、リラジェンマは温かいお茶を一服した。
 訪問した他国の王族として遇されていると思えば、妥当な扱いだろうか。
 それにしては至れり尽くせり過ぎる気がする。外交に訪れた大使がその国の王城でフルエステなど受けないだろうし、所望するものがあればなんなりと用意します、などと言われない。宗主国の大使でもない限り。


 ◇


 グランデヌエベに到着したのはの夕方だった。
 王宮内の王太子宮。その中の豪華な客室にウィルフレード王太子のエスコートで案内され、彼が選んだという侍女たちを紹介された。
 一休みしたら晩餐をともにしようと言ってウィルフレード王太子が退出したあと、リラジェンマはとりあえず、少しだけ休みたい旨を侍女に伝えた。王太子が目の前から消えたとたん、気が抜けたのか疲労を感じたのだ。
 すると、あっという間に夜着に着替えさせられ寝台に横になっていた。
 侍女にも熟練の手練てだれという者が存在する。グランデヌエベの王宮にもいたのね、見事だわ! と思いつつ目を瞑った。
 次に目を開けたら朝になっていた。
 ちょっと目を瞑っただけのつもりで、どうやらうっかり爆睡していたらしい。朝日がさんさんと射し込む方角の良い部屋だったのねと窓を見ながら思う。
 王太子が言っていた晩餐は当然のことながら無視した形になった。

 慣れない強行軍での馬車移動に加え、母国ウナグロッサで受けた仕打ち。リラジェンマ本人が思っていたより精神的に負担ストレスを抱えていたのだろう。夢さえ見ずに眠りこけるほどに。

 馬車での強行軍は、確かに体力的にはキツかったが、心理的にはなんの不満も無い。
 王太子は終始寝ていたから気を遣う必要などなかったし、同行していた騎士や兵士は馬替えのたびにリラジェンマに優しく声をかけ気遣ってくれたし、馬車内を寝床仕様に変更してくれた。彼らは徹頭徹尾、紳士的な振る舞いをし続けた。
 むしろ人質だというのに気を遣ってもらい、王宮に到着すれば豪華な部屋の豪華な寝台で肌触りの良い寝具と衣類にくるまって快適な安眠をむさぼれたのだから、文句を言ったら始祖霊から罰がくだされるだろう。

 昨夜リラジェンマの寝支度を調えた年配の侍女が朝の挨拶に現れ、彼女の合図を皮切りに数人の侍女たちの手でリラジェンマはあれよあれよという間に磨き上げられた。湯浴みからマッサージ迄フルコースひととおり。一昼夜馬車に揺られ、一晩眠り続けた身体には有難かった。

 丁寧に身の回りの世話をしてくれた侍女たちは、みな気持ちよい笑顔と態度でリラジェンマに接したが、余計な口を挟むこともなく快適な時間を提供してくれる。

(ウナグロッサの王宮のおしゃべりスズメたちに見習わせたいわね)

 侍女たちのお喋りは他愛ないものが多いが、いくら王女に慣れているからといって、王族の前で無遠慮な噂話や、他者の悪口など平気で溢すのはいかがなものだろう。最近は妙にギスギスした嫌な空気が満ちていた。やはり母が亡くなってからその傾向が強かったと思い出すと溜息がこぼれてしまう。

「リラジェンマ殿下、お心が優れないご様子。お食事をこちらにお持ちしますがご希望の品はございますか? できうる限り対応いたします。なんなりとお申し付けくださいませ」

 リラジェンマの溜息を聞き逃さなかったらしい年配の侍女の柔らかい声に、母国に残した乳母・ジータを思い出す。彼女は昨年足の骨を折って仕事ができなくなり城を辞した。
 ……近年では古参の者たちの多くがそういった理由で職を辞している。
 いっそ不自然なほどに。

(お父様……ご自分の意に沿わぬ者たちを次々と追い出していたわ)

 まさか、王太女リラジェンマまでその対象になるとは思わなかったが、父という人間に対する自分の認識不足であったと言わざるを得ない。
 とはいえ、父のことはどうでもいい。いまは。

「ありがとう。わたくしは充分よくして貰っているわ。あなたたちの仕事は素晴らしいもの。それで、ウィルフレード王太子殿下にお詫びしたいのだけど、面会は叶うかしら」

 年配の侍女――たしか昨夜ハンナという名だとウィルフレード王太子から聞いた――にそう尋ねてみれば、不思議そうな顔をされる。

「お詫び、でございますか? どのようなお詫びでしょうか」

「ウィルフレード王太子殿下は『晩餐を』と仰っていたのに、わたくしが眠っていたから」

「あぁ、そのことでしたらウィルフレード王太子殿下お詫びのお言葉をお預かりしております。『強行軍で輿入こしいれさせた私に気遣いが足りなかった。許せ』と。リラジェンマ殿下が寝込んでしまわれても致し方ありません。深窓の姫君を一昼夜揺れる馬車に乗せたままだったと伺ったときには、眩暈がいたしましたわ!」

 これだから殿方はっ! とハンナはご立腹のようだ。

「わたくしどもの王子が姫殿下にいたしました無礼、僭越せんえつながらお詫び申しあげます」

 丁寧に頭を下げるハンナたち侍女に、リラジェンマは呆気にとられる。

「あなたたちが謝ることではないわ。頭を上げてちょうだい」

「ですが、今まで誰にどんなに急かされてもガンとして結婚相手を選ばずにきた王太子殿下が、御自おんみずからお迎えにあがったリラジェンマ姫殿下ですもの。姫殿下に嫌われでもしたら、うちの王太子殿下は一生独身のまま過ごしそうで恐ろしいのですっ」

「……え?」

 ハンナの決意を込めた顔は、謎の圧を伴ってリラジェンマを黙らせる。

「リラジェンマさま。幾久しく、よろしくお願い申しあげます」

 そうして再度丁寧に頭を下げられ、当惑したままのリラジェンマを残して侍女たちは退出した。

 傍らには薫り高く温かいお茶。一口飲めば、その馥郁ふくいくたる薫りにうっとりした。喉元から胃の腑に落ちてまで薫りが続くようで、納得の腕前だった。

「……わたくし、もしかして本当に王太子本人の主張のとおり『花嫁』として連れてこられたのかしら」

 そう独りごちてからふと疑問に思う。
 それならば、なぜ彼は一軍を率いて国境を越え、あの街を占拠していたのだろう。宣戦布告してまでリラジェンマを迎え入れなければならなかった訳は?

 花嫁が欲しいだけなら、異母妹に話がいくのが普通ではないだろうか。彼女は絶世の美女と評判だったのだから。
 王太女であったリラジェンマには幼い頃女王ははに指名された婚約者がいた。のちのち王配になる予定の侯爵家子息だ。
 その婚約者持ちの王太女をわざわざ花嫁に指名する意図が分からない。いまとなっては王太女の資格は剥奪されただろうし、もとより絶世の美女と呼ばれるような容貌は持っていない。しかも母国にとっては厄介者扱いのはずだから人質としての意味も怪しい。
 果たしてリラジェンマ本人にそこまでする価値があるのだろうか。
 むりやりリラジェンマを花嫁にしようとしているウィルフレード王太子は、いったい何を考えているのだろう。

 薫り高い紅茶に添えられたジャムがまた美味であった。


 ◇


「おはよう、リラ! いい朝だね。気分はどうだい?」

 明るい挨拶とともにウィルフレード王太子がリラジェンマの部屋を訪れたのは、彼女がお茶を一服し軽食を終えてからだった。
 今日のウィルフレードもキラキラと金髪が輝き、白皙の美貌も絶好調のようだ。
 何が嬉しいのかニコニコと満面の笑みを浮かべご機嫌な様子が見てとれる。

(王族って、もうちょっと内心を隠すための作られた笑顔を浮かべるものだと思っていたけど、彼のこれは……)

 解るのだ。向かい合う相手が浮かべている笑みが、本気なのか内心を隠すそれなのかが。ウィルフレードの浮かべている笑みは、後ろ暗いところのいっさいない、心からの笑みだと解る。解ってしまう。

 ウーナ王家の血族に伝わる特殊能力で、リラジェンマには対峙する相手の悪意が視える。前女王であった母はリラジェンマより遥かに高い能力を持っていたがゆえに、悪意だけでなく相手のさまざまな感情まで把握できたらしい。そのせいでいつも心労を背負っていた。
 母ほどではないが、リラジェンマも相手のこころの内が大雑把に理解できる。
 だからこそ、戸惑う。
 ウィルフレードは上機嫌なのだと解るから。

「じゃあ、案内するからね。行こう!」

 リラジェンマが挨拶するのも待たず彼女の手を取ると、上機嫌のウィルフレードは彼女をエスコートしながら部屋を出た。

「どちらへ?」

「神殿。ちゃんと挨拶させないと」

(ん? 挨拶? 神殿で? 誰かを紹介しようとしているの?)

 紹介されるのなら、まずはグランデヌエベ王国の国王夫妻ではなかろうか。まだ彼らに会っていない。彼らに会うために神殿をわざわざ使うのだろうか。
 どことなく不思議な言い回しだと感じたが、細かな言葉の使い方が違うせいだろうと聞き流した。

 エスコートされながら外を窺えば、進む先は王宮内部へ向かう道のようでリラジェンマが尋ねる。

「王宮内に神殿があるのですか?」

「うん。むしろ王宮の中央が神殿だね。ウナグロッサでは違うの?」

「違いますね。大神殿は王宮から離れた山の上にありました」

 ふむ、やはり扱いが違うのだなとウィルフレードが呟いた。
 そして続けて怖いことを尋ねてきた。

「ところでリラ。ウナグロッサで何があった? うちのが騒がしすぎて、つい介入しちゃったんだけどさ。僕が放置していたら、リラは早晩この世のモノでは無くなっていただろうね」

「――え?」


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