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第六章
お風呂に入ろう!2
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お風呂から出たイメルダちゃん達をタオルで拭き、髪は白いモクモクで乾燥させる。
そして、寝間着を着せようとする。
でも、イメルダちゃんは「自分で着てみるわ」と言って、靴の時同様、シャーロットちゃんに着せてあげている様子を見つつ、ちゃんと着てみせた。
しかし、さっきは大変だった。
一通り笑い転げたイメルダちゃんは、涙目になりながら「わたくし、くすぐったいの苦手なの!」とプンプン怒りだしてしまったのだ。
「ゴメンゴメン」と謝ったけど、結局、体や髪を洗い終え、浴槽に浸かっている時も「サリーさんのそういう所、良くない!」とお説教を受ける羽目になってしまった。
まあ、ちょっと雑になっていたかもしれない。
反省。
「二人とも、可愛い!」
と寝間着姿を誉めてあげると、シャーロットちゃんはうれしそうに、イメルダちゃんはちょっと恥ずかしそうにする。
白のワンピース型の寝間着で、手芸妖精のおばあちゃんが作ってくれたものだ。
なので、サイズもぴったしだし、裾に付いたフリルや胸元の黄色いリボンがついて、凄く愛らしい!
しかも、二人ともお揃いだから、可愛らしさ倍増だ!
因みに、わたしにも同じ物を――と提案してくれたけど、正直、着たかったけど、断腸の思いで断った。
ワンピースだと何かあって戦うことになったら、色々気になってしょうがなくなっちゃうからね。
だから、泣く泣く、今まで着ていたママの毛が編み込まれたズボンタイプのパジャマを着ることにした。
あ、因みに今はまだタオルを巻いた格好だ。
これから、ヴェロニカお母さんをお風呂に入れないといけないからね。
「せっかく可愛い寝間着だけど、まだ寒いから、寝台にはいるまではこれを着ていてね」
と言いつつ、町で買った黄色いカーディガンと厚手の靴下を履かせてあげる。
それなりの値段だったのに、なんというか垢抜けないそれだったけど、イメルダちゃん達が着るとそこそこ可愛かった。
とはいえ、手芸妖精のおばあちゃんにとっては不満らしく、そのうち作り直すとわたしに宣言してくれた。
頼もしい!
二人が着たのを確認して、外に声をかける。
「ヴェロニカお母さん!
お風呂ぉ~」
しばらくすると、ヴェロニカお母さんがニコニコとやってくる。
入れ替わりに出るイメルダちゃん達には、エリザベスちゃんの様子を見て貰うことに。
妖精メイドちゃん達に頼りっぱなしも良くないしね。
ヴェロニカお母さんの服を脱がせようとすると、手で制される。
そして、ヴェロニカお母さんは自ら服を脱いでいく。
おおぉ~
時々ぎこちないけど、丁寧に確実に脱いでいく。
まあ、当たり前と言えば当たり前なんだけど、今まで人任せにしていた事を考えると、凄く偉いと思う。
バスタオルを巻き終えるのを確認すると、浴室に入る。
まずは掛け湯、すると、ヴェロニカお母さんが付けていたバスタオルがポロリと外れた。
「あら?」と言いつつヴェロニカお母さんはしゃがんで自ら取ると、立ち上がり胸元に寄せる。
そして、思いついたように、恥ずかしそうにしながら「落ちちゃったわ」などと視線を寄越した。
それに対してわたしは――冷めた感じに「そだね」と答える。
男の、初な少年ならともかく、わたしは女の子だし、そもそも、昨晩は夜泣きの度にその馬鹿デカいのを見ていたので、別に何の感慨も湧かない。
むしろ、わざとらしいその姿に、ちょっとイラリとしてしまった。
だから、「そういうのは良いから、まずは湯船で体を温めて」と指示をする。
「サリーちゃんが冷たい」とか言っているけど、無視無視だ。
ヴェロニカお母さんの体と髪を洗った後、自分の分も手早く済ませ、浴槽の中にいるヴェロニカお母さんの隣に座り、一息付く。
さっきも、イメルダちゃん達と入ったけど、妹ちゃん達を交互に洗ったりして、さほど入っていないのだ。
それに、全員分を洗い終えたという満足感もあり、非常に気持ちが良い入浴となっている。
良い湯だぁ~
隣に座るヴェロニカお母さんが、わたしの白い髪に触れながら「三つ編みを解くと印象が変わるわね」などと言っている。
いまいちピンと来なかったので「そうかなぁ?」と答えておく。
そして、ヴェロニカお母さんの髪に視線を移す。
立てば腰を越えてお尻に届くほどの髪は、現在、肩越しから前に流されている。
お湯に濡れたそれは、黄金色に輝いていた。
「ヴェロニカお母さんの髪、長くて綺麗だね」
「そう?
ありがとう」
ヴェロニカお母さん、少し考えて、わたしの方を少し探るように見てくる。
「髪、切った方が良いかしら?」
「え?
なんで?」
「だって、邪魔なだけじゃない?」
んんん?
戦うわたしならともかく、ヴェロニカお母さんが気にする必要はない気がする。
「勿体ないよ」
「でも、体はともかく、髪は一人で洗えそうにないし、洗髪する為の石鹸も高いんでしょう?」
なるほど、その辺りを気にしていたのね。
「大丈夫だよ。
白いモクモクがあれば、髪を洗うぐらいあっという間だし。
リンス――ー洗髪石鹸の事ね、それも、貰い物だし、多分、エルフのお姉さんが来てくれるだろうから、その時に持ってきてくれるように頼めばいいし。
最悪、自作も出来ると思うし」
あと、長い髪を洗うのも、ママやお姉ちゃんで慣れているって言ったら、「だからあんなに上手だったのね」って納得してた。
因みに、ヴェロニカお母さんは髪も体も白いモクモクで洗われていた。
白いモクモクの方が肌や髪に良いと言ったら、「そちらでお願い!」と強く言われた。
なんやかんや言って、流石は大人の女性だ!
初めの内は、身をよじり、笑いながらも耐えていたヴェロニカお母さんだったけど、そのうち慣れたのか平然としていた。
イメルダちゃんも、しばらく白いモクモクで洗えば慣れるかな?
明日、再挑戦してみよう!
「ヴェロニカお母さんの刺繍、綺麗でびっくりしちゃった!
子供の頃からやってるの?」
「ええ、令――女の子の教養として家で教えて貰ってるの」
「へぇ~」
良いところのお嬢様っぽいのに、刺繍が教養だなんてちょっと不思議な感じがする。
地域柄なのかな?
あ、でも、前世の学校だって授業で習ったから、別段おかしくないのかな?
「教えてあげようか?」
「う~ん、冬ごもりになって時間が空いたら教えて貰おうかな?」
一応、道具もそろえた方が良いかな?
あ、教養ならシャーロットちゃんの分も必要かも。
とはいえ……。
「ヴェロニカお母さんみたいに上手く出来るとは思えないなぁ。
ハンカチとか服とかに刺繍があったら可愛いと思うけど……」
そうボヤくと、ヴェロニカお母さん、にっこり微笑みながら「だったら、わたくしが縫ってあげても良いわよ」と言ってくれる!
うれしい!
「じゃあね、じゃあね」と言いつつ、構成をリクエストをする。
大丈夫?
本当?
楽しみだ!
ヴェロニカお母さん、少し考えてから訊ねてくる。
「ねえ、サリーちゃん。
わたくしの刺繍って売れるかしら?」
「えぇ~
そりゃ、あんなに上手ければ売れると思うけど……」
ヴェロニカお母さんが真剣な顔で言ってくる。
「だったら、何品か作ってみるから町で売って見て欲しいの」
「うん……」と言いつつ考える。
刺繍道具を買ったお店に聞いてみるのが良いのかなぁ?
「ハンカチの角に、小さな花を入れるとか可愛くて売れるかも。
値段もお手頃になるし」
「なるほどね」
とヴェロニカお母さん、考え込み始める。
職人さんみたいにお金を稼ごうとしているのかな?
何だか、ヴェロニカお母さんらしくないというか、ちょっと変な感じがした。
まだ、会って数日しか経ってないけどね。
Web小説の主人公とかはどうなんだろう?
う~ん、何だかヒロインとか女の子とかの能力に合った事をさせていた気がする。
「ヴェロニカお母さんはやっぱり、わたしみたいな女の子より、頼りになる男の人に助けられたかった?」
わたしの問いに、ヴェロニカお母さん、目を丸くしながらこっちを見る。
そして、ニッコリ微笑みながら言った。
「そんなことないわよ。
可愛くて強くて頼りになる――そんな女の子に助けられて良かったと思ってるわよ」
「そう?」
「そうよ」
ううう、なんかそんな風に面と向かって言われると、ちょっと恥ずかしい。
視線をちょっと外すと、ヴェロニカお母さん「照れてるサリーちゃん、可愛いわ!」と抱きついてきた。
恥ずかしい!
そして、寝間着を着せようとする。
でも、イメルダちゃんは「自分で着てみるわ」と言って、靴の時同様、シャーロットちゃんに着せてあげている様子を見つつ、ちゃんと着てみせた。
しかし、さっきは大変だった。
一通り笑い転げたイメルダちゃんは、涙目になりながら「わたくし、くすぐったいの苦手なの!」とプンプン怒りだしてしまったのだ。
「ゴメンゴメン」と謝ったけど、結局、体や髪を洗い終え、浴槽に浸かっている時も「サリーさんのそういう所、良くない!」とお説教を受ける羽目になってしまった。
まあ、ちょっと雑になっていたかもしれない。
反省。
「二人とも、可愛い!」
と寝間着姿を誉めてあげると、シャーロットちゃんはうれしそうに、イメルダちゃんはちょっと恥ずかしそうにする。
白のワンピース型の寝間着で、手芸妖精のおばあちゃんが作ってくれたものだ。
なので、サイズもぴったしだし、裾に付いたフリルや胸元の黄色いリボンがついて、凄く愛らしい!
しかも、二人ともお揃いだから、可愛らしさ倍増だ!
因みに、わたしにも同じ物を――と提案してくれたけど、正直、着たかったけど、断腸の思いで断った。
ワンピースだと何かあって戦うことになったら、色々気になってしょうがなくなっちゃうからね。
だから、泣く泣く、今まで着ていたママの毛が編み込まれたズボンタイプのパジャマを着ることにした。
あ、因みに今はまだタオルを巻いた格好だ。
これから、ヴェロニカお母さんをお風呂に入れないといけないからね。
「せっかく可愛い寝間着だけど、まだ寒いから、寝台にはいるまではこれを着ていてね」
と言いつつ、町で買った黄色いカーディガンと厚手の靴下を履かせてあげる。
それなりの値段だったのに、なんというか垢抜けないそれだったけど、イメルダちゃん達が着るとそこそこ可愛かった。
とはいえ、手芸妖精のおばあちゃんにとっては不満らしく、そのうち作り直すとわたしに宣言してくれた。
頼もしい!
二人が着たのを確認して、外に声をかける。
「ヴェロニカお母さん!
お風呂ぉ~」
しばらくすると、ヴェロニカお母さんがニコニコとやってくる。
入れ替わりに出るイメルダちゃん達には、エリザベスちゃんの様子を見て貰うことに。
妖精メイドちゃん達に頼りっぱなしも良くないしね。
ヴェロニカお母さんの服を脱がせようとすると、手で制される。
そして、ヴェロニカお母さんは自ら服を脱いでいく。
おおぉ~
時々ぎこちないけど、丁寧に確実に脱いでいく。
まあ、当たり前と言えば当たり前なんだけど、今まで人任せにしていた事を考えると、凄く偉いと思う。
バスタオルを巻き終えるのを確認すると、浴室に入る。
まずは掛け湯、すると、ヴェロニカお母さんが付けていたバスタオルがポロリと外れた。
「あら?」と言いつつヴェロニカお母さんはしゃがんで自ら取ると、立ち上がり胸元に寄せる。
そして、思いついたように、恥ずかしそうにしながら「落ちちゃったわ」などと視線を寄越した。
それに対してわたしは――冷めた感じに「そだね」と答える。
男の、初な少年ならともかく、わたしは女の子だし、そもそも、昨晩は夜泣きの度にその馬鹿デカいのを見ていたので、別に何の感慨も湧かない。
むしろ、わざとらしいその姿に、ちょっとイラリとしてしまった。
だから、「そういうのは良いから、まずは湯船で体を温めて」と指示をする。
「サリーちゃんが冷たい」とか言っているけど、無視無視だ。
ヴェロニカお母さんの体と髪を洗った後、自分の分も手早く済ませ、浴槽の中にいるヴェロニカお母さんの隣に座り、一息付く。
さっきも、イメルダちゃん達と入ったけど、妹ちゃん達を交互に洗ったりして、さほど入っていないのだ。
それに、全員分を洗い終えたという満足感もあり、非常に気持ちが良い入浴となっている。
良い湯だぁ~
隣に座るヴェロニカお母さんが、わたしの白い髪に触れながら「三つ編みを解くと印象が変わるわね」などと言っている。
いまいちピンと来なかったので「そうかなぁ?」と答えておく。
そして、ヴェロニカお母さんの髪に視線を移す。
立てば腰を越えてお尻に届くほどの髪は、現在、肩越しから前に流されている。
お湯に濡れたそれは、黄金色に輝いていた。
「ヴェロニカお母さんの髪、長くて綺麗だね」
「そう?
ありがとう」
ヴェロニカお母さん、少し考えて、わたしの方を少し探るように見てくる。
「髪、切った方が良いかしら?」
「え?
なんで?」
「だって、邪魔なだけじゃない?」
んんん?
戦うわたしならともかく、ヴェロニカお母さんが気にする必要はない気がする。
「勿体ないよ」
「でも、体はともかく、髪は一人で洗えそうにないし、洗髪する為の石鹸も高いんでしょう?」
なるほど、その辺りを気にしていたのね。
「大丈夫だよ。
白いモクモクがあれば、髪を洗うぐらいあっという間だし。
リンス――ー洗髪石鹸の事ね、それも、貰い物だし、多分、エルフのお姉さんが来てくれるだろうから、その時に持ってきてくれるように頼めばいいし。
最悪、自作も出来ると思うし」
あと、長い髪を洗うのも、ママやお姉ちゃんで慣れているって言ったら、「だからあんなに上手だったのね」って納得してた。
因みに、ヴェロニカお母さんは髪も体も白いモクモクで洗われていた。
白いモクモクの方が肌や髪に良いと言ったら、「そちらでお願い!」と強く言われた。
なんやかんや言って、流石は大人の女性だ!
初めの内は、身をよじり、笑いながらも耐えていたヴェロニカお母さんだったけど、そのうち慣れたのか平然としていた。
イメルダちゃんも、しばらく白いモクモクで洗えば慣れるかな?
明日、再挑戦してみよう!
「ヴェロニカお母さんの刺繍、綺麗でびっくりしちゃった!
子供の頃からやってるの?」
「ええ、令――女の子の教養として家で教えて貰ってるの」
「へぇ~」
良いところのお嬢様っぽいのに、刺繍が教養だなんてちょっと不思議な感じがする。
地域柄なのかな?
あ、でも、前世の学校だって授業で習ったから、別段おかしくないのかな?
「教えてあげようか?」
「う~ん、冬ごもりになって時間が空いたら教えて貰おうかな?」
一応、道具もそろえた方が良いかな?
あ、教養ならシャーロットちゃんの分も必要かも。
とはいえ……。
「ヴェロニカお母さんみたいに上手く出来るとは思えないなぁ。
ハンカチとか服とかに刺繍があったら可愛いと思うけど……」
そうボヤくと、ヴェロニカお母さん、にっこり微笑みながら「だったら、わたくしが縫ってあげても良いわよ」と言ってくれる!
うれしい!
「じゃあね、じゃあね」と言いつつ、構成をリクエストをする。
大丈夫?
本当?
楽しみだ!
ヴェロニカお母さん、少し考えてから訊ねてくる。
「ねえ、サリーちゃん。
わたくしの刺繍って売れるかしら?」
「えぇ~
そりゃ、あんなに上手ければ売れると思うけど……」
ヴェロニカお母さんが真剣な顔で言ってくる。
「だったら、何品か作ってみるから町で売って見て欲しいの」
「うん……」と言いつつ考える。
刺繍道具を買ったお店に聞いてみるのが良いのかなぁ?
「ハンカチの角に、小さな花を入れるとか可愛くて売れるかも。
値段もお手頃になるし」
「なるほどね」
とヴェロニカお母さん、考え込み始める。
職人さんみたいにお金を稼ごうとしているのかな?
何だか、ヴェロニカお母さんらしくないというか、ちょっと変な感じがした。
まだ、会って数日しか経ってないけどね。
Web小説の主人公とかはどうなんだろう?
う~ん、何だかヒロインとか女の子とかの能力に合った事をさせていた気がする。
「ヴェロニカお母さんはやっぱり、わたしみたいな女の子より、頼りになる男の人に助けられたかった?」
わたしの問いに、ヴェロニカお母さん、目を丸くしながらこっちを見る。
そして、ニッコリ微笑みながら言った。
「そんなことないわよ。
可愛くて強くて頼りになる――そんな女の子に助けられて良かったと思ってるわよ」
「そう?」
「そうよ」
ううう、なんかそんな風に面と向かって言われると、ちょっと恥ずかしい。
視線をちょっと外すと、ヴェロニカお母さん「照れてるサリーちゃん、可愛いわ!」と抱きついてきた。
恥ずかしい!
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