異世界召喚巻き込まれ追放テイマー~最弱職と言われたスキルで魔物軍団を作ったら世界最強の町ができました~

九龍クロン

文字の大きさ
21 / 160

20話、イカれた商人が来やがった

しおりを挟む


 「すっげぇ!ロックドラゴンだ!でけぇ!」

 「ワシと同じようなリアクションじゃな」

 17日目、商人が来た。
 元気な人だ。




 朝、もふもふから体を起こし、ストレッチをする。
 ケルちゃんが犬のように伸びをして欠伸をしているのをみて、心が安らぐ。犬、良いな。猫も好きだけど。

 朝ごはんにマジックトレントの実を食べる。
 マジックトレントって長いな。トレンでいいか。君は今日からトレンだ。

 魔物全員と挨拶し、役割通りの仕事をはじめてもらう。
 今日は迷宮に向かうので、レオくんとカイちゃんとマリは待機だ。

 昼から迷宮にいこうとのんびりしていると、ドーグが呼びに来る。

 どうやら、商人が来たらしい。




 「どういう人なんですか?」

 「まあ、金目のものに目がない、狂ったやつじゃ。道理は弁えておるから大丈夫じゃよ、多分」

 「はあ……」

 目の前には、10台ほどの大きな荷馬車と、それを護衛する私兵のような戦闘集団、そしてその先頭に、金が好きそうな若くて元気な男性が居る。

 「どうもドーグさん、そして新しい村長、タキナ殿!私はここから北のほうにある領地で辺境伯をやらせていただいております、ゴールド・フォン・アルベリアと申します!ゴールドとお呼び下されば!」

 「え、領主さま……?え?」

 「ようゴールド、久しぶりじゃな!」

 魔の森にある、魔物溢れる拠点に、領主である身で乗り込んでくる。しかも辺境伯といえばものすごい上流階級じゃないか。

 確かに、イカれた商人のようだ。




 ひとまず、ドワーフのプレハブをひとつ借りて、中へ招く。
 ここから商談だ。まあ、なんとかなるだろう。多分。

 「ワシがほしいのは、各種鉱石、宝石、燃料、そしてワシらの必需品、酒じゃな。対価はワシらの作る道具じゃ」

 「いつもありがとうございます。あなた方のつくる道具でないと取引してくれない方々も居るので、毎度助かっておりますよ」

 ドーグのほうはいつも通りの流れらしい。
 さて、こちらの番だ。似たようにすればいいか。

 「私は……この村……街に必要になりそうなものを買いたいです。いろいろな植物の種とか、畜産用の動物とか、本当はそれらの加工ができる人とかもほしくて……えーっと」

 「はい、はい。わかりますよ。つまりはこの街に、相応しい機能がほしいのですよね。……職人を含め、いろいろと準備させていただきましょう」

 ひとまず欲しいものは伝えられた。
 娯楽とか欲しいと思ってた時もあったけど、正直今はいろいろしたり見たりで忙しい。遊ぶより楽しいことがいっぱいだから、娯楽は当分いらない。

 「で、対価は、ドーグさん達が使わない分の魔物素材がいいんですけど……」

 「ええ、もちろん買い取らせていただきますよ!例えばどういったものを売っていただけますか?」

  私は、ゴールドの前に素材をいくつか並べた。

 「これとか……」

 「深海鋼じゃな」

 「これも……」

 「マジックトレントの樹液じゃ」

 「これなんかも」

 「ロックドラゴンの爪じゃな。ワシらの工房じゃ加工できんかった」

 「……どうでしょう」

 ゴールドが押し黙る。不安になるから黙るのやめて。
 ……しばらく俯いて黙っていたゴールドが、バッと顔を上げた。

 「す…………っばらしい!おお!商いの神よ!私をタキナ殿と、ドーグと、そして商いの道と出会わせてくれて感謝する!!」

 「びっくりした」

 「わしもじゃ」




 結局、街の発展に全面的な協力をしてくれる事になった。
 条件として、街としての取引はすべてゴールドを通すことになった。まあ、ドーグ曰く、誠実に確実に金を儲けることを人生の主軸にしている人物なので、わざわざ私のアレらと敵対するような事はしないだろう。
 冒頭のアレは、夕方に帰ってきたトロちゃんとスラちゃんを見せた時の反応の一部だ。
 さすがに、アレ相手に舐めた真似はせんだろう、イカれていても。

 結局夜までやることがあったので、今日の分のテイムは三層の適当なアビサル・アーマーに使うことにした。
 アビサル・アーマー、何体居ても困らんからね。汎用性が高すぎる。あと100体はほしい。




 タキナの村には宿がないため、人数を有するゴールドは護衛たちとともに街の外で野営をした。
 テント類も当然一番いいものを持ってきているので、ともすればタキナの街より泊まり心地がいいかもしれない。

 ゴールドは、自分用のテントの中で、もう一人に向かって話をしていた。

 「あの集落は……国にバレたらどうなると思う」

 「まァ良くてユスリ、悪くて戦争でしょうな。……特級冒険者か勇者でもいない限り、国に勝ち目はねェでさ」

 「騎士団でも無理か?」

 「相性がわるい。あのデケェふたつで片が着いちまうかもしれねぇのに、さらにレッドオーガに、ケルベロスまで居やがったぞ。他にもやべぇのがごろごろと。スケルトンの数にはビビったぜ。あの数はめんどくせぇ……御伽噺の魔王かってんですよ」

  ゴールドに従うようなこの男は、ゴールドの雇っている私兵団の団長だ。彼はゴールドに対し、誠実に、思うままのことを伝える。それがゴールドに対する最良の付き合い方だと知っているからだ。

 「ククッ、やはり私は恵まれているようだ。……この友好的な関係を崩す訳にはいかないな、例えば国を欺く事になっても」

 「賢明でさァ」

 彼女らには、勝てない。それこそ、人類の枠からはみでた、人外たる特級冒険者や、人類の最終兵器たる勇者でもない限り。

 「あの街は、金の成る街だ。……他の誰にも渡しはしないさ。さて、帰ったら仕事が増えるぞ。まずは依頼品の品定めだな。幸い街づくりのノウハウは我が領には豊富だ。機密部分以外は、資材とともにすべて売り渡していいだろう。他の領の発展情報もだ。情報処理のできる役人も数人持っていこう。はやく発展してもらわんとな。人足も用意してやろう。違法奴隷商人から接収したもの達の行き場がなかったな。国に下げ渡すつもりだったが、無かったことにしよう。王家への思想反逆罪に問われた技術者の囚人も何人かいたな。都合がいい。監察保護付きで寄越してやるか。あそこは国とは関係ないからな、王家への思想なんざ関係ない。あとはそうだな、あそこまでの道をつくりたい。試算して、次回さっそく打診しよう。ああ、隣領の介入も防いでおきたいな。不安要素は減らしておこう。各領の空白地帯側を一括で購入しよう。なに、疲弊した領への慈善だと思わせればいい。これで邪魔者も減る上に感謝までされる。融通がきかせやすくなるぞ。ああ、深海鋼やロックドラゴンの素材は期がくるまで寝かせておかないとな。うちで研究だけさせて、タキナ殿の街が簡単に手出しできないほど大きくなってから大々的に商売をしよう。いやあ、こういう時の為にしっかりと資産を貯めておいてよかったな。ふふ、あとは……」

 「大将、ひとまずメモなんかにまとめて寝やしょう。明日のあっしらの仕事が増えるんすよ」

 「……そうだな、寝よう。起きてからのほうがいいアイデアが出る。……ふふ、今日は人生で一番楽しい日だったな」

 ゴールドの人生は、この日を境に激変する事になるだろう。
 良い方へ向かうのならば、良いのだが。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...