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番外編

01

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『 フフフ~ン、フフフ~ン 』

鼻歌を歌いながら朝の支度をする

指定の制服は女子物、赤いチェックのリボンをつけ同じ柄のスカートを履き
ブレザーは紺色をしている

セミロングのクリーム色髪を片手で纏めてから片手に持っていた同じ色のウィッグを後頭部からつけ、伸びたロングの髪と元の髪を交わるよう指で軽くとかし
自らの前髪をセットすれば顔の左右を見て頷く

『 よし、今日も可愛い。あ、忘れてた! 』 

大切なものを忘れてたと、ポーチから口紅とリップをつけ艶の出るグロスを塗り
アクセサリーケースに入っていたシルバー細工のついたネックレスをつけ胸元へと入れる
見えなくてもいい、細いチェーンだけ見れたら十分だし此はつけてるからそこ意味がある

見せるためのじゃないからこそ頷く

何処からどうみても私は" 女の子 "

「 陽~、お兄ちゃん仕事行ってくるなー? 」

『 待ってまって!私も行く! 』 

私には14歳離れた兄がいる
普通の兄なら自慢しないのだけど
この人はその辺りの男とは比べれないほどかっこ良くて綺麗な顔立ちをしてる

顔だけじゃないスタイルもいいし
料理の腕だっていい

「 メイクしなくても可愛いだろ....って、スカート短くないか? 」

『 短くないし。もー、口煩いなぁ 』

「 膝より下だろ 」

『 昭和の人間め! 』 

「 なっ!? 」

口煩い点を除けば完璧なお兄ちゃんだと思う
お兄ちゃんが嫌そうにするもの嫌だから、短くしていたスカートを丸めた部分を膝上辺りまで下げてからぱっと手を開けば、何処か不満そうでも諦めて、お兄ちゃんは私の顎に触れそのまま頬へと口付けを落とした

「 頑張って行ってらっしゃい。俺の愛しいプリンセス 」

『 ふふっ、お兄ちゃんも頑張ってね 』

私は両親の顔も
お兄ちゃんから両親の話すら余り聞いたこともない
けれどスウェーデンと日本人のハーフらしく
お兄ちゃんのスキンシップそれ譲りで、私も英国風のスキンシップは嫌いじゃないし寧ろ大好きだったりする

御返しにとばかりにぎゅっと抱き締めれば、お兄ちゃんが使ってる香る甘い香水の匂いに顔を胸板へと埋めていれば
悶えたように顔を反らしていた

「 ....かわ、いいかよ.... 」

「 ほら、貴方達。仕事の時間ですよ 」

「 そうだった、それじゃ気を付けてな 」

『 はーい! 』

お兄ちゃんは何処かの会社の社長をしてるらしく、玄関へとやって来たのは秘書の黒澤さん

お兄ちゃんより身長も高くて、年齢も上なんだけど若々しい、悔しいけどお兄ちゃんの隣にいて相応しいイケメン男性だと思う

『 ...... 』

お兄ちゃんが何処の会社の社長かは知らないしどんな仕事をしてるか分からない

でも、妹として家で待つことはなんの苦でもない

知らないことは他にも沢山ある

誕生日、血液型、どこで産まれたのか、
どのこ学校に行ったのか
色々知らないことが多くてもお兄ちゃんが帰ってきてくれるならそれだけでよかった

学校迄は自転車で向かう為に家の駐車場の端に置かれたそれを使って登校する

歩くにはちょっと距離があるんだよね

『 こう、少女漫画みたいに曲がり角でぶつかって恋愛とかに発展しないかな~って流石にないか。私、自転車だし 』

自転車でぶつかるなんて只の交通事故なんじゃないかって思うとあり得ないな~って笑ってしまう

そんな事よりも今は急ごそうと信号のない交差点を右に曲がれば驚いた

「 うわっ!!? 」

『 !!!? 』

なんでそんなところに人が立ってるの!って思った時には遅くて急ブレーキの後にぶかった感覚と共に痛む手の平や膝を気遣う前にぶかった人へと視線を向けた

『 ぎゃぁぁ!!スミマセン!スミマセン!!血がぁ!! 』

此でも医学部の生徒なのに、ばたんと俯せで倒れてる男性へと近付いた 
俯せになってる男性からは広がる血を見て驚いて、身体を起こそうと肩に触れこちらへと向けば目を見開く 

『 えっ.... 』 

なんか、倒れてた時はフードつきパーカーと下はアンバランスなスウェットを着てた為にお年寄りでも引いてしまったのかと思えば違った

おでこから血は出てるも整った顔立ちは兄よりも堀が深くイケメンだと思う

『 いや、そうじゃなくて!お兄さんしっかりして! 』

「 はっ....!一瞬、御迎えが来てた.... 」

ぱっと目を開いた男性は私の腕から起き上がりその場で座れば額に触れ血を見てから、適当に取り出したメモ帳を切り折り曲げてから抑えていた

『 あの、すみません....前方不注意でぶかって.... 』

「 いや、俺も曲がり角ギリギリに立ってたから仕方無いよ。見ての通り平気だから、気にしないで? 」

『 ありがとうございます 』

平気そうには見えないのだけど、爽やかに笑った男性は自転車を起き上がらせてくれた

それにて、微笑んで片手を差し出す

「 ほら、学校に遅刻するよ? 」

『 あっ、ありがとうございます!次にお会いしたときに御礼します! 』

「 楽しみにしてるよ 」

ひらりと手を振った爽やかイケメンのお兄さんは、金髪に蒼空のような水色に近い青い目をしていた

日本語上手だったけど、きっと外国人だと思いながら自転車を漕ぎ学校へと急ぐ

また会えるといいな


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