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番外編

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美しい蝶は甘い蜜の香りを立てる華に
魅了され飛び回る

けれど、不意に飛ぶに疲れたように
目についた華で羽根を休めようとすれば
其処は既に蜘蛛の巣が出来ていた

「 さぁ、君の全てを曝け出して 」

「 ぁ、あっ! 」

甲高く美しく啼く蝶は悪い蜘蛛によって糸に絡まれ徐々に喰われていく

綺麗な羽根に触れ鋭い牙で噛み付いて
身に纏う花粉を全て剥ぎ取って 
開いた身体の中を蜘蛛はゆっくりと喰い
痛みによって痺れた快楽を与える

喰われる喜びを感じる蝶はその瞳に写る
華を蜘蛛だとは思わずに蜜よりも甘い誘惑に飲み込まれる

自らが惹き付る華には慣れず、飛び回るだけの蝶は待ち伏せをする蜘蛛の滑降の餌食なんだよ

「 ねぇ....隠し持ってる黒いダイヤ....誰に頼まれたの....? 」

「 ぁんっ、あっ....パパが、運べって....んんっ! 」

「 そう、買う人は?....俺にも買わせて.... 」

白いシーツに高く色づく身を沈め
黒いダイヤの流れを吐き出す

熱に犯された思考では上手く回転しないまま、只与えられる快楽と共に吐き出すように答えを告げる

「 いっ、ぁ、くっ!!__、が、かうっ、っ、あぁぁ!! 」

ほろ苦い蜜を吐き出して果てた蝶の亡骸に触れ、そっと羽根を撫でてから目元へと口付けを落とす

「 沢山、話をしてくれてありがとう。お陰で手間が省けたよ 」

深い眠りについた蝶を見詰め、蜘蛛は小瓶を取り出し自らの口に薬を二つ入れそのまま赤い唇へと深く落とす

舌で入れ、舌先で溶かせば密かに喉を鳴らす彼女の上から退きハンカチで口を拭き
脱衣場で手を洗い、捲り上げていたカッターシャツの袖を下げ一つ息を吐く

「 ....それじゃ御嬢様。いい夢を.... 」

腹を満たした蜘蛛は新しい罠を仕掛けるために移動をする

パタリと閉まった扉の真実

蝶は一夜限りの夢へと囚われる....

廊下を歩き自分達の部屋が何処だっけと探しながら戻る
有るながら整える服装に僅かに香る甘い蜜の匂いは余りいいものでは無いけれど
御風呂は後に入ろうと決める

「 遊馬君、上手く盗聴器を外せたらいいけどね 」

彼が心配で心配で仕方ない

あの場で離れたのは本当に正解だとは分からないけどきっと上手くやってるかと期待をして、自分達の部屋を見つければ扉を開く

「 ただいま、遊馬君....って、何してるの? 」

「 全録音したのを一度に聞いてました! 」

「 君は聖徳太子にでもなりたいのかい? 」

テーブルにずらっと並べた盗聴器の前に顎を乗せだらしなく言葉を聞いていた彼だが、どうやら其が得意な事らしい

「 俺!フロア全員いる会話を聞くことが出来るっす!盗み聞きなら任せてください! 」

「 いや、褒められた特技じゃないよね?てか、そんな能力あるなら盗聴器必要ないんじゃない? 」

遊馬君の左脳にあるウィルニケ領野は通常の人なら3つを聞き分けるのが限界だがその倍を聞き分けれるとするならその3倍以上、下手したらそれ以上優れてるのだろうね

随分と機械のような脳を持った子じゃないか、颯

「 あ、盗聴器はどこから話してたのか確信するのに使ってるんっすよ。セットした場所とかメモした方がいいかなって....って、どうしたんっすか? 」

「( この子役に立つ時あるんだね )」

心配しなくてもいいほどに余りにも良くできた子だからこそを口元に手を置き悶えた 

変な変装させたり、カジノでお金使いまくってたりしたからどうなるかと思ったけど盗聴に関しては颯と匹敵すると思った

「 で、左中央テーブルに設置された此に今回の任務内容っぽい会話をしてました 」

並べた中の一つの盗聴器を掴み、それを手前へと引いた彼は少し目線を落とす

「 ただ.... 」

「 どうしたの? 」

「 その内通者....俺知ってたんっす 」

「 えっ?誰? 」

俺の記憶にそんな内通者っぽい人はみたこと無いと首を捻り言葉を待てば、彼はいい辛そうに眉を寄せてからゆっくりと答えた

「 239....仮の名を早乙女さおとめ  あおい。元幹部であり....約5年前に陽妃さんを誘拐しようとして、俺のネックレスを壊して....一人だけ逃げた、人なんです.... 」

彼は首にぶら下げたネックレスを掴み悔しそうにいい放った

早乙女さおとめ あおい
生きてるのかも不明なほどに何処に姿を消してるか分からなかったが、あの男ならヌルヌルと蛇のようにセキュリティー潜り抜けて今回の武器の取引も簡単だろうね

「 今回の誰が黒幕かわかったけど、私情は挟まないでね?あくまでも取引の証拠と任務成功が優先だから 」

「 はい、分かってます 」

「( 本当かな?殺意剥き出しなんだけど.... )五月女か、似顔絵かけるよ 」

俺の同期であった、14歳になった頃に組織の機密情報盗んで逃げた

狐のようだと言われてた為に巧みに騙し
俺達の追跡やら暗殺を逃れて生きてきた

そんな元々の指名手配班が何故、堂々と船に入りカジノをしてるのかわからないね

「 これ、顔が違います 」

「 え、早乙女でしょ?なんで? 」

「 ....俺が14歳の時に見た時は整形して、綺麗なオネェさんだった.... 」

「 うそん!! 」

「 声も裏声 」

俺が知ってるのは男の姿の早乙女だ!
それなら知るわけ無いと、聞かされた再生された会話の中にあった声に驚いた

" あれを心待にしてる人のために完璧に運ばないとね " 

" あぁ、ヘマはできねぇ "

" ふふ....これで売れば.... "

確かに俺達が探してる物の話だった、そして明らかに声が太い男ではなく女の方だと言う遊馬は頭を抱えた

「 敵とは言えど、仲間をミンチにされても逃げてまだこんなことをするなんて....腹が立つっす 」 

「 一度、犯罪に手を染めればその達成感によって快楽が得られるから人はまた求めるんだよ 」

どんなに無くなっても吸いたくなるタバコのように
カラカラに渇いた喉に海水を飲んだとしても
欲しがる身体に脳は正常な機能を失う
それは俺達が一番よく分かってはず
人を殺せば二人目からは同じだと言うことと

「 今度こそ、射殺します 」

「 穏便にね。出来ればどのグループに入って匿って貰ってるか知りたいね 」

ネックレスを壊されたからと殺すのもどうかと思う、寧ろ早乙女は捕まえた方が幹部達が好きにボコして俺はその成果で給料が増える

「 あ、やっぱり早乙女は生け捕りにしよう。それがいい 」

俺は敵より金を優先した


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