転校生にパンツを狙われて困ってます

獅月 クロ

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買ったよ、凄くない?
20分近く並んでやっと買えたのはジュースとおにぎり、彼女はパンを2つ買っていたけどそんなに食べるのだろうか

つーか......

「( 流れ的に一緒に食うことになってんだけど、どういうこと!? )」

無言のまま買って、そのままその場から移動して比較的に人通り少ない場所

食堂から外れた休憩所、自動販売機もあり
エアコンが管理された涼しい場所にやって来たのだが、ごく普通にこのオリビアと言うやつも座って食べているんだが....
それも俺の目の前で

買ったからじゃな、なんて言うかと思ったら全くそんな事はない
寧ろ早々にメロンパンを開けて食べ始めた事に、俺は明太子のおにぎりを仕方なく口へと含んだ

「( もういいや.... )」

話し掛けられ過ぎたら疲れると思っていた
だが、話をしないのも精神疲れをしそうだ

いや....もうしてるか....

彼女は俺の存在なんて無いようにメロンパンを食ってるが....

「( なんだろ、何処を向いて食べたらいいのか分からない.... )」

此所のメロンパン、成長期の学生用に近くのパン屋さんが手作りで作った少し大きめのメロンパンだから
紙袋をずらしながら食べるには両手で食べる必要がある
それが何故か、彼女がやるとキンクマみたいなハムスターが餌を食べてるように見える

「( いや、そんな頬に詰め込まなくてもゆっくり食べたらいいのに.... )」

俺は一人暮らしじゃない
高校生だし、兄弟だっている
兄と弟どちらもいるからこそ、なんとなく世話のかかっていた時期の弟と被る

生意気だけど、食べ方も一生懸命で....
似て...いや、全く似てないや

『 はぁー.... 』

「( もしかして、メロンパン....多かった? )」

溜め息をついて肩を落とす彼女は、流し込むようにオレンジジュースのストローを吸ってまたゆっくりと食べていく

見た目で大きいと分かるなら二つも買わなければいいのに....

「 ウェットティッシュ持ってるから拭いたら?砂糖で手とか口の周り凄いし 」

ポケットからティッシュ変わりに持ってる、アルコール除菌のウェットティッシュを机の上に置けば、彼女はそれを見た後に親指を使い口の周りを舐めていく

なんだろ....拭きたがりたくない赤ちゃんなの?

「 もう、取りなよ....ほら 」

人様の物だから、なんて変な気を使われるよりずっといい

ウェットティッシュを2枚取り、差し出せば仕方ないって感じで拭き始めた

砂糖たっぷりなのも此所のメロンパンだけど、後から手とか洗いに行く必要あるから俺は食べたく無いんだよね、美味しいけどさ....

彼女が拭いてる間におにぎりの袋をくしゃりと握り締め、各テーブルの横にあるゴミ箱へと捨て買っていたカフェオレにストローを突き刺す

「 ずっと無言なの?なんか聞きたいこととかあるんじゃないの?答えるし 」

俺をコキ使え、なんて教師の言葉を鵜呑みしてるとは思えないけど
ついてくるにはそれなりの理由があると思う
どんな質問でも無言の空気が消えるなら答えてやってもいい、そんな事を考えながらカフェオレを吸った

『 パンツは何色ですか? 』

「 ブッ!!!! 」

俺のカフェオレが!!!!

学校の事でもなく、俺への質問でもなく、パンツ?えっ、パンツって下着だよね!?
そんな事をずっと考えていたの!?

霧状に吹き出したカフェオレよりパンツ聞かれたことに驚いて、顔を向ければ彼女は真顔で告げた

『 やっぱり、鬼のパンツ履いてるんですか? 』

「 履いてるわけ無いよ!!鬼のパンツってあの黄色と黒のゼブラ柄だよね!?鬼嶽って履くわけないじゃん! 」

『 じゃ、何を履いてるんですか? 』

なんでそんなにパンツに食いつくの?
今まで無言だったのに、なんでそんな目を輝かしてんの?

「 そんなの.... 」

椅子から降りてウェットティッシュで床を拭きながら、俺は何気無くズボンをずらして色を見た
朝シャンした後に適当に履いたやつを覚えてる訳もなく、確認すれば拭き終わってから答えた

「 ....黒のボクサーだよ 」

『 ふーん.... 』

「( ....えっ、反応薄っ )」

そんな鬼のパンツじゃなかっただけで反応薄いの?
普通、無地のボクサーとかじゃない?
違うの?

期待させるつもりは全く無かったけど、
反応薄いのもまた何となく腹が立つ

同い年の男子に聞いたんだよ?

「 じゃ、君は何の下着着けてんの? 」

もうヤケクソとばかりに告げた俺に、彼女は少し目線を胸元へと向けシャツをずらした

「 っ!!! 」

秒殺とはきっとその事、そんな確認しなくても!!

いや、俺も確認したけど、立ってる俺から見たら胸元の谷間が見えるから色々とアウトだった

鼻血が出そうなのを我慢してそっぽ向いてたら、
答えは耳に入ってこなかった

「( ....経験無いって損だと思う )」
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