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しおりを挟む此所は3階の教室
どれだけ人が入ってくるかは今は分からない為に、俺とシルキーは窓から外を眺めていた
横に立つ彼女は楽しそうにしてるが、俺の中では後半年ぐらいで決めなきゃならない進路について頭の中に廻る
「 ねぇ、シルキー.... 」
『 ん? 』
明るい瞳は声を掛けた事で、俺の方に真っ直ぐと向く
自然と手を伸ばし柔らかな絹のような髪へと触れ軽く流すように触れてからもう一度外へと視線を向ける
「 君の将来の夢はある? 」
進路についてはまだ考えてないかも知れない
だからこそ敢えて更に先の方を聞けば何か答えは分かるんじゃないかと思って問えば、彼女は少し首を捻った後に
質問を質問で返してきた
『 んー、しょーたの将来の夢は? 』
「 えっ?俺?そうだね.... 」
質問を返されるとは思わなくて、少し焦ってから苦笑い浮かべて考えれば横には答えを待つシルキーがいる
君と同じ大学に行きたい、なんて言ったらきっと迷惑だろ、だからこそなんて言えばいいか分からなくて不器用に苦笑いを浮かべた
「 考えてないからシルキーに聞いてみた。俺は....幸せに暮らせたらいいかな 」
幸せに、平凡に、不自由が有りながらも苦戦しても幸せな家庭があって生活して、仕事していればいいかなって位だから固定の夢はない
何かになりたい、なんて考えたことが無かったからこそ素直に答えればシルキーは窓に触れてから柔らかく微笑んだ
『 しょーたと......一緒なら....いいな 』
「 えっ? 」
今、なんて?
もう一度聞きたいとその言葉を問おうとした時にはシルキーは少し延びた髪を揺らして射的のメンバーがいる方へと向かっていた
もし聞き間違いでは無いなら、告白しても求める答えは帰ってくるだろうか?
「( シルキー....君の望む未来を俺は作りたい.... )」
臆病な俺が一歩踏み出せたのは、シルキーのおかげなのだから何かして上げたいと思うのはダメなのだろうか
願うなら、君を隣で支えたい
「 いらっしゃいませ! 」
『 2年2組の射的にようこそ! 』
お客さんはやって来て、正門の入り口に置いてるブラックローズ社とのコラボをしてるという看板は効果あったのかもしれない
直ぐに御客さんはいっぱいになった、
それと同時に別の目当ての奴も増えた....
「 シルキーちゃんって言うんだよね?1枚写真撮っていい? 」
「 めっちゃ可愛いね!にゃんってやってー 」
「( こういうのワラワラ集まるんだよね.... )」
ニコニコしてたシルキーの目も死んできたのは直ぐに分かる
べたべた触ろうとする様子に、こういう状態なら彼女の父親ならどうするだろ
利益になりそうな事をすると思って考えていれば、驚いた
「 なぁ、いいの作ったんだ 」
『 えっ? 』
「「 !? 」」
それは俺の出番を取るように、青井は彼女の肩に触れ自分の方へと引き寄せてから男の方へと1つのチェスの駒を見せた
「 クイーンを落とせば1枚写真可能。ナイトを落とせば、ナイト(君)に彼女から頬キスが貰える。どう? 」
「「 やる!! 」」
パンツはいらねぇけど!なんて言う様子に
男コーナーが人気無かった理由は分かったけど、それより頬キスなんてふざけてると近付こうとするも話を聞いた男達で近付けなくなる
「 クイーン撃ち抜く!!出来ればナイトも! 」
「 ナイトとクイーン落としたら、頬キスの写メになります 」
「「 やる!! 」」
「( いや、待て待て )」
止めようとしてもこの騒ぎようなら無理に止めて萎えさせるより、いいのかな?と考えて少しだけ様子を見る事にした
少し離れた場所にある女性用の射的は、予想通りに楽しそうだ
「 試着をどうぞ 」
「 無料でサイズも測ってます 」
反対の扉には内側から鍵がかかってるから
女性二人が立ってる方には男性は入れない
事前に全隅から見えないように入念なリハーサルをしたから、隙間から覗こうとしてもダメだな
俺はこの様子を監視して傍観してる側になってるけど、まぁ変な事は無いからいいか
「 あの.... 」
「 ん?なんですか? 」
聞こえてきた声に見下げれば、小さな女の子は俺の服を掴んでいた
バイトのくせでしゃがみこめば女の子は指差した
「 あれ、したい.... 」
「 あ、そうだね!しようか!( 青井、逃げてんじゃねぇ )」
輪投げから離れて射的の方へと行ってる青井に呆れながらオモチャのある輪投げコーナーへと行けば逃げてきたシルキーもまたしゃがんで他の男の子の相手をしていた
なんだろ、位置は変わったけど同じ班の出し物だからいいのかな?
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