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しおりを挟む「 んなの、当たるわけねぇだろ!? 」
耳に響くような声と、その場の空気を壊すような雰囲気に一瞬辺りは静まり返った
こういう人がいるから面倒なんだと何処か思う俺に、シルキーはいつの間にか声を出した男の方へと向かっていた
『 何か問題がありますか? 』
「 あ? このライフルじゃ、当たんねぇっていってんだよ 」
『 使ってたライフルは? 』
「 これだけど 」
『 貸してください。青井くん100円あげるからやらして 』
「 あぁ、分かった 」
ライフルに文句言う客は出てきそうだと思ってたけど、本当に来るとは....
それもシルキーはゲームセンターの店員みたいな物だから、俺はこの後の結末が想像できて苦笑いしか出来ない
青井から弾を6発受け取った彼女は彼が使っていたライフルを持ち弾を込めれば敢えて自分が欲しいのに向けて銃を構えて撃った
パコンッと箱に当たる音と共にぐらついたそれは後ろへと倒れて、次の弾を込めながら話す
『 中央よりやや上を狙えば、揺れる。下は重心が重いし、中央は過ぎてもびくともしない 』
パコンともう一度音がして倒れた箱に、男は口を情けなく開いたまま硬直していた
そりゃそうだ、言われても俺も分からないもん
教えられた本人だから分かるけど、此ばかりは慣れの差が出てくる
『 だからチェスも少し上 』
撃てないと騒がれていたナイトは撃ち抜き空中へと浮けば、彼女は6発全て当てたことになる
『 分かった?落ちるから置いてる。取らせるためのセッティングなのだから当てれないのは貴方が下手なの 』
「 下手.... 」
がーーんと明らかに分かりやすくショックを受けてる様子に、それもそうだと思う
簡単そうに言うが結構難しい
出店の屋台ほど、変な方向に飛ばないにしろ
此ばかりは慣れてないと撃てない
「 それで、持って帰るのか? 」
『 当たり前、全部Lサイズで 』
「 分かった 」
青井から袋に入れた、パンツを受け取った彼女は早々に離れようとすれば彼は止めた
「 シルキーさん、これ 」
『 ん? 』
「 白のナイトとキングは鬼嶽くんとの頬キス&写メだけどどうする? 」
「 えっ.... 」
だから俺のも作ってるんじゃない!と文句言いたいが、少しだけシルキーの反応を見たくて止めるのを、やめれば彼女は笑顔で俺の方へと歩いてきた
「「( おっ!? )」」
「 シルキー....ゲームだし、なっ? 」
『 景品は受け取らなくては 』
心の準備が出来てない、そう思って焦る俺に彼女は襟元を引っ張れば軽く右の頬へと口付けを落とした
『 あ、してもらう方だった 』
「「( 鬼嶽、羨ましい!!! )」」
「 っ~~!! 」
間違えたと呟くのは狡いと思う
そんなのもう、色々と沸騰しそうな程に顔が熱くなった
「 お、俺。飲み物買ってくる!! 」
『 あ、しょーた!私と写メ!! 』
そんなのいつでも撮ってるのに、なんて思うより俺はその場に居辛くなって自動販売機へと急いだ
「 っ....不意討ち過ぎる 」
走ったせいもあるけど、あんなにもあっさりキスされるのは恥ずかしい
そりゃお父さんと慣れてるとしても....
「( 本当、俺が男として見られて無いんだって.... )」
『 しょーた? 』
「 うわっ!?びっくりした.... 」
『 びっくりしたのはこっち、そんな驚かなくても 』
いや、追い掛けて来るとは思わなくて自動販売機に背をつけて明らかに驚けば
シルキーは何処かふてくしてから、俺に先程取った下着の入った袋を向けてきた
『 これ、しょーたに似合うの選んだ。履いて....見せてくれたらいい 』
「 だからLサイズ....ありがとう 」
お父さんにでもあげるのかと思った
でも、俺のために選んだのならそれは嬉しくて驚いていた心拍数はゆっくりとおさまっていく
『 それと.... 』
「 ん? 」
『 頬にキスして自撮りして 』
自分の頬へと指を当て、見上げてくるシルキーが単純に可愛くて本当に深く考えて無いんだなって察して、頭を撫でていた
『 ん? 』
「 うん、その内ね。今はダメ 」
『 えーーー 』
君が俺とすることで照れたり、恥ずかしく思うようになる頃にちゃんとしたいと思ったからこそ誤魔化した
「 このまま休憩しよう、オレンジジュース飲む? 」
『 飲む.... 』
「 俺はカフェオレにしよっと 」
ちょっとふてくしたのも可愛い
なんとなく、パンツを聞けなかった時と似てるよね
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