謎の箱を拾ったら人生が変わった件〜ダンジョンが現れた世界で謎の箱の力を使って最強目指します〜

黒飛清兎

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4話 箱の有用性1

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 カチャッ


 謎の箱が開いた。これでちょうど20個目だ。

 スキルを獲得する前までは、2日で10個だったが、今回は一日で10個開けることが出来た。

 効率は確実に良くなっている。最大100万パターン試さなければいけなかったものが、50万パターンまでへったのだから、単純計算で、効率は倍になる筈だからな。

 さて、昨日は寝付きも悪かったし、しかも早朝から事故があって起こされたためしっかりと眠れていない。しかも、単純作業を続けているから精神が疲れ切っている。

 今すぐにも寝たいが、あと一つだけ開けることにしよう。
 早く寝たいため、急ピッチで箱を開けていく。


カチャッ


 箱が開くと共にまた脳内に直接声が聴こえた。


【スキル《ショートスリープLV1》を入手しました】


 またスキルか。

 ふぅ、まだまだ調べたい事はあるが、今日のところは一旦寝よう。

 眠くて仕方がない。俺はとりあえず寝ることにした。



 起床し、時計を見るとまだ寝てから3時間ほどしかたっていなかった。

 体感的には10時間ほどたっぷり寝た時のような感覚だ。

 これが《ショートスリープ》の効果のようだ。

 効果はそこまで物凄いものでは無いが、それでも物凄く有用だ。これで睡眠時間を他の時間に当てることが出来る。

 さて、昨日調べきれなかったことを調べよう。

 まずはスキルを入手した時の箱の数だ。これはまだサンプルが少ないのでなんとも言えないが、スキルを入手する為に必要な箱の数は1個ずつ増えている。または、10%づつ増えているのどっちかだろう。確定では無いが普通に考えるとそうなるだろう。

 最初に開けた数は10個で、その次が11個だ。この調子で増えて行ったとしても、解錠のようなスキルが手に入れば効率は落ちないだろう。

 そして、スキルの後に読み上げられたLV1という言葉がある。これは即ちスキルのレベルが上がるということを指しているのではないだろうか。

 どうやってレベルを上げるのかはまだ分からないが、取り敢えず箱を開けていけば分かるだろう。

 どんなスキルが手に入るかは分からないが、これから箱を開け続けていればいずれは色んなスキルが手に入居るかもしれない。

 そうしたらチートスキルで勝ち組な生活が出来るかもしれない。


 ハハハハハ! そう考えると俄然やる気が出てきた!
 俺は早速箱を開け出した。
 

カチャッ
カチャッ
カチャッ


 箱の開く音が俺一人しかいない部屋に鳴り響く。

 この音は俺を幸せへと導く音なのかもしれない。

 本当にそうならば、今までこの音が心地よいと思っていたのにも納得がいく。

 さぁ、箱を開け続けよう。


(警察side)


「おいー。本当にこのまま進むのかよー。」

「あぁ。俺も嫌だが、仕事だ。仕方がない。」


 俺達は先日いきなり出現した謎の塔に調査として派遣された警察官だ。別に特殊な部隊とかでもない、ごく一般的な警察官だ。調査に派遣された理由は、いちばん近くに務めているからという頭のおかしい理由だ。


「こーゆーところはさ、もっとなんか毎日本気で訓練して、世界を守るって意気込んでる特殊部隊みたいなやつらに行かせればいいのによぉ。なんで俺たちなんだよ! 見るからにやべぇ所だろここ!」


 塔の中は外から見たよりも明らかに大きく、異様な雰囲気を醸し出していた。内装は、Theダンジョンと言った石レンガで囲われた空間で、松明などの光源は一切置かれていないにもかかわらず、薄暗い程度の明るさを保っている。


「俺もお前の意見に同意だ。ほら、パッと見てパッと帰るぞ!」

「ちくしょー。分かったよ。」


 俺達に与えられた任務は、塔の中の撮影だ。

 幸いな事に、音声は録音されないようなので、俺達2人は好き放題言っていた。


「しっかし、本当に怖いな。幽霊とかがでたりしてぇーー!」

「…………。」

「ん?どうした?急に黙り込んで。そんなに怖かったか?」

「おい、ちょっと黙れ。あれを見てみろ。」


 俺が指を刺された方向を見ると、そこには子供くらいの大きさのものが居た。


「っ! 子供が迷い込んじまったのか!?」

「おい、まて!」


 俺は制止も聞かず走り出した。こんな所に子供一人でいるなんて危なすぎる。連れ出してやらなくては。

 俺はその子の顔を覗き込んで優しく話しかけた。


「大丈夫かい? 迷い込んでしまったのかな?」


 俺はその子の顔を見た。

 その瞬間、俺は今やっていることが間違いだと気が付いた。何故なら、その子、いやそのは、醜悪な顔。長い鼻。緑色の肌。

 物語などでよく見る「ゴブリン」の姿にそっくりだったからである。
 

「っ!?」


 それは急いでゴブリンから離れようとしたがそれよりも先にゴブリンはこちらを持っていた鉈で切りつけようとしてきた。

 俺は死を悟り、目を瞑った。


 ドンッ!


 横からの強い衝撃。俺は突き飛ばされた。


「ぐはっ!」


 何だ? 何が起こってるんだ? 何故俺の相棒は肩から腹までの間から出血をしてるんだ?

 一瞬の思考の停止の後、俺はすぐさま動き出した。

 急いで銃を構え、ゴブリンに発砲する。
 しかし、銃弾は見えない何かに阻まれて効かなかった。


「おいっ! 逃げろ!」

「で、でも! お前を置いて逃げるなんて…………。」

「俺の事はいい! どうせお前が居ても俺は助からない!わかるだろ?」


 相棒はそれからも何回もゴブリンに刺され、もう、生きているのもやっとのような状態だ。


「ーっ!!」


 俺は泣きながら、ゴブリンと相棒に背を向け、来た道を全速力で走り出した。


 犠牲になってくれた相棒の為にも…………俺は帰らなくては!
 そして、俺は無事塔の外に出ることが出来た。



 その日、世界に混乱が訪れた。

 世界各地に突然現れた謎の塔。そこの中にいる兵器の効かない化け物。

 人類は恐れ、おののく者もいれば、未知との遭遇に心躍らせる者もいた。

 人類が謎の塔の真の恐ろしさを知るのはまだ先のことであった。



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