謎の箱を拾ったら人生が変わった件〜ダンジョンが現れた世界で謎の箱の力を使って最強目指します〜

黒飛清兎

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118話 昇格

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 コナーが他のところに情報を伝えている間に俺は久しぶりに箱を開け始めた。

 ダンジョンに入っているあいだは必然的に陽夏とコナーが寝ている時しか開ける時間は無かったが、その時ですら周りを警戒したりしなくては行けなかったため、殆ど開けることが出来なかった。

 俺の力の源はこれな訳だからこの箱は開けなくてはいけない。


「また箱を開けるのね。じゃあ私は外でこの刀で何が出来るのか試してくるわ。」

「おう、頑張れ。」


 陽夏は刀を手に取り外に出ていった。

 そう言えば陽夏があの刀の力を手に入れたのはあの腕の一件以降だったよな。

 そうだとしたらコナーも何かの能力を手に入れているのだろうか。

 後で聞いてみよう。

 今は箱を開けることに集中しよう。

 ここでは何かを出来るわけでは無いので輸送などのレベルアップを目指そう。

 そう思い俺は鞄を担ぎながら箱を開ける。



【スキル《マスターキーLV10》を入手しました】


【スキル《マスターキーLV10》がスキル《マジックキーLV1》に昇格しました】



「おぉ、こっちか。」


 思った方のスキルではなかったが、昇格したということは嬉しい事だ。

 マスターキーに上がった時は物凄く開けやすくなったが、これ以上開けやすくなるのだろうか。

 俺は試しに箱の鍵を開けようとしてみた。


「あれ? 開いてる?」


 俺が開けようとして箱を触ろうとした時、箱はもう既に開いていた。

 なんだこれ、いつ開いたんだ?

 よく考えたら俺が開けようとする前から開いていたようにも感じる。

 だが、普通に考えた開いた状態の物を見て開けようと考えるか?

 元から開いているものを見て開けようなんて普通思わない。

 不思議な感覚だ。

 これがこのスキルの効果なのだろう。


「いや、だけどこれがあるからって何なんだよ。」


 どうせ箱を中から出すために箱には触れなくてはいけないのでどっちにしろ変わらないのだ。

 正直拍子抜けだ。

 マスターキーになった時の衝撃が大きかったからこそ今回のレベルアップがショボイものに思えてしまう。

 まぁ、俺が使っているスキルはこれだけじゃない。

 地道にレベルを上げていこうか。

 俺はもう一度箱を開けた。



【スキル《運送LV10》を入手しました】


【スキル《運送LV10》がスキル《運輸LV1》に昇格しました】



 またか。

 2連続でスキルが昇格した。

 ちょうどタイミングがあったんだろうな。

 それで、このスキルはどんなものなんだろうか。

 俺は鞄の中身を見てみる。

 やはり以前よりも物は入るようになっている。

 このスキルでは運ぶ時に入れた物はその物の体積以上に鞄に入れることが出来る。

 それが強化されていっているのは分かる。

 それに重さもどんどんと軽くなっていって今はもう変わりが分からない位に軽くなっている。

 はっきりいって非常に便利だ。

 ダンジョンを探索する上でものを大量に持ち込めるというのはかなり便利だ。

 だからこそ文句は無い。

 文句は無いんだが…………。


 昇格してるんだからもっと物凄い効果を発揮して欲しかった。


 勿論これがわがままな願いだと言うのは理解している。

 しかしそれでも他のスキルは昇格するととんでもなく強化されたりしている。

 なのに今回の昇格したスキルは何かそこまでの強化とは思えない。

 マジックキーだってぶっちゃけいらないっちゃいらないし、運輸だってぶっちゃけ言えば運送に入れられる物程度ですら持て余していた所もあり、それ以上入る必要と無かった。

 つまり、どちらの強化も今の俺に直接関わるものではないという訳だ。

 いやぁ、なんというか、萎えるなぁ。

 それで言ったら要らないスキル何て他にもある。

 賢明とかに至っては未だに効果が分かっていないしな。

 だけど、開け初めに2連続でいいスキルが出たと思っていたら2連続で使えなかったんだから萎えて当然だろう。

 まぁ、これから使えるようになるかもしれない。

 そう思っておこう。


「……………。」


 俺はゆうちゃんの寝ているベットにばふっと飛び込む。

 そしてゆうちゃんに顔を埋める。


「ゆうちゃん、俺頑張るからね。」


 俺は今頑張ってる。

 そしてこれからも頑張っていく。

 だから先払いで少しご褒美を貰っても良いだろう。

 本当はゆうちゃんに抱きしめてもらっていっぱい褒めてもらってそれから…………。

 まぁ、色々してもらいたいが、ゆうちゃんを生き返らせるまでの辛抱だ。

 その為にも萎えたからと言って投げ出していいわけが無い。


「…………仕方ない。開けるか。」


 俺はゆうちゃんぱわーを貰い、再び箱を開け始める。



【スキル《マジックキーLV2》を入手しました】



「まぁ、ずっと開けてるだけだしな。他のこともしてみるか。」


 箱はその前にやっている事がスキルになるため、ただ箱を開けているだけでは他のスキルは手に入らないだろう。

 なので俺は筋トレをしたり反復横跳びをしたりなどして他のスキルを手に入れられるように最善を尽くした。


【スキル《マジックキーLV3》を入手しました】

【スキル《マジックキーLV4》を入手しました】

【スキル《マジックキーLV5》を入手しました】


 俺は謎の箱を本気でぶち壊してやろうかと思った。
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