121 / 214
122話 あれ、俺とち狂った?
しおりを挟む俺は女の人の頭に手を乗せた。
【夢喰】
【スキル《賢明LV2》を入手しました】
【スキル《鬼剣術LV4》を入手しました】
スキルのレベルは上がったが、効果は変わらず、ただ女の人を吸収しただけだった。
色々と謎行動が多かったが、一応もう大丈夫になったのだろうか?
「コナー、周りに敵とかは居るか?」
「…………うん、大丈夫。居なそうだね。」
今回は女の人が2人居て1人が謎行動をする事により警戒を解こうとしているという可能性も考えたが、どうやらそういう事では無いようだ。
陽夏やコナーに何か不思議な事が無かったかなどを聞いてみたが、特に何も起こっていなかったらしい。
俺達はとりあえずまた先に進む事にした。
今回も同じようにある程度登るとあの女の人が居る部屋に到着する。
そしてその度にオークも強くなっていったのだが、やはりあの女の人はあまり俺達には攻撃してこなかった。
攻撃の威力を見るにかなりの強さがあるのは分かるのだが、その力が俺達にむくことは無かった。
しかし、武器を吸収したり俺が夢喰を使ったりは出来たため、俺達はどんどんと強くなっていった。
そんな事もあり、特に問題などはなくあの機械のある部屋までたどり着いてしまった。
そこで早速その部屋に入ろうと思ったが、陽夏の様子がおかしい。
「どうかしたのか?」
「えっと、やっぱり今回は私みたい。凄いあの部屋に引き寄せられてる感覚があるの何かあの刀が武器に引き寄せられてる時みたいな感覚ね。」
「そうか、それならさっさと言った方が良さそうだな。」
このまま放置してしまうと陽夏の抑えが効かなくなってそのままひとりで突っ込んでしまうかもしれない。
そうしたら何が起こるかわからない。
もしかしたらあの液体にダイブでもしてしまうかもしれない。
そうなるくらいならそうなる前にさっさと突入した方がいいだろう。
「そうだ、今回は俺が先頭を歩くからな。」
「…………うん、分かったわ。」
普段陽夏は俺というタンクが居るにも関わらず何故か先頭を歩きたがる。
本当は俺が先に行きたいんだが、陽夏の強い要望により仕方がなく先頭を歩くことを許している。
しかし、今回ばかりは陽夏に先頭を歩かせる訳には行かない。
幸いな事に陽夏は駄々をこねたりはせずに素直に従ってくれた。
俺は一直線に金属の筒の所に歩いていく。
そしてそこに着いている赤いボタンを押す。
すると金属の筒が開いていく。
そこにあったのは足だった。
ウルフのダンジョンでも足はあったが、この足はその足とは少し違うように感じる。
こちらの方が少し大きいようだ。
「それにしてもこの足って誰のなんだろうね。この前の腕の時はあの腕が私のだーって思ったのよ。それで今回もそう思っちゃってるの。けど、普通に私の腕とか足はちゃんと着いてるしそんな事ありえないんだけどね。」
「…………いや、ありえなく無いかもしれないぞ?」
「え? どういうこと?」
「んー、ちょっと試してみるから見ててくれ。」
俺は黒鉄を小指の根元にあて、そして思いっきり小指を切り落とした。
「いてぇっ!」
俺は激しい痛みに思わず大きな声をあげてしまう。
「ちょ、何してるのよ! 大丈夫!?」
「えっ、晴輝君何してるんだい!?」
俺のいきなりの行動に2人は戸惑っている。
いけないいけない、何も言わずにひとりで突っ走ってしまった。
「いてて、ごめんごめん、ちょっと試したいことがあってさ。」
俺は切り落とした小指を持ち、その横で小指を治す。
すると小指は小指の付け根辺りから再生していき、俺の小指は2本になった。
「ほら、こうすれば2個になるだろ? 本当になるのか分からなかったから検証してみたかったんだ。」
「そんな事検証する為にこんな事したの!? 晴輝はもっと自分の事を大切にしてよ!」
「そうだよ、君は自分が自分の体を治せるからって無茶しすぎだよ。もっと自分を大切にしてよ!」
「…………あぁ、そうだな、すまん。」
2人の言う通りだ。
今冷静に考えてみると俺の今やった行動は明らかにおかしかったな。
俺は何でこんなことをしたんだ?
そこまで重要じゃない…………というかマジで重要じゃない検証を今する必要はあったのか?
考えてみるが答えは出ない。
俺が少しの間フリーズしていると、陽夏が少し震え始めた。
「は、晴輝、もうそろそろ限界が来そう、体が言うことを聞かなくなってきた!」
「あっ、そうだった、今出すから待っててくれ。」
俺は液体の中に手を突っ込んで素早く足を取り出す。
陽夏は足が出た瞬間素早い動きでそれに触れた。
「あー、ちょっと寝るから後はたの……むわ…………。」
陽夏は直後眠りに落ちた。
頭が痛くなり寝てしまうのを早めに察知してすぐに寝たのだろう。
その表情はそこまで苦しそうなものでは無いので、この頭の痛みは寝る事によって緩和されるようだ。
頭が痛くなった後にすぐに眠ってしまうのも本能的に眠って痛みを減らそうとする反応なのだろう。
しかし、それでもダメージはおっているようなので陽夏を回復しながら陽夏が起きるのを待つ事にした。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~
さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』
誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。
辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。
だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。
学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる
これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる