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そう言われ、差し出された週刊誌を見て、男はサッと顔色を変えた。
そこには、男が代表を務める芸能事務所へ在籍する歌手の、醜聞を伝える内容だったからだ。
『ゲイのミュージシャン、深夜の御乱行!? 長く地下に潜っていたのはヤバイ病気療養の為か? 麻薬中毒の噂もあるY氏を巡る真相!! 』
そのセンセーショナルな見出しと、サングラスとキャップを深くかぶった人物の写真が掲載されている。
荒い画像であるが、確かに『Y』によく似ている。
それに、かぶっているキャップは男が送ったオリジナルブランドの一品だ。
多分、本人だろう。
「――――ユウを、すっぱ抜いたのか。だが、こんな出鱈目な記事が、どうしてオレの目を通さずに出た!? 」
男は激怒して、週刊誌をバリっと破いた。
それを差し出した青年は困惑しながら、口を開く。
「これは、週刊文冬のライバル紙である週刊荒潮の記事ですからね。ウチは小野寺編集長と懇意にしてますから文冬はある程度は抑えられますが、荒潮の方はどうしても……」
事前に察知し、抑えることが出来なかった。
そう悔しそうに呟く青年に、男は舌打ちをする。
「ふざけんなよ、あのタヌキ! 何のために付き合ってやったと思ってんだ! 」
「……ここ半年、お誘いを袖にしてましたからね。意趣返しかもしれません」
男の嫉妬とは見苦しいことだ。
手を変え品を変え、どうにか関心を惹こうと足掻いていたが――――とうとう荒療治に出たらしい。
なにがなんでも興味を引こうと、こんな行動に出たのか。
「しかし、まさか――そんな理由だけでか? 他に何かあるのか……」
苛立つ男と、同じく立腹した様子の青年がいる部屋の扉が、コンコンとノックされた。
「入れ! 」
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