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8 Eden
8 Eden
しおりを挟む真壁は、話の途中で切れた電話に不吉なものを感じ取り、車を飛ばして聖のマンションへと急行した。
信頼の置ける社長秘書として、彼はマンションの合鍵を渡されている。
(何がなんでも、オレはあなたを護ります!)
決意も固く、その勢いのまま部屋を訪ねたが――
「留守か……クソッ!」
携帯を取り出し、急いで電話を掛けたところ、なんと着信音がマンションのリビングルームから帰って来た。
どうやら聖は、携帯を持たずに外出したようだ。
携帯には、位置情報を把握するアプリが入っている。
もしや真壁をマンションで足止めする為に、あえて置いて行ったのか?
嫌な予感に、真壁は胸の奥がどんどん苦しくなってくる。
不安で押しつぶされそうだ。
「聖さん、まさかヤツに連れ去れたのか?」
もしもそうならば、とてつもなく厄介な事態に陥ったことになる。
探偵から上がってきた追加の報告に、真壁は仰天した。
なんと、モデルのジンを名乗っている人物はジンとは赤の他人であり、名前は赤羽新――それも本名ではないという。
しかもヤツは、存在さえしていない幽霊のような人間だという事だ。
――――赤羽新も本名ではなく、あまつさえ幽霊とはどういうことか?
その点に関しても、詳細な情報が探偵から上がって来ていた。
◇
「平和な日本という国の、まぁ……暗部だよな」
探偵の綾瀬はタバコの煙を燻らせながら、ふぅと嘆息した。
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