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8 Eden
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無国籍児とは、両親が不明で、その国籍が確認できないケースを差す言葉だ。
さて、親の国籍がハッキリしない場合は、どうなるのか――一言で表すなら「悲惨」だ。
客観的状況から「親は日本人」だとしても、その証拠がなければ日本人とは認定されず、行政サービスも除外されてしまう。
当然、住民票も健康保険証も受けられない。
日本で当たり前の生活を送る為には、戸籍があるのが必須なのだ。
そして、国籍の無い人間が日本で戸籍を作るには、役場ではなく家裁へ申し立てをしなければならない。
幼児や未就学の子供であったならば「人道的観念」から戸籍が与えられるが、残念ながら赤羽新は保護された当時、すでに10歳になっていた。
この場合は、戸籍を得るには非常に困難な事態が待ち構える事となる。
まずほとんど、手を差し伸べてくれる親切で良識のある大人などは現れず、役所は何もしてはくれない。
そもそも、役所側の職員の知識不足という問題もあり、全くこの問題に彼らも対応できないのだ。なので、大人たちは見てみぬふりを貫く事が多い。
未成年とか、まだ子供とか、そういった事は何の助けにもならない。
右も左も分からなくても、本人が自分で全てやらなければダメなのだ。
赤羽新は自分の足でアチコチの役所へ相談しに行き、無情な大人達にたらい回しにされたものの、家裁で『就籍』という煩雑な申立書を提出するまでどうにか漕ぎつけた。
ちなみにこの『就籍』とは、日本人であることを証明する行程の事を指す。
そうはいっても、肝心の親が失踪し行方知らずの状況では、赤羽新の出身の証拠を証明するのは不可能だ。
それでも新少年は、何度も調査官と面談を繰り返し根気強く粘ったのだが――就籍の申立てに対する家裁の結果は、なんと『却下』だった。
つまり、赤羽新は日本人としての戸籍を作る事を、国から拒絶されたのである。
そうして、役所が赤羽新に対して何をしたかと言うと……やはり何もしなかった。
そこに存在しないモノとして、赤羽新は完全放置されたのである。
さて、親の国籍がハッキリしない場合は、どうなるのか――一言で表すなら「悲惨」だ。
客観的状況から「親は日本人」だとしても、その証拠がなければ日本人とは認定されず、行政サービスも除外されてしまう。
当然、住民票も健康保険証も受けられない。
日本で当たり前の生活を送る為には、戸籍があるのが必須なのだ。
そして、国籍の無い人間が日本で戸籍を作るには、役場ではなく家裁へ申し立てをしなければならない。
幼児や未就学の子供であったならば「人道的観念」から戸籍が与えられるが、残念ながら赤羽新は保護された当時、すでに10歳になっていた。
この場合は、戸籍を得るには非常に困難な事態が待ち構える事となる。
まずほとんど、手を差し伸べてくれる親切で良識のある大人などは現れず、役所は何もしてはくれない。
そもそも、役所側の職員の知識不足という問題もあり、全くこの問題に彼らも対応できないのだ。なので、大人たちは見てみぬふりを貫く事が多い。
未成年とか、まだ子供とか、そういった事は何の助けにもならない。
右も左も分からなくても、本人が自分で全てやらなければダメなのだ。
赤羽新は自分の足でアチコチの役所へ相談しに行き、無情な大人達にたらい回しにされたものの、家裁で『就籍』という煩雑な申立書を提出するまでどうにか漕ぎつけた。
ちなみにこの『就籍』とは、日本人であることを証明する行程の事を指す。
そうはいっても、肝心の親が失踪し行方知らずの状況では、赤羽新の出身の証拠を証明するのは不可能だ。
それでも新少年は、何度も調査官と面談を繰り返し根気強く粘ったのだが――就籍の申立てに対する家裁の結果は、なんと『却下』だった。
つまり、赤羽新は日本人としての戸籍を作る事を、国から拒絶されたのである。
そうして、役所が赤羽新に対して何をしたかと言うと……やはり何もしなかった。
そこに存在しないモノとして、赤羽新は完全放置されたのである。
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