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最終章
最終章-3
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そして勿論、倫理観が欠けた最たる者はこの男達であろう。
ファッションブランドAHIRUの看板を隠れ蓑に、デザイナーベビー事業を密かに運営している安蒜昂輝と豊川安生である。
一番最後に、悠々とサロンへと登場した安蒜は満面の笑みを浮かべながら、先に着席していた豊川へ目配せをし、勿体ぶった様子で口を開いた。
「皆様、本日はようこそAHIRUシークレット・ショーへいらっしゃいました。僕は皆様とお会いするこの日の為に、オーストラリアから馳せ参じた次第です。本日、ホスト役を務めさせて頂きます、オーナーの安蒜です」
パチパチと鳴った拍手へ軽く会釈をすると、安蒜は軽く会釈をする。
「今回開催されるショーは、正真正銘のファッション・ショーです。人間の最も美しい姿とは、何なのか? ……それは何も着飾ることなく、生身を晒した美しい生身の肉体に他なりません。厳選したビーナス達の本質を、どうぞ皆様ご覧ください」
一拍置くと、再び安蒜は口を開いた。
「そして今回は、特別に余興をご用意しました。華やかなショー・ビジネス界の経営者であり、財界人にも影響力のある人物として密かに注目されている御堂聖氏が、本日出演予定ですが――」
そこで言葉を切ると、急に不安になったらしい招待客たちがざわつき始めた。
「――おいおい、まさか今になって中止ではないよな?」
「私は既にかなりの額を投資しているぞ。生体データは勿論だが、それよりも直に彼を買いたいと申し入れたのに」
「抜け駆けか!? 君、許さんぞ――」
剣呑になってきた空気を換えるように、着席していた豊川が『ゴホン』と咳払いをした。
「皆さん、お静かに。――安蒜くん、焦らすのも程々にしなさい」
「ははは、これはすみませんでした」
愉快そうに笑うと、安蒜はセリフの続きを口にした。
「――御堂聖氏ですが、彼は皆様の目の前……つまりこのステージ上で、直に生体データを採取する運びとなりました。彼は、本日出演するメンバーの中では最年長でありますが、その魅力は誰よりも抜きん出ている事は御存知の方も多いと思います。きっと、素晴らしいメイン・イベントとなるでしょう。どうぞご期待ください」
ファッションブランドAHIRUの看板を隠れ蓑に、デザイナーベビー事業を密かに運営している安蒜昂輝と豊川安生である。
一番最後に、悠々とサロンへと登場した安蒜は満面の笑みを浮かべながら、先に着席していた豊川へ目配せをし、勿体ぶった様子で口を開いた。
「皆様、本日はようこそAHIRUシークレット・ショーへいらっしゃいました。僕は皆様とお会いするこの日の為に、オーストラリアから馳せ参じた次第です。本日、ホスト役を務めさせて頂きます、オーナーの安蒜です」
パチパチと鳴った拍手へ軽く会釈をすると、安蒜は軽く会釈をする。
「今回開催されるショーは、正真正銘のファッション・ショーです。人間の最も美しい姿とは、何なのか? ……それは何も着飾ることなく、生身を晒した美しい生身の肉体に他なりません。厳選したビーナス達の本質を、どうぞ皆様ご覧ください」
一拍置くと、再び安蒜は口を開いた。
「そして今回は、特別に余興をご用意しました。華やかなショー・ビジネス界の経営者であり、財界人にも影響力のある人物として密かに注目されている御堂聖氏が、本日出演予定ですが――」
そこで言葉を切ると、急に不安になったらしい招待客たちがざわつき始めた。
「――おいおい、まさか今になって中止ではないよな?」
「私は既にかなりの額を投資しているぞ。生体データは勿論だが、それよりも直に彼を買いたいと申し入れたのに」
「抜け駆けか!? 君、許さんぞ――」
剣呑になってきた空気を換えるように、着席していた豊川が『ゴホン』と咳払いをした。
「皆さん、お静かに。――安蒜くん、焦らすのも程々にしなさい」
「ははは、これはすみませんでした」
愉快そうに笑うと、安蒜はセリフの続きを口にした。
「――御堂聖氏ですが、彼は皆様の目の前……つまりこのステージ上で、直に生体データを採取する運びとなりました。彼は、本日出演するメンバーの中では最年長でありますが、その魅力は誰よりも抜きん出ている事は御存知の方も多いと思います。きっと、素晴らしいメイン・イベントとなるでしょう。どうぞご期待ください」
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